ドル続伸期待強いが、週末調整にも要注意
〇ドル円、116円近辺で動意薄
〇昨晩の米CPI予想上限の前年比7.5%で、米10年債利回りは2%台を回復
〇テクニカルには昨晩年初来高値116.35に面合わせするも抜けられず
〇ウクライナ情勢、昨晩大きく崩れた米株の動きは懸念材料
〇欧米時間のドル円予想レンジは115.50-116.40
<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場はドル底堅い。前日およそ1ヵ月ぶりに116円台を回復した流れを継ぎドルは堅調推移をたどったものの、一段の上値追いは見送られている。
ドル/円は116円前後で寄り付いたものの、東京休場に加え新規材料難とあって、動意そのものは限定的。終日を通した値動きも20ポイント強にとどまっている。ただ、116円を割り込む時間帯は非常に短く、ドルはおおむね底堅く推移すると、16時現在では116.05-10円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「ウクライナ情勢」と「米金融政策」について。
前者は、引き続き「ロシアがウクライナとの国境沿いで軍備を増強している」−−などといった情報が飛び交うなか、ロシアのラブロフ外相とトラス英外相はモスクワで会談を行ったものの話は物別れ。それもあってか、別途協議を行ったジョンソン英首相とストルテンベルグNATO事務総長のあいだでは「極めて壊滅的なことが近く起きることが不可能という意味ではない」、「欧州にとってこの数十年で最大の安全保障の危機となる可能性がある」といった、かなりの危機意識を共有ならびに取り沙汰されていたようだ。
対して後者は、昨日発表された1月の米消費者物価指数はギリギリ予想範囲内ではあるものの、その上限ともいえる前年比プラス7.5%となると、米10年債利回りは2%台を回復している。そうした状況を受け、バイデン米大統領が「物価上昇が家計を圧迫」などと懸念を表明したうえ、ブルームバーグはセントルイス連銀総裁がインタビューで「7月1日までに100bpの利上げ実施を望む」と述べたと報じていた。
<< 欧米市場の見通し >>
前述したように、強い米経済指標が発表されたこともあり、ドル/円は昨日116円台を回復。続く本日東京時間も、おおむね116円台での推移をたどっている。リスクという意味では間違いなくドル高方向にバイアス。しかし、年初来高値の116.35円に面合わせしたが、クリアに超えていかないところに懸念を抱く声もある。1月高値と今回でダブルトップを付けたのちドル安進行、というシナリオをたどる可能性もゼロではない。
先週末に発表された雇用統計の好数字で「米積極利上げ」見通しが復活するなか、昨日発表された1月の米消費者物価指数も強い内容で、米利上げ期待がさらに後押しされた格好だ。いわゆる日米金利差の拡大観測が、この先も基本的なドル高・円安を支援する公算が大きい。ただ、若干の不安は予断を許さない「ウクライナ情勢」と、昨日なかなか大きく崩れた米株の動き。後者は下げ幅がまだ想定内にとどまっているものの、さらなる続落などをたどるようだと為替市場も一転してドル売りが優勢になる危険性を孕んでいる。
テクニカルに見た場合、ドル/円は2週間近くたどってきた115.68円を上限としたレンジを上抜けただけでなく、116円台を回復するなどドルは大きく値を上げてきた。東京休場もその流れを継ぎドルは底堅い。このあともドルの続伸を期待する声が有力だが、短期的には2日安値114.16円を起点に2円強、1週間を超える上昇をたどっている。週末という日柄的な要因も合わせ、116.35円をクリアに超える前の調整の動きが先行する展開を警戒する向きも少なくない。
材料的に見た場合、中長期的にはEUが「アフリカに1500億ユーロ超投資する」と表明するなど経済のみならず軍事面でも対中対抗措置が目に付く「中国情勢」、チャールズ英皇太子の再感染で最近面会したエリザベス女王の罹患が気掛かりな「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、2月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値が発表される程度で、要人講演なども含めてさほど大きな材料は見当たらず。ただ、この週末13日に独大統領選が実施されることと併せ、来週初めのユーロ相場を警戒する声もある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは115.50-116.40円。本日東京高値である116.15-20円レベルの攻防にまずは注目。上抜ければ116.35円を再トライも。
対するドル安・円高方向は、昨日まで抵抗だった115.69円が今度はサポートとなるのかを注視したい。ただ、いずれにしてもドルの下値はかなり切り上がっており、114円台は目先かなり遠のいた感がありそうだ。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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