ドル円見通し 122円台到達、前週末から3円を超える上昇で2015年12月以来の高水準(22/3/25)

ドル円は3月24日夜に122円に到達、25日朝には122.43円をつけている。

ドル円見通し 122円台到達、前週末から3円を超える上昇で2015年12月以来の高水準(22/3/25)

ドル円見通し 122円台到達、前週末から3円を超える上昇で2015年12月以来の高水準

〇ドル円、3/24夜122円に到達、3/25朝には122.43をつける、122円台は2015年12月以来
〇米10年債利回りは高止まりの様相、米連銀高官による金融引き締め姿勢の強化目立つ
〇各国中銀は相次ぎ利上げ、緩和政策継続の日銀のスタンスは出遅れている印象
〇NYダウ・ナスダックともに上昇、インフレを伴う景気回復継続感に支えられる
〇122円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは、123円を試すとみる
〇121.70割れを弱気転換注意、121.50割れからはいったん下げに入るとみて、121円前後試しを想定する

【概況】

ドル円は3月24日夜に122円に到達、25日朝には122.43円をつけている。122円台は2015年12月以来。米長期債利回りの上昇基調継続を背景に日米金利差を意識して上昇してきているが、24日も米連銀による金融引き締めペースの加速感が強まり、メキシコ中銀やノルウェー中銀、南ア中銀が利上げする中で金融緩和政策から脱却できない日銀の出遅れ感も重なり、悪い円安の印象を持たれつつ円売りが加速している印象だ。

【米10年債利回りは高止まり】

3月24日の米10年債利回りは前日比0.07%上昇の2.37%となり一時2.39%へ上昇した。3月23日に2.41%まで上昇したところから2.28%まで下げたものの切り返しており、2019年6月以来の高水準で高止まりしている。30年債利回りは前日比0.05%上昇の2.54%、2年債利回りも0.04%上昇の2.14%となり22日に2.20%まで上昇した後も高止まりの様相。
米連銀高官による金融引き締め姿勢の強化が目立ってきているが、3月24日は米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「過去半年間でインフレに対する自身の見解が劇的に変化した」と述べてインフレ進行への警戒感を強める姿勢を示した。同総裁は0.50%の引き上げ率には否定的な見方を示したものの今年7回の利上げとする3月FOMCの姿勢を支持した。

ウォラー米連銀理事は3月24日に「消費者物価指数における家賃上昇率は2022年に倍になる」との警戒感を示し、米連銀の量的金融引き締めについて「米連銀が保有する2兆6000億ドル規模の不動産ローン担保証券(MBS)の売却検討を始めるかもしれない」とした。
3月21日にパウエル米連銀議長がインフレ高進を驚いているとして次回会合での0.50%利上げを示唆し、22日にはセントルイス連銀総裁とクリーブランド連銀総裁が0.50%の利上げを複数回含めた利上げペースの加速を主張、23日もサンフランシスコ連銀総裁が0.50%の引き上げに言及しており、米連銀のタカ派シフトが進んでいる。

【各国中銀の利上げ相次ぐ、日銀の出遅れ感も】

3月24日にはメキシコ中銀が政策金利を0.50%引き上げて6.50%としたが、利上げは7会合連続で0.50%の引き上げは3会合連続となった。
南ア中銀も政策金利を0.25%引き上げて4.25%としたが利上げは3会合連続となった。またノルウェー中銀も政策金利を0.25%引き上げて0.75%としたが昨年9月から3度目の利上げとなった。
既にカナダ中銀、NZ中銀、英中銀等が利上げに入っており、3月から米連銀も利上げを決定し、新興国などもインフレ抑制と自国通貨防衛的な側面から利上げを繰り返している中で、金融引き締めへ転換する必要はないとして緩和政策を継続している日銀のスタンスは相当に出遅れている印象であり、賃金上昇が見込めずに輸入インフレが進んで経常収支が悪化する中で円の弱さが目立つ状況となっている。

【NYダウは確り、米経済指標はまちまち】

3月24日のNYダウは前日比349.44ドル高と上昇、前日は448.96ドル安と下げた処から持ち直した。ナスダック総合指数も269.24ポイント高と上昇して前日の186.22ポイント安を解消した。ウクライナ情勢への懸念や米連銀の金融引き締め姿勢の強化を気にしつつも、インフレを伴った景気回復の継続感で支えられているようだ。
3月24日発表の米経済指標はまちまち。米労働省による新規失業保険申請件数は3月19日までの週間で2万8000件減の18万7000件となり市場予想の21万2000件を大幅に下回り1969年9月以来の低水準となった。失業保険受給者総数も3月12日までの週間で135万人となり前週から6万7000人減で市場予想の141万人を下回った。

米商務省による2021年の米経常収支は8216億3400万ドルの赤字となり2020年から33.4%拡大して過去最大となった。景気回復の中での輸入増により貿易赤字も過去最大となっている。
2月の耐久財受注は前月比2.2%減となり5か月振りのマイナスで市場予想の0.5%減を下回る悪化となり、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注では0.3%減で市場予想の0.5%増を下回った。
3月のマークイット米製造業PMI速報値は58.5となり市場予想の56.3を上回り、サービス業PMI速報値は58.9となり市場予想の56.0を上回った。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月5日未明安値を起点とした上昇基調が続いているが、3月18日夜からの119円台序盤での横ばい型持ち合いを上放れて一段高に入ったために22日午前時点では持ち合い終点の3月21日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3月23日夜から25日夜にかけての間への上昇を想定した。
3月23日夜に121円を割り込んでから一段高に入り25日早朝へ大幅続伸しているが、直近のサイクルボトムを23日夜安値とするのを妥当とみて23日午前高値を基準として高値形成期を28日午前から30日午前にかけての間へと延長する。弱気転換は直前高値から0.70円を超える反落の発生からとする。

60分足の一目均衡表では3月24日午後からの一段高で遅行スパンが好転、先行スパンを上回った状況も継続しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、連騰に対する反動も警戒されるので遅行スパン悪化からは安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月23日午前高値から25日朝への一段高に際して指数のピークが切り下がっており弱気逆行の気配もみられるので、60ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、60ポイント割れからはいったん調整安に入る可能性ありとみて50ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、121.75円を下値支持線、123.00円を上値抵抗線とする。
(2)122円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは123円を試すとみる。123円手前では売られやすいと注意するが、123円超えから続伸に入る場合は123円台中盤(123.30円から123.70円)を目指す流れと考える。122円以上を維持して週を終える場合は週明けも高値試しへ進みやすいとみるが、週をまたいで市場心理も変わりやすいと注意する。
(3)121.70円割れを弱気転換注意とし、121.50円割れからはいったん下げに入るとみて121円前後試しを想定する。121.20円以下は反騰注意とするが、121.70円以下での推移なら週明けも調整気味の推移となりやすいのではないかと考える。

【当面の主な予定】

3/25(金)
バイデン米大統領、ポーランド訪問(26日まで)
13:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、会議挨拶
16:00 (英) 2月 小売売上高 前月比 (1月 1.9%、予想 0.7%)
16:00 (英) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 9.1%、予想 7.8%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 1.7%、予想 0.5%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (1月 7.2%、予想 5.6%)
18:00 (独) 3月 IFO企業景況感指数 (2月 98.9、予想 94.2)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前月比 (1月 -5.7%、予想 1.0%)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前年同月比 (1月 -9.1%、予想 -2.2%)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 59.7、予想 59.7)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
24:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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