ドル高継続も今週は一進一退(週報1月第5週)

FOMCの結果が想定内とはいうものの3月利上げの示唆に加え、連続利上げにも言及したことからタカ派的と取られ、米金利上昇とともにドル買いの動きが強まりました。

ドル高継続も今週は一進一退(週報1月第5週)

ドル高継続も今週は一進一退

〇先週のドル円、115.68レベルと1/11以来ドル高水準、FOMCタカ派発言で米金利上昇とドル買いの動き
〇今週は中国が旧正月で一週間休み、他のアジア市場も休場多くアジア時間の動きは鈍りそう
〇今週は欧州主要国CPI速報値、英中銀MPC、ECB理事会、米1月雇用統計発表予定
〇英中銀は利上げがコンセンサス、欧州通貨買い戻し思惑ドル売りにつながる可能性も
〇今週は114.90レベルをサポートに116.00レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円はFOMCに向けてタカ派な思惑が広がり週初から底堅い展開が続いていましたが、FOMCの結果が想定内とはいうものの3月利上げの示唆に加え、連続利上げにも言及したことからタカ派的と取られ、米金利上昇とともにドル買いの動きが強まりました。週後半の米金利はやや水準を下げていたものの、ユーロドルが大きく水準を下げ2020年6月以来の水準まで売られたこともあり、ドル円も115.68レベルと1月11日以来のドル高円安水準となり、ドル高値圏での引けとなりました。

今週は中国が旧正月で一週間休みとなり、他のアジア市場も東京市場を除いて休場のところが多くアジア時間の動きは鈍くなりそうですが、欧州主要国のCPI速報値、英中銀MPCとECB理事会、金曜には米国雇用統計と週を通してイベントが多い月初の一週間となります。英中銀は利上げがコンセンサス、CPIの数字次第ではECB理事会後の総裁会見で言及するであろうことから、どちらかというと欧州通貨の買い戻し思惑がドル売りにつながる可能性があります。

国内材料はあまり重要なものも無いため、米金利と株式市場の影響とこれまで同様の材料で動くこととなりますが、約3週間ぶりの円安水準となっていることから115円台後半での需給がどうなるかも影響しそうです。長期的にはドル高・円安トレンドではあるものの一段の上昇の前に116円台に乗せるかどうかの攻防がありそうです。

また米国雇用統計はコンセンサスが失業率3.9%(前回と同じ)、非農業部門雇用者巣は+15.5万人と前回からさらに増加幅が縮小する見込みですが、予想幅としてはマイナス(減少)の予想をしているエコノミストもいるため、もしマイナスということになると雇用減少を嫌気したドル売りが出てきそうです。相関はあまりありませんが、先立って水曜に発表されるADP全国雇用者数も前回の+80.7万人から+20.8万人の予想となっているため、こちらも予想からの乖離は注目されるでしょう。

いずれにしても結果を見ないと何とも言えませんのでテクニカルに移ります。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

現状は値幅は広いものの11月高値と安値をそれぞれ起点とした上昇チャンネル(青)の中での動きとなっています。11月安値を起点とした上昇N波動(ピンク)も示してありますが、こちらをフィボナッチエクスパンションで上値のターゲットを計算すると78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが116.46と年初来高値をやや上回る水準となり、ドル高の動きがいくつか重ならないと届きにくいと見られます。

いっぽうで下値は115円割れで既にドル買いオーダーが出始めていること、18日高値115.06レベルを上抜けてから買いが強まったことを考えると115円割れでは買いが出てくるでしょう。今週は114.90レベルをサポートに116.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月31日(月)
**:** 中国市場休場(〜4日)☆
16:00 トルコ12月貿易収支
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値 ☆
21:00 南ア12月貿易収支
22:00 ドイツ1月CPI速報値 ☆
23:45 米国1月シカゴ購買部協会景況指数
25:30 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
30:45 NZ12月貿易収支

2月1日(火)
**:** シンガポール(〜2日)、香港(〜3日)市場休場
08:30 本邦12月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州12月小売売上高
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆
16:00 トルコ1月製造業PMI
16:00 ドイツ12月小売売上高
16:00 英国1月住宅価格
16:45 フランス1月CPI速報値 ☆
17:50 フランス1月製造業PMI
17:55 ドイツ1月製造業PMI
17:55 ドイツ1月失業率
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏12月失業率
23:45 米国1月製造業PMI
24:00 米国12月建設支出
24:00 米国1月ISM製造業景況指数 ☆
30:45 NZ10〜12月期失業率

2月2日(水)
10:30 豪中銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値 ☆
22:15 米国1月ADP全国雇用者数 ☆
24:30 週間原油在庫統計
**:** 英中銀MPC(〜3日)


2月3日(木)
09:30 豪州12月貿易収支、住宅建築許可
16:00 トルコ1月CPI
17:50 フランス1月サービス業PMI
17:55 ドイツ1月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏1月サービス業PMI
18:30 英国1月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI ☆
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
21:30 英中銀総裁会見 ☆
21:30 米国1月チャレンジャー人員削減予定数
21:45 ECB理事会 ☆
22:30 ラガルドECB総裁会見 ☆

22:30 米国10〜12月期単位労働コスト速報値
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国1月サービス業PMI
24:00 米国1月ISM非製造業景況指数 ☆
24:00 米国12月製造業新規受注
30:45 NZ12月住宅建築許可


2月4日(金)
09:30 豪中銀四半期金融政策報告 ☆
16:00 ドイツ12月製造業新規受注
16:45 フランス12月鉱工業生産
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
22:30 米国1月雇用統計 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月24日(月)
週明けのドル円は東京市場では日経平均の上下に沿って買いが先行後に売りという流れでしたが、欧州市場に入り株先の売りが強まりドル円も一時113.47レベルの安値をつけました。株式市場はウクライナ懸念を背景にNY昼過ぎまで下げ続けましたが、為替市場はユーロの下げによるドル買いの影響も重なり底堅い推移となって、NY後場には大幅安となっていたダウの買い戻しから114.00レベルまで戻し高値圏での引けとなりました。

1月25日(火)
前日にダウが急落急反騰を見せた後ということもあって株式市場は神経質な展開となっていましたが、ドル円は前日に113円台半ばで買いにぶつかったこともあり、どちらかというと底堅い印象でした。しかし114円台前半では売りも出て基本的に横方向にもみあいの動きで終始した一日となりました。

1月26日(水)
ドル円はFOMCを控えて株価が底堅かったこと、また声明でタカ派発言が出るという思惑もありドル買い戻しが進み、FOMC前には114.30前後の水準になっていました。FOMCは予想通り3月のテーパリング終了と同時に利上げを行うことを示唆する内容となり、それを受けて米金利が上昇、為替市場はドル買いで反応し、ドル円は114.70レベルへとドル買いが進みました。

1月27日(木)
ドル円はFOMCの結果から素直にドル買いとなりましたが、その後もドル買いの勢いが強まり短期筋による仕掛けのドル買いも加わって115円台乗せ。NY市場に入り発表されたGDP速報値も予想より強かったことから115.49レベルまで上伸し、高値圏での引けとなりました。

1月28日(金)
週末のドル円は終日米10年債利回りに沿った動きを続け、欧州市場序盤には115.69レベルと1月11日以来の水準に上昇しました。NY市場までは高値圏でもみあっていたものの米金利が低下に転じるとドル円にも売りが入り115.12レベルへと下押し、そのまま安値圏での週末クローズとなりました。

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