ドル円、欧米によるSWIFTからの締め出し措置で乱高下するも方向感見出せず(3/1朝)

週明け28日(月)のドル円相場は値幅を伴いつつも方向感を見出しづらい展開。

ドル円、欧米によるSWIFTからの締め出し措置で乱高下するも方向感見出せず(3/1朝)

ドル円、欧米によるSWIFTからの締め出し措置で乱高下するも方向感見出せず

〇ドル円、115円台で上下、方向感を見出しづらい展開、「急落→急伸→急落」を繰り返し不安定
〇アジア時間には週末のロシアのSWIFTからの締め出しによるリスク回避の動きに115.08まで下落
〇その後上記が招く資源価格高騰からのインフレ懸念、「有事のドル買い」等に115.79まで反発
〇米国勢参入後はロシアの報復制裁発表、米金利低下等で114.89まで急落、115円割れで推移
〇ユーロドル、安値1.1123まで急落後、露烏交渉への期待等を背景に1.12台前半を回復
〇ロシア・ウクライナ関連のネガティブニュースに対する「円買い」での感応度鈍る
〇本日、バイデン米大統領の一般教書演説、G7財務相・中銀総裁オンライン会議開催、イベント多い
〇短期的にも中長期的にもドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:114.50ー115.50

海外時間のレビュー

週明け28日(月)のドル円相場は値幅を伴いつつも方向感を見出しづらい展開。@欧米諸国が週末2/26にロシア大手銀を国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出す金融制裁措置を打ち出したことや、A上記@を背景とした世界的なリスクオフ(株安→リスク回避の円買い)が重石となり、アジア時間早朝にかけて、一時115.08まで下落しました。しかし、一巡後に下げ渋ると、B上記@が資源価格高騰を通じて世界的なインフレ圧力を高めるとの見方(次回FOMCでの大幅利上げ観測)や、C地政学的リスクを背景とした有事のドル買い圧力(リスク回避の円買い→有事のドル買いへのシナリオシフト)、D短期筋のショートカバーが支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値115.79まで反発する場面も見られました。

その後も、E株式市場の堅調推移や、Fロシアとウクライナの代表団が戦争終結に向けた協議を開始したとの報道などが支えとなり、しばらく底堅い動きが続いていましたが、米国勢参入後は、Gロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの再燃(欧米諸国の対露制裁に対してロシアが報復制裁を発表)や、H上記Gを背景とした株式市場の急反落(リスクオフ再開→安全資産の米国債買い→米金利急低下→米ドル売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値114.89まで急落する冴えない展開となりました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/1午前5時00分現在)では、114.95前後で推移しております。

週明け28日(月)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@欧米諸国が週末2/26にロシア大手銀を国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出す金融制裁措置を打ち出したことや、A上記@を背景とした欧州経済の先行き不透明感(対露制裁でロシアからのエネルギー輸出停滞→天然ガスなどエネルギー価格高騰→ロシアからの輸入依存度の大きい欧州諸国に大打撃)、BECBによる年内利上げ観測の後退(欧州経済に先行き不透明感が燻る中、ECBは慎重姿勢を続ける公算大)、C世界的なリスクオフ(有事のドル買い)が重石となり、アジア時間早朝にかけて、安値1.1123まで急落しました。

しかし、2/24に記録した約1年9ヵ月ぶり安値1.1106をバックに下げ渋ると、D短期筋のショートカバーや、Eロシアとウクライナの代表団が戦争終結に向けた協議を開始したことに伴う期待感、F米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは一時1.84%へ急低下)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.1246まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、Gロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの再燃(欧米諸国の対露制裁に対してロシアが報復制裁を発表)や、H上記Gを背景とした株式市場の急反落(リスクオフ再開)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間3/1午前5時00分現在)では、1.1220前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は「急落→急伸→急落」を繰り返すなど不安定な動きが続いております。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて欧米諸国が相次いで金融制裁措置(含むSWIFTから締め出し)に踏み切ったことが背景です。しかし、昨日興味深かった点は、ロシア系銀行に対するSWIFTからの締め出しという大きなネガティブイベントが発生したにも係わらず、「リスク回避の円買い」での反応が限定的だった点です。むしろ、当該材料に対しては「有事のドル買い」での反応が目立ちました。ロシア・ウクライナ関連のネガティブニュースに対する「円買い」での感応度が鈍りつつあると判断できます(米国時間午後にかけてドル円は下落しましたが、これはリスク回避の円買いでの反応ではなく、米金利低下に伴うドル売りが主因であると整理)。

こうした中、本日はロシア・ウクライナを巡るヘッドラインに加えて、バイデン米大統領の一般教書演説や、G7財務相・中銀総裁オンライン会議、米2月ISM製造業景況指数、アトランタ連銀ボスティック総裁講演などイベントが盛り沢山となります。市場ではロシア・ウクライナ問題でエネルギー価格が高騰する中、米国が3月FOMCで大幅利上げに踏み切るとの見方が増えつつあるため(事実、アトランタ連銀ボスティック総裁は「現状では25bpの利上げを支持しているが、もし高インフレの持続が示されれば50bpの利上げも可能」と発言)、当方では引き続き、短期的にも中長期的にもドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクを背景とした「有事のドル買い」と、日米金融政策格差を背景とした「ドル買い・円売り」の組み合わせ→1/4に記録した約5年ぶり高値116.36や、2/10に記録した高値116.35を試すシナリオを想定)。

本日の予想レンジ:114.50ー115.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、欧米によるSWIFTからの締め出し措置で乱高下するも方向感見出せず

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