ドル円、115円前半で底堅い動き。エネルギー価格高騰でユーロは急落
〇ドル円、米国債利回り上昇、日銀の景気判断引き下げ観測に米国時間に115.48まで上昇
〇ユーロドル、エネルギー価格高騰に伴う欧州のスタグフレーション懸念に一時1.0806まで急落
〇ドル円、115円を挟んでのやや大きめのスウィングが継続、投資家の気迷いムードの強さ確認される
〇ロシア・ウクライナ情勢悪化が、「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」の綱引き合戦招く
〇ドル円は今週も方向感を見出すには至らないと予想
〇本日の予想レンジ:114.80ー115.70
海外時間のレビュー
週明け7日(月)のドル円相場は底堅く推移。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まりや、A上記@を背景としたエネルギー価格の急上昇(原油先物価格高騰→日経平均株価急落)が重石となり、アジア時間朝方にかけては114円台後半での上値の重い展開が継続しました。しかし、B収束する気配のないロシア・ウクライナ情勢を横目に「有事のドル買い(特に対ユーロでのドル買い)」が活発化すると、C米国債利回りの上昇(米10年債利回りが一時1.79%へ上昇→米ドル買い)や、D一部通信社による「日銀が3/17ー18の金融政策決定会合で景気判断を引き下げる方向で調整している」とのヘッドライン(金融緩和の長期化観測)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値115.48まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/8午前4時55分現在)では、115.30前後で推移しております。
週明け7日(月)のユーロドル相場は大幅下落。@ウクライナ南東部の原子力発電所がロシア軍に掌握されたとの一部報道や、A上記@を背景とした地政学リスクの更なる高まり(市場心理悪化→リスクオフ→有事のドル買い)、Bブリンケン米国務長官による「欧州の同盟国・有志国と協調して、ロシアから原油輸入を禁止する可能性について検討するよう協議している」とのサプライズ表明、C上記Bを背景とした原油先物価格の急上昇(北海ブレント原油先物は2008年7月以来、約13年8ヵ月ぶり高値圏へ急騰)、Dエネルギー価格高騰に伴う欧州経済のスタグフレーション懸念(天然ガス価格も史上最高値を更新→欧州経済への下押し圧力→ECBによる金融政策正常化期待の後退)、Eユーロ圏3月投資家センチメント指数(結果▲7.0、前月+16.6)の急低下が重石となり、欧州時間朝方にかけて、2020年5月以来、約1年9ヵ月ぶり安値となる1.0806まで急落しました。
米国勢参入後にポジション調整主導で一時1.0930まで急伸する場面も見られましたが上値は重く(戻り売り意欲が根強く)、本稿執筆時点(日本時間3/8午前4時55分現在)では、1.0859前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は値幅を伴いつつも方向感の定まらない展開が続いております(ここ数日間、115円を挟んでのやや大きめのスウィングが継続)。ローソク足近辺に一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線といった主要テクニカルポイントが密集するなど、投資家の気迷いムードの強さが確認できます。背景には、ロシア・ウクライナ情勢に端を発した地政学的リスクが、「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」の綱引き合戦に繋がっていることが挙げられます。つまり、逃避先通貨として円とドルの双方が選好され、結果としてドル円が方向感を失する展開に繋がっております。
こうした中、市場参加者はロシア・ウクライナ関連ニュース以外の材料を探していますが、その一番候補として期待されている「米金融政策動向」についても、今週は既にブラックアウト期間に入っているため米当局者発言が予定されておらず、また3/10に予定されている米2月消費者物価指数もロシアによるウクライナ侵攻前(エネルギー価格高騰前)の数字であるため材料視されにくく、結果としてドル円は今週も方向感を見出すには至らないと予想されます。本日は米1月貿易収支や米1月卸売売上高、米3年債入札などが予定されているものの、ドル円相場への影響は限定的となりそうです(一方、ユーロドルは続落リスクに要警戒)。
本日の予想レンジ:114.80ー115.70
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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