ドル円、心理的節目116円の大台回復。米CPIは約40年ぶり高水準に
〇ドル円、米2月CPIの伸び率加速と、FRBのタカ派傾斜観測に116.19まで上昇
〇米10年債利回りは2.0%の大台回復
〇ユーロドル、露烏外相会談への期待や、ECB理事会の予想外なタカ派スタンスに1.1121まで急伸
〇その後ラガルドECB総裁の弱気発言、米CPI急上昇に一時1.0977まで急落
〇ドル円、主要テクニカルポイント上抜け、三役好転や強気のパーフェクトオーダーも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズもウクライナの地政学リスク長期化懸念、日米金利差拡大観測等がドル円を支持
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:115.60ー116.50
海外時間のレビュー
10日(木)のドル円相場は堅調な値動き。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ロシア・ウクライナ・トルコの3者外相会談実施も停戦協議に進展見られず→有事のドル買い再開)や、A米2月消費者物価指数の伸び率加速(前年比7.9%と約40年ぶり高水準を記録)、B上記Aを背景とした米FRBのタカ派傾斜観測(3/15ー16に予定されている米FOMCでの大幅利上げ観測再燃→米10年債利回りが2.00%の大台回復→米ドル高)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値116.19(2/10以来の高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/11午前6時25分現在)では、116.12前後で推移しております。
10日(木)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@ロシア・ウクライナ・トルコの3者外相会談への期待感や、AECB理事会の予想外なタカ派スタンス(パンデミック緊急購入プログラム=PEPPを今月末で終了させる計画を確認した他、中長期的なインフレ見通しが弱まることはないとの予想が裏付けられれば資産購入プログラム=APPも第3四半期に終了する方向性を示唆)が支援材料となり、欧州時間にかけて、高値1.1121まで急伸しました。
しかし、その後は伸び悩むと、BラガルドECB総裁による弱気な発言(スタグフレーション懸念。ECBは2022年のGDP見通しを4.2%から3.7%に下方修正した他、インフレ見通しを3.2%から5.1%に上方修正)や、C米2月消費者物価指数の伸び率加速(約40年ぶり高水準→米金利上昇→米ドル高)、D上記@に進展が見られなかったことに対する失望感が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0977まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/11午前6時25分現在)では、1.0984前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は2/24に記録した直近安値114.40をボトムに切り返すと、昨日は約1ヵ月ぶり高値となる116.19まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や強気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(直近1週間は地政学的リスクに対して「リスク回避の円買い」ではなく、「有事のドル買い」で反応)や、A米FRBによるタカ派傾斜観測(エネルギー価格高騰に伴うインフレ懸念→インフレ抑制を目的とした米FRBの大幅利上げ観測)、B黒田総裁によるハト派的な発言(黒田総裁は3/8に「原油や穀物上昇でも景気に悪影響及ぼす金融緩和の縮小や金融引き締めは適当でない」と発言)、
C上記ABに伴う日米金融政策の方向性の違い(米10年債利回りは週初に記録した1.66%をボトムに切り返すと、昨日は一時2.00%まで急上昇)など、ドル円相場のアップサイドリスクを意識させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(目先は1/4に記録した約5年ぶり高値116.36を試す展開を想定)。尚、本日は米3月ミシガン大消費者信頼感指数が予定されているものの、ドル円相場への影響は乏しいとみられるため、引き続きロシア・ウクライナを巡るヘッドラインや、原油や天然ガスなどエネルギー価格の動向、米主要株価指数や米長期金利の動きを睨みながらの神経質な展開が続きそうです(週末前のポジション調整リスクにも要警戒=ロシア・ウクライナに絡む不確実性が燻る中、週末リスクを取りたくない市場参加者が多数存在→米国時間午後にかけて相場が突如動意づく恐れあり)。
本日の予想レンジ:115.60ー116.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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