前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 101.92 104.32 101.76 103.93
ユーロ円 114.13 116.37 113.85 115.92
ユーロドル 1.1197 1.1252 1.1123 1.1153
日経平均 16631.06 16946.49 16616.65 16925.68
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
8月29日(月)
週明けの為替市場は、先週金曜のフィッシャー発言の流れを継続し、ドル円を中心にドル買いが継続、後場には一時102.39レベルの高値を付けました。しかし久しぶりの102円台ということもあって、102円台半ばより上ではドル売りオーダーも見え海外市場に向けてはじり安の展開。ロンドン市場がバンクホリデーで休みということや欧州株が弱かったこともあって、NY市場の引けまでは東京朝方の水準へと値を戻す展開となりました。
8月30日(火)
東京市場の朝方は、前日大きく上げた動きに対する調整からドル売りが先行したものの、101.76レベルを安値に反転。日経平均株価の上昇と円安とで足並みを揃えるように欧州市場では前日高値を回復し、ドル買いの流れが再開しました。NY市場ではフィッシャーFRB副議長が年内の利上げは1回とは限らないとタカ派的な姿勢を強めたことからドルが一段高、NY後場には103.14レベルの高値をつけ若干押しての引けとなりました。
8月31日(水)
朝方こそ103円台ではドル売りも出て下げる動きが先行したものの、102円台後半では既に買いたい向きが出て来る状態で、仲値以降は終日ドルがじり高の展開を辿りました。ボストン連銀総裁(もともとタカ派)の早期利上げを支持する発言や、NY市場に入り発表されたADP全国雇用者数もコンセンサス通りとはいえ堅調であったことから、一時103.53レベルの高値を付け、その後は103円台前半で堅調ながらももみあいを続けての引けとなりました。
9月1日(木)
朝方は調整のドル売りから103.06レベルまで水準を下げるも、ドル買い意欲は強くじりじりと水準を切り上げ103円台半ばでのNY市場入り。NY朝方の4〜6月期単位労働コストは予想を大きく上回り、一時104.00の高値をつけました。しかし、その後発表されたISM製造業景況指数は予想を大きく下回り、103円台前半へと行って来いの動きでクローズとなりました。
9月2日(金)
注目の雇用統計を前に、NY市場までは目立った材料は無かったものの早期利上げに対する思惑もあって、ドルはじり高の展開を続けました。NFPが予想よりも弱く平均時給の伸びが鈍化していることも嫌気され、発表直後はドルが売られ、ドル円は103円台半ばから安値102.80レベルを付けました。しかし大きな動きはそこからで、9月利上げの可能性が後退したと考えた結果、株式市場が大幅高となりNYダウが大幅高、225先物も17000円の大台に乗せる動きを見せリスクオンの動きからドル円が急騰、104.32レベルの高値をつけ、引けにかけて104円割れにやや押してのクローズとなりました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
9月5日(月)
**:** 米国市場休場
10:45 中国8月MarkItサービス業PMI
11:30 黒田日銀総裁講演
16:00 トルコ8月CPI
16:50 フランス8月サービス業PMI確報値
16:55 ドイツ8月サービス業PMI確報値
17:00 ユーロ圏8月サービス業PMI確報値
17:30 英国8月サービス業PMI
23:00 ユーログループ議長講演
9月6日(火)
10:30 豪州4〜6月期経常収支
13:30 豪中銀政策金利発表
14:45 スイス4〜6月期GDP
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP確報値
18:30 南ア4〜6月期GDP
22:45 米国8月MarkItサービス業PMI確報値
23:00 米国8月ISM非製造業景況指数
23:00 米国8月労働市場情勢指数
23:00 米国9月IBD景気楽観度指数
25:15 スイス中銀総裁講演
9月7日(水)
10:15 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
10:30 豪州4〜6月期GDP
15:00 ドイツ7月鉱工業生産
17:30 英国7月鉱工業生産
22:15 英中銀総裁議会証言
23:00 カンザスシティ連銀総裁、(リッチモンド連銀総裁)討論会
27:00 ベージュブック
9月8日(木)
08:50 本邦7月貿易収支
08:50 本邦4〜6月期GDP改定値
**:** 中国8月貿易収支
**:** 欧州委員長議会証言
20:00 南ア7月製造業生産
20:45 ECB理事会結果発表
21:30 ドラギECB総裁記者会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 米国週間原油在庫発表
9月9日(金)
10:30 中国8月CPI、PPI
16:00 トルコ4〜6月期GDP
17:30 英国7月貿易収支
20:45 ボストン連銀総裁経済予測公表
22:30 (ダラス連銀総裁講演)
23:00 米国7月卸売売上高
**:** ユーロ圏財務相・中銀総裁会議
今週の週間見通し
ここ半月ほどで急速に年内利上げ思惑が強まり、フィッシャーFRB副議長がタカ派発言を繰り返したことで9月の利上げ思惑さえも高まっての雇用統計発表となりました。結果はNFPが+15.1万人(予想+18.0万人、前回+25.5万人)、失業率が4.9%(予想4.8%、前回4.9%)と予想よりも弱かったことに加え、平均時給も+0.1%(予想+0.2%、前回+0.3%)と鈍化してきていることから、初動はドル売りでの反応でした。
ドル円は発表前の103円台半ばから一時102.80レベルまで水準を切り下げ、前日の104円ワンタッチが高値となったかと思われましたが、弱めの雇用統計に株式市場参加者は買いで反応、少なくとも9月利上げは無さそうだとの思惑から急速にリスクオンの動きとなりました。
これまでも株式市場は年内利上げ思惑後退を材料に買いで回る流れが続いていたのですが、この半月ほどはNY連銀総裁の発言から始まり、フィッシャーFRB副議長、イエレンFRB議長とFRB高官の相次ぐタカ派的発言で株式市場は高値圏からの調整入りとなっていたのはつい最近のことです。
果たして今回の数字がFOMCメンバーの判断を変えるほどのものかと考えると、これまで何度も指摘してきたように、FOMCの方向性はかなり安定した見方をしていて、振れているのは市場参加者です。市場参加者の見方として、年内利上げは無い、9月利上げの可能性も、12月の利上げ1回に落ち着きそうだ、とめまぐるしく見方が変化しています。
FRB高官が市場参加者の思惑に対して、強めの発言で年内の利上げはあるのだという流れに修正を加えたのだとしたら大成功という事になります。9月利上げというのは、ここのところ急速に注目度が上がっているフィッシャー副議長くらいということを考えると、12月利上げという流れが現在のコンセンサスというところです。
そうなると、少なくとも年内に利上げという市場参加者の読みを中立的に見るならば、株式市場は一時的には強い動きをしても、どこかでまた利上げによる株安の懸念という見方が出てきてもおかしくはありません。為替市場も単純にドル高という動きに、直近では株高を材料にしているのですが、米国株に関しては先週金曜を除くと、決して強い地合いにあるとは言えません。
雇用統計後の動きが消化されれば、為替も落ち着いてきてドルの戻り売りを考える参加者が出て来るのではないか、というのが今回の雇用統計を見ての感想です。
またテクニカルにもかなり微妙な水準にあることがわかります。日足チャートをご覧ください。現在、年初来高値からの長期レジスタンスラインをトライしている最中ですが、似たような動きを107円台をトライした時に見ています。107円台の時もわずかにレジスタンスを超えるような動きをして、結局その後100円の大台割れとなりました。今回も105円台乗せといった動きにでもなれば状況が変化してきますが、現状ではいまだ強いレジスタンスが効いていると考えた方がよいでしょう。
トータルして考えると、ドル円はそろそろ上値追いが限定的となる水準に達していると考えられます。今週のレンジとしては、102.50レベルをサポートに、104.50 レベルをレジスタンスとする流れとしておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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