ドル円、材料乏しいなか、ウクライナ情勢に一喜一憂(22/02/23)

23日の東京市場でドル/円は横這い推移。

ドル円、材料乏しいなか、ウクライナ情勢に一喜一憂(22/02/23)

ドル円、材料乏しいなか、ウクライナ情勢に一喜一憂

〇ドル円、終日15円挟みのわずか15ポイントほどしか動かない凪取引
〇為替市場全般に動意薄の中、NZ中銀政策金利引き上げで、78円台へ上伸
〇「米露首脳」「米露外相」会談に続き、25日に予定されていた仏露外相会談も中止
〇ドル円テクニカルの地合い弱く、21日線下放れれば、ドルは再下落の可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.50-115.40

<< 東京市場の動き >>

23日の東京市場でドル/円は横這い推移。ただ、NZドルは対円などで上昇し、唯一ともいえる活発な動意をみせていた。

ドル/円は115.05円前後で寄り付いたものの、東京市場もあって動意は乏しく、価格変動も限られている。終日を通し、115円挟みのわずか15ポイントほどしか動かない凪取引。16時現在、寄り付きとほぼ同じ115.00-05円で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、ドル/円以外も動意に欠ける通貨ペアが少なくないなか、NZドルは対照的に活発な動き。対円では一時78円レベルまで値を上げている。事前予想どおりではあったものの、同国中銀が25bpの利上げに動いたことが好感されていたようだ。また、そののち中銀総裁から「必要なら0.50%の利上げの可能性も排除しない」と追加利上げを示唆するコメントも聞かれていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「ウクライナ情勢」と「日本と中韓の対立」について。
前者は、国連安保理の緊急会合が開催されるなか、欧米諸国とロシアは非難の応酬。欧米サイドが「国際法の原則を侵害するもの」と非難した反面、ロシアは「ウクライナ東部の住民を保護するための措置」だと行動を正当化していたようだ。そうしたなか、米国やドイツなどが相次ぎ対露制裁を発表したうえ、遅ればせながら日本も「ロシア政府による新たなソブリン債の国内における発行・流通の禁止」などの制裁措置を発表している。なお、前日中止観測が伝えられた今週開催予定だった「米露首脳」そして「米露外相」会談に続き、25日に予定されていた仏露外相会談も中止になったという。

対して後者は、北京五輪終了というタイミングで、中国当局が「日本の大使館員を一時的に拘束した」ことが明らかに。そして、抗議した日本に対し「日本の抗議は受け入れない」と反発の姿勢を見せるなど、禍根を残す結果となった。一方、韓国は島根県が開催した「竹島の日」式典に不快感を示したうえで、同国外務省が行事の即時廃止を求める報道官声明を発表している。また、韓国外相はユネスコ事務局長と会談し、得意の告げ口外交で「佐渡金山推薦」への懸念を伝達したことが公式発表されていた。

<< 欧米市場の見通し >>

過熱感の乏しいまま下値を切り下げ、一時114円半ばまで下落したドル/円だが、その後は持ち直しの動き。115.24円まで回復し、東京休場となる本日アジア時間も115円挟みの値動きだ。昨日の反発でドルの下値リスクが幾分軽減されたことは間違いないものの、リスクそのものはいまだドル安方向か。本稿執筆段階で絡む動きとなっている移動平均の21日線(115.00-10円)をしっかりと下放れれば、ドルは再下落をたどる可能性も否定できないだろう。
市場では「3月FOMCでの米利上げ観測」など、依然として日米を中心とした金融政策が意識されているものの、短期的にはそれよりもウクライナ情勢が市場の懸念要因に。そして、先でも取り上げたように、対話の糸口とも言える「米露」や「仏露」の首脳会談などが軒並み中止となっており、方向性としてはドンドンまずい方向に向かっていると言わざるを得ない。昨日の欧米時間には何故か調整的にドルが大きく買い戻されたものの、あまり信用するのは危険という気もしている。

テクニカルに見た場合、ドル/円は前日「しっかり」と割り込んだ感のあった21日線を再び回復するなど、足もとも21日線に絡んだ動き。移動平均では21日線の攻防に注目で、割り込めば再び90日線(114.40円レベル)を意識した展開も。
対してフィボナッチでは、昨日安値114円半ばが安値113.47円を起点とした上げ幅の61.8%押し(114.55-60円)にほぼ相当するレベルで、取り敢えず下げ止まった格好。引き続き下値は昨日安値をめぐる攻防に注目だ。

材料的に見た場合、中長期的には「大使館員の一時拘束」が新たな日中間の火種となりかねない「中国情勢」、デンマークの研究におけるオミクロン変異株には2回感染することもまれにあり得ることが明らかになり思惑を呼ぶ「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、週間レッドブック大規模小売店売上高などが発表されるものの、正直市場の関心は低く、基本ノーインパクトか。ただ、米財務省による5年債の入札やサンフランシスコ連銀総裁による講演などには一応要注意。また、ウクライナ関連のニュースにも引き続き注意をしておきたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.50-115.40円。昨日高値115.24円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ115円後半そして116円レベルが視界内に。
対するドル安・円高方向は、同じく昨日安値の114円半ばが最初のサポートか。前後には移動平均の90日線など複数のテクニカルポイントも位置しており底堅そうだが。割り込むようだと114円割れを否定できなくなりそうだ。(了)


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