ドル円、115円台後半で堅調な値動き。有事のドル買いとインフレ懸念が背景(3/9朝)

8日(火)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、115円台後半で堅調な値動き。有事のドル買いとインフレ懸念が背景(3/9朝)

ドル円、115円台後半で堅調な値動き。有事のドル買いとインフレ懸念が背景

〇ドル円、米国時間にかけて高値115.79まで急伸
〇地政学的リスクの高まり、エネルギー価格の急上昇、米FRBのタカ派傾斜観測が背景
〇ユーロドル、欧州共同債発行やウクライナがNATO加盟を主張せずとの報道に一時1.0959まで急伸
〇ドル円「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」が並走する中レンジ相場が続く
〇3/10のトルコ・ロシア・ウクライナの3者会談や、第4回停戦協議(時期未定)待ちの状態
〇本日の予想レンジ:115.30ー116.10

海外時間のレビュー

8日(火)のドル円相場は堅調な値動き。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ロシア・ウクライナの第3回停戦交渉に進展みられず→両国間の緊張状態継続→有事のドル買い)や、A上記@を背景としたエネルギー価格の急上昇(天然ガスに加えてニッケル価格も史上最高値を更新。また、「米国および英国がロシアからの原油禁輸を検討している」との報道で原油先物価格も高騰)、B米FRBによるタカ派傾斜観測(エネルギー価格高騰→米インフレ懸念→米早期大幅利上げ観測→米長期金利上昇→米ドル高)、C黒田日銀総裁による「原油や穀物上昇でも景気に悪影響及ぼす金融緩和の縮小や金融引き締めは適当でない」とのハト派発言が支援材料となり、米国時間にかけて、高値115.79まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/9午前5時00分現在)では、115.73前後で推移しております。

8日(火)のユーロドル相場は方向感に欠ける展開。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(有事のドル買い)や、A上記@を背景とした欧州経済の先行き不透明感(エネルギー価格高騰→欧州経済のスタグフレーション懸念)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値1.0849まで下落しました。しかし、前日記録した約1年9ヵ月ぶり安値1.0806をバックに下げ渋ると、B「欧州連合が大規模な共同債を発行し、エネルギー価格高騰や防衛費の対応にあてることを検討している」との一部報道や、C欧州株の堅調推移、D「ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)への加盟を主張しない意向」とのヘッドライン(停戦期待の高まり)が支援材料となり、米国時間午後にかけて高値1.0959まで急伸する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて値を崩し、本稿執筆時点(日本時間3/9午前5時00分現在)では、1.0905前後で推移しております。

本日の見通し

先月2/24にロシアがウクライナに侵攻して以降、ドル円は114円台半ばから115円台半ばを中心としたレンジ相場が続いています。ローソク足が主要なテクニカルポイントを跨いで上下するなど、市場参加者の「ためらい」が確認されます(※地政学的リスクに端を発した「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」が並走する中、上下どちらにもポジションを傾けづらい相場環境)。

こうした中、市場参加者は「その他の材料(ドル円相場が動意付くきっかけ)」を探していますが、既にブラックアウト期間に突入したため、米当局者発言は予定されておらず(米金融政策の先行きに関するヒントは期待できず)、また、ロシア・ウクライナ情勢についても、既に3/10に予定されているトルコ・ロシア・ウクライナの3者会談や、第4回停戦協議(時期未定)待ちの状態となっているため、ドル円は上下しつつも方向感を見出しづらい時間帯が続くと予想いたします(※エネルギー価格の一段の高騰を受けて、米長期金利が3月FOMCでの大幅利上げを織り込む動きとなれば、ドル円が1/4に記録した約5年ぶり高値116.36に向けて上昇する可能性も出てくるが、ブラックアウト期間で米当局者からのヒントが得られない中、そのような展開になる可能性は現時点で乏しいと判断)。

本日の予想レンジ:115.30ー116.10

注:ポイント要約は編集部

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