米金融政策注目も依然ウクライナ情勢に注意(週報3月第1週)

先週のドル/円相場は、ドルが小安く推移するも方向性は定まらず。週間を通して注目材料目白押しのなか、基本的には115円を挟んだレンジ取引に終始している。

米金融政策注目も依然ウクライナ情勢に注意(週報3月第1週)

米金融政策注目も依然ウクライナ情勢に注意

〇先週のドル円、注目材料相次ぎ変動たどるが、114.65-115.81レンジ内取引
〇米雇用統計好数字、パウエル議長は「3月利上げ適切」発言
〇来週FOMCでの利上げ期待高まる、引き続きウクライナ情勢が相場波乱要因に
〇今週は消費者物価指数、ミシガン大学消費者信頼感指数速報、米財務省10年債入札予定
〇今週のドル/円予想レンジは113.80-116.00、115.81をめぐる攻防に注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小安く推移するも方向性は定まらず。週間を通して注目材料目白押しのなか、基本的には115円を挟んだレンジ取引に終始している。

前週末、米国や欧州などが、ロシアの一部銀行について、国際銀行間の送金・決済システムの「SWIFT(スイフト=国際銀行間通信協会)」から排除することで合意。また、北京オリンピック終了後1週間というタイミングで北朝鮮が再び「ミサイル発射」に動いたことが確認されている。
そうした状況下、ドル/円は115円前後で寄り付いたのち、114.65-115.81円という1円強のレンジ内での往来相場。ただ一方向の動きではなく、ウクライナ情勢や米金融政策などに一喜一憂しつつ、なかなか激しい上下動をたどっていた。週末金曜日に発表された米雇用統計はかなりの好数字ながらドル高は続かず、方向性の定まらないまま週末NYは114.80-90円のドル安値圏で取引を終え、越週している。
なお、ウクライナ情勢への危機感がさらに強まったこともあり、ユーロが弱含み。対ドルでは1.10ドルを割り込み、2020年5月以来の安値を示現していた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ウクライナ情勢」と「米金融政策」について。
前者は、異例ともいえる「プーチン露大統領の個人資産凍結」や、前述した国際銀行間の送金・決済システムの「スイフト」から排除で合意との発表など、欧米諸国を中心とした対ロシア制裁の動きが強まるも侵攻の動きは止まらず。開催されたロシアとウクライナの停戦交渉が不調に終わっただけでなく、プーチン大統領が「核ミサイル使用」の可能性に言及。金融市場だけでなく、様々なところで大きな物議を醸す結果となった。さらに、週の後半に掛けては「ロシア軍がウクライナの原発を攻撃した」ことが明らかに。そののち「原発攻撃による放射線量に変化はない」などと伝えられ、当初の懸念は若干後退するも世界各国からの非難の声はいまだ収まる気配がない。

対して後者は、半期の一度の議会証言でパウエルFRB議長が「3月の利上げは適切」と発言。また、ウクライナ情勢を不確実要因に挙げながらも、「インフレが高過ぎる状態が続けば、より大幅な利上げの可能性を閉ざさない」などとも指摘するなど、米利上げを正当化する強気コメントが多数観測されている。また、週末に発表された2月の米雇用統計も予想を上回るかなりの好数字で、利上げ期待を後押ししていた感を否めない。単純な「金利差」だけなら間違いなくドル買い先行なのだが・・・。

<< 今週の見通し >>

前述したように、先週は「北朝鮮がミサイル発射」、「パウエルFRB議長の議会証言」、「ロシアがウクライナの原発を攻撃」、「米雇用統計発表」−−などと注目材料が相次ぐ。そのたびドル/円も乱高下をたどる荒っぽい変動を繰り返したが、レンジを抜けていくことは出来なかった。結果、114.65-115.81円という1円強のレンジ内での往来相場。予断を許さないものの、今週も荒っぽい値動きを続けながらも基本的にはレンジ取引という展開が続くと予想する向きは少なくないようだ。
先週発表された米雇用統計などが良好な内容になったうえ、パウエル議長の発言もあり、来週15-16日に開催される米FOMCでの利上げ期待も高い。ただ問題上げ幅で、果たして0.25%なのか、それとも0.5%なのか市場はいまだ二分されている感がある。本来であれば、そんな「米金融政策にらみの1週間」ということになるのだろうが、引き続きウクライナ情勢が相場の波乱要因となりそう。一時的に楽観論へと傾斜することは否定できないものの、基本的にはむしろロシアによるウクライナ攻撃が強まるリスクの方が高いのではなかろうか。

テクニカルに見た場合、ドル/円は引き続きレンジ内ではあるものの、過去2週間以上推移している114.40-115.80円の下限に接近する展開となっている。レンジ下限の少し上、114円半ばには移動平均の90日線も位置しており底堅そうだが、「しっかり」割り込むようだとさらなる深押しが入っても不思議はないだろう。年初来安値113.47円を目指して、ドルは続落をたどる可能性もある。対する抵抗はレンジ上限の115.80円で、超えれば2月11日以来の116円台も。

材料的に見た場合、中長期的には、現在北京パラリンピックと同時並行的に開催されている全人代が注視されている「中国情勢」、世界的には平常化の流れをたどるなか、日本はまん延防止等重点措置が一部地域で延長された「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」などに注目。
そうしたなか今週は、2月の消費者物価指数や3月のミシガン大学消費者信頼感指数速報といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による10年債の入札などにも要注意。また、ウクライナ情勢に関する2国間会議をはじめとする各種ニュースにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、113.80-116.00円。ドル高・円安についてはレンジ上限の115.81円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ再び116円台回復、そして116.35円も意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、足もと114円半ばへとレベルを切り上げている90日線が最初のサポートか。下回れば114.15円、そして114円割れも。

米金融政策注目も依然ウクライナ情勢に注意

ドル円日足


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