引き続きウクライナ情勢に一喜一憂の展開か
〇本日のドル円、ドルが小安い、115円半ばで寄りつき緩やかな右肩下がり、115.25-30で下げ渋る
〇2/10高値116.34を記録した後はレンジ取引、115.01と116.34に挟まれたなかでの一進一退
〇米金融政策とウクライナ情勢の2つを柱に、このあとも神経質な動きをたどるか
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.80-115.80、昨日高値115.75レベルの攻防に注目
〇ドル安・円高方向は115円レベルが強いサポート、割り込んでも底堅いイメージ
<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場はドルが小安い。ただ基本的にはレンジ内で、値動きそのものも30ポイントにとどかなかった。
ドル/円は115円半ばで寄り付いたのち、緩やかな右肩下がり。ザラ場ベースで下げ幅が一時300円を超えた日経平均株価の弱さなどが材料視されていたという。しかしドルの下値も堅く、115.25-30円では下げ渋りの様相。ナスダック先物など時間外取引で下落していた米株が持ち直したこともあり、終盤のドルは底堅さも醸していた。16時現在では115.30円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ウクライナ情勢」と「米金融政策」について。
前者は、米国防総省のカービー報道官から「ロシアは日ごとに部隊を増強、軍事力を高めている」、ジャンピエール大統領副報道官も「ロシアによるウクライナ侵攻が今週中に始まるかもしれない」と発言するなか、ルドリアン仏外相は「ロシア軍はウクライナ侵攻の準備を完全に整えた」と述べたとされるなど、引き続きウクライナリスクが金融市場を席巻。ただ、ロシアのラブロフ外相が「西側との対話継続をプーチン大統領に提案」と報じられたことが若干の安心感を醸していた面はあったようだ。
対して後者は、目立った米経済指標の発表はないなか、WSJ紙など複数の米メディアを通じ、地区連銀総裁から金融政策に関する発言が相次ぎ思惑を呼ぶ。たとえば、セントルイス連銀総裁は以前発した「7月1日まで1%の利上げを支持する」とのコメントを繰り返した反面、カンザスシティ連銀総裁は「次回FOMCで0.5%の大幅利上げに踏み切る必要があるかは確信が持てない」、サンフランシスコ連銀総裁も同じく0.5%幅の利上げに否定的なコメントを発していたようだ。一時期よりも米利上げの強いムードが低下、落ち着いてきた感もある。
<< 欧米市場の見通し >>
10日にはドル高値116.34円を記録したドル/円だったが、その後はレンジ取引。先週末に掛け記録したドル安値115.01円と同高値116.34円に挟まれた1.3円ほどのなかでの一進一退をたどっている。急台頭した「ウクライナリスク」がドル高方向への流れを断ち切っただけでなく、敢えて言うならリスクは幾分下方向にバイアスがかかりそう。もちろんウクライナ情勢の進展如何によるものの、115円を割り込み114円台へと下落する展開も否定できない。
先でも指摘した「ウクライナリスク」がドル高の足かせとなっている感を否めないが、一部米メディアなどで伝えられている「16日侵攻」思惑が不発に終われば、短期的なドル買戻しが観測されることになるのだろう。ただしその反面、これまではドル高を支援し続けてきた「強い米利上げ期待」がわずかながら後退しているようで、実際「3月0.5%引き上げ」観測の市場織り込み度合いも50-60%へと少し低下しているという。いずれにしても、米金融政策とウクライナ情勢の2つを柱に、このあとも思惑の交錯した神経質な動きをたどりそうだ。
テクニカルに見た場合、足もとのドル/円はレンジ取引。ただ、チャートの形状が奇麗なダブルトップの様相を呈していることが気掛かりで、目先のサポートとして寄与している115円レベルそして移動平均の21日線(114.80-90円)を下回ると、ドルの下値リスクが高まっても不思議はない。114.30円台に位置する90日線を目指し、ドルはさらなる下値模索をたどる可能性もある。
材料的に見た場合、中長期的には開催中の北京オリンピック後の動きがそこここで懸念され始めている「中国情勢」、カナダで規制対策に抗議するデモが活発化、ついに「国家非常事態発動」も発せられた「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、2月NY連銀製造業景況指数や1月の生産者物価が発表されるほか、米上院銀行委員会が「パウエルFRB議長再任承認めぐり投票」を行う見込みだ。また、関心の高いウクライナ情勢に関しては、モスクワで「独露首脳会談」が開催される予定となっている。期待薄だが、果たして進展はあるのだろうか。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.80-115.80円。昨日高値である115.75円レベルの攻防にまずは注目。抜ければ116円台乗せを目指しそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週末と昨日2度止まった115円レベルがなかなか強いサポートとして意識されている。ただ、割り込んでも移動平均の21日線などが下値を支えて、底堅いイメージも取り沙汰されていた。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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