ドル円、下落後に持ち直す展開。ウクライナを巡るヘッドラインリスクに引き続き警戒
〇ドル円、アジア時間に114.50まで下落後に米国時間に一時115.25まで反発
〇ロシア政府の「あらゆる外交にオープン」との発言や米指標の好調等がサポート
〇ユーロドルアジア時間の安値1.1288から1.1367まで急伸後に1.1338レベルに反落
〇ドル円ローソク足が前日陰線をすべて包む「抱き線」示現、短期下落トレンドから上昇への転換に要注意
〇ファンダメンタルズも資源価格高騰からのインフレ懸念、有事のドル買いが強まる可能性等上昇材料多い
〇引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:114.70ー115.50
海外時間のレビュー
22日(火)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。@ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(プーチン露大統領によるウクライナ親露派地域の独立承認)や、A上記@を背景としたリスク回避ムード(日経平均株価急落→リスク回避の円買い)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値114.50まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、B資源価格上昇(原油先物価格や天然ガス先物価格の急上昇)に伴う世界的なインフレ懸念(米金利上昇→米ドル高)や、Cロシア政府による「あらゆる外交にオープン」との前向きな発言(地政学的リスク後退)、D株式市場の下げ幅縮小(リスク回避ムード一服)、E米経済指標(米2月製造業・非製造業PMI速報値や米2月消費者信頼感指数)の力強い結果、F短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間にかけて高値115.25まで反発しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、Gロシア政府がドネツク・ルガンスクへの派兵を承認したとの報道や、HEU外相によるロシアに対する制裁強化のヘッドラインが重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/23午前5時30分現在)では、115.05前後で推移しております。
22日(火)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの高まり(プーチン露大統領によるウクライナ親露派地域の独立承認)や、A上記@を背景としたリスク回避ムード(リスク回避のドル買い圧力)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値1.1288まで下落しました。しかし、2/14に記録した安値1.1280をバックに下げ渋ると、B株式市場の下げ幅縮小(リスク回避ムード一服)や、Cドイツ2月Ifo景況指数の力強い結果、Dルクセンブルク中銀ライニッシュ総裁による「ECBは債券買い入れをこれまでの想定よりも早く終了する必要があるかもしれない」とのタカ派的な発言が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1367まで急伸しました。もっとも、その後は、Eウクライナを巡る地政学的リスクの再燃(ロシア政府による派兵承認など)や、F米経済指標の力強い結果(米金利上昇→米ドル高)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/23午前5時30分現在)では、1.1338前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円はアジア時間朝方に一時114.50まで急落するも、一目均衡表雲下限に下支えされる形で、米国勢参入後に心理的節目115.00を回復する動きとなりました。ローソク足が、前日ローソク足の陰線を全て包む「抱き線」の形状を示しているため、短期的なトレンド転換に注意が必要でしょう(ドル円の短期下落トレンド終了→上昇トレンドへの転換の思惑)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ウクライナを巡る地政学的リスクに対する市場の反応が「リスク回避の円買い→有事のドル買い」に転じる可能性がある点、A上記@を背景とした資源価格の高騰が世界的なインフレ懸念を通じて、米FRBのタカ派スタンスがもう一段強まる恐れがある点(3月FOMCに向けて、大幅利上げ観測や早期QT着手の思惑が広がる展開)、B日銀による金融緩和スタンスの明確化、C上記ABを背景とした日米金融政策の方向性の違い(昨日は米10年債利回りが1.84%から1.95%へ急上昇→日米名目金利差拡大)など、ドル高・円安を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(本日もウクライナ情勢を巡るヘッドラインと、それに伴う米長期金利の動向を睨みながらの神経質な展開を想定。天皇誕生日で本邦休場となりますが、ウクライナに関する続報次第ではアジア時間帯の値動きが荒くなる可能性もあるため、ボラティリティの拡大に引き続き注意が必要)。
本日の予想レンジ:114.70ー115.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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