ドル円、予想を上回る米CPIを受けて急上昇。一時116円台に乗せる場面も
〇ドル円、日銀指値オペ発動、米CPIの予想を上回る結果、米長期金利急上昇に116.33まで急伸
〇その後は1/4高値116.36を前に反落、115.93前後で推移
〇ユーロドル、CPI発表後に1.1375まで急落するも米国時間午後にかけ一時1.1495まで急伸
〇ドル円、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズも大幅利上げが見込まれる米国とゼロ金利政策長期化の日本の差がドル円サポート
〇引き続き、日米名目金利差拡大に伴うドル円上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:115.60ー116.40
海外時間のレビュー
10日(木)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間朝方にかけて、安値115.49まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@日銀による2018年7月以来となる「指し値オペ」の発動(※10年国債で指し値オペを2/14に実施することを発表。水準は0.25%で買入金額は無制限)や、A上記@を背景とした日米金融政策の方向性の違い(3月利上げが織り込まれる米国と、低金利政策の継続が見込まれる日本との金融政策格差)、B注目された米1月消費者物価指数(結果7.5%、予想7.3%、※前年比)の伸び率加速(エネルギーと食品を除くコア指数も予想を上回る結果)、C上記Bを背景とした米長期金利の急上昇(3月50bp利上げを織り込む形で米10年債利回りは2019年8月以来、約2年半ぶり高水準となる2.04%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値116.33まで急伸しました。もっとも、1/4に記録した約5年ぶり高値116.36をバックに伸び悩むと、米国時間午後にかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間2/11午前5時00分現在)では、115.93前後で推移しております。
10日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ロシアとベラルーシの合同軍事演習がスタートすると共に、米国や欧州の部隊も東欧に到着)や、A欧州銀行監督委員会エンリア委員長による「地政学リスクが高まる中、ユーロ圏の銀行がサイバー攻撃を受けるリスクが高まっている」との悲観的な発言、Bフィンランド中銀レーン総裁による「早過ぎる利上げは景気や雇用を傷つける可能性がある」とのハト派的な発言、C米1月消費者物価指数の伸び率加速、D上記Cを背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1375まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Eショートカバー主導で持ち直し(重要イベント通過後のポジション調整)、米国時間午後にかけては、昨年11/10以来、約3ヵ月ぶり高値となる1.1495まで急伸する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、Fセントルイス連銀ブラード総裁によるタカ派的な発言(7/1までに100bpの利上げが実施されることを望む)などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/11午前5時00分現在)では、1.1450前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は1/24に記録した安値113.47をボトムに反発に転じると、昨日は一時116.33まで急伸しました。一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(先週は米当局者による火消し発言=市場の過度な織り込みを牽制する発言を受けて、米長期金利低下→米ドル売りの流れが強まりましたが、先週末から今週にかけては、力強い米1月雇用統計および米1月消費者物価指数を受けて、米長期金利急上昇→米ドル買いの流れが加速)や、A日銀によるゼロ金利政策の長期化観測(日銀は昨日2018年7月以来となる「指し値オペ」の発動を発表)、B上記@Aを背景とした日米金融政策格差(米10年債利回りは心理的節目2.00%を突破し、約2年半ぶり高水準へ上昇。一方日本は指し値オペ実施で10年JGBの利回り上昇を抑制する動き)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、日米名目金利差拡大に伴うドル円上昇をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:115.60ー116.40
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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