ドル円見通し 日銀の金融緩和維持と米長期債利回り上昇で115円に到達
〇ドル円、1/18昼過ぎ115.05つける、日銀金融緩和維持と米長期債利回り上昇が背景
〇米10年債利回り1.88%で2020年1月以来高水準、米連銀タカ派姿勢強まる認識でドル高再燃
〇日銀は長期の金融緩和継続、主要国の引き締め姿勢強まるなか、声明発表後ドル円上昇
〇ユーロやポンドの下落目立つ、ドル安基調一巡しドル高へ風向き変わる印象
〇114.44を割り込む場合は114.00前後への下落を想定する
〇114.80超えからは115.05試し、115.05超えからは115円台中盤を目指す上昇を想定する
【概況】
ドル円は1月18日昼過ぎに115.05円をつけて1月4日夜高値116.34円から1月14日夜安値113.47円までの下げ幅2.87円に対する半値戻し114.90円をいったん超えた。日銀が金融政策決定会合において一部で浮上していた引き締め姿勢への転換はなく長期的な金融緩和維持姿勢を強調したこと、米国市場休場明けの米長期債利回りが昼にかけて一段高で開始したことが115円到達への背景だった。
夕刻以降はユーロやポンドの下落が目立ち先週末までのドル安基調からドル高へと風向きが変わり、午後にやや鈍化していた米長期債利回りが再上昇したものの、それらに対してはドル円はなびかず、NYダウの大幅下落とクロス円全般の下落に圧迫されて114.50円前後の揉み合いとなっている。
【米長期債利回り一段高でドル高再燃】
1月18日の米10年債利回りは先週末比0.09%上昇の1.88%となり2020年1月以来の高水準に達した。30年債利回りも0.07%上昇の2.19%、2年債利回りも0.08%上昇の1.05%を付けたが、2年債利回りの1%台は2020年2月以来。
米連銀による早期のテーパリング終了と年3回の利上げを織り込み済みとして1月6日の米FOMC議事録公開から7日夜の米失業率改善にかけてもドル安基調が続きドル円も大幅下落していたが、インフレ進行はさらに続いて米連銀の年4回利上げもあり得るという状況へとタカ派姿勢が強まっているとの認識でドル高が再燃してきた印象だ。
1月18日はNYダウが前週比543.34ドル安、ナスダック総合指数も386.85ポイント安と大幅下落した。NY連銀の1月景況指数が12月の31.9からマイナス0.7へと大幅に低下して市場予想の25.0を下回り2020年6月以来のマイナス圏へ転落したことも株安要因だったが、長期債利回り上昇による圧迫感が株安を助長した印象だ。
【日銀は長期の金融緩和を継続】
日銀は18日の金融政策決定会合で現状の大規模な金融緩和を維持するとした。黒田総裁は会見で「最近の物価上昇は資源高など一時的な要因による」「過去の資源高も持続的な物価上昇にはつながらなかった」「2%の物価目標実現に向けて着実に上昇していく状況にはない」とし、「利上げとか現在の緩和的な金融政策を変更することは全く考えていないし議論もしていない」と述べた。
主要国がインフレ対策で引き締め姿勢を強めている状況も踏まえて今回の日銀金融政策決定会合での物価認識が注目されたが、マイナス金利の維持はしばらく続くとみて声明発表後のドル円は上昇した。黒田総裁の在任中は金融政策の大幅な変更は期待されない印象だ。
【ドル高へと風向き変わる】
ユーロドルは1月19日早朝へ大幅下落となり1.135ドルを割り込んできた。1月14日には1.1482ドルへ上昇して11月以降の持ち合いでは上抜けなかった1.14ドル台に乗せて持ち合い上放れに入ったかに思われたが、17日と18日の続落により戻り一巡から下落再開に入ってきた印象だ。
ポンドドルも12月8日安値1.3161ドルを底として1月13日高値1.3748ドルまで上昇してきたが14日から3日連続の日足陰線で下落しており上昇一巡からの下げ再開に入ってきている印象となっている。18日夜は豪ドル、NZドル、南アランド等も総じて下落しており、11月後半ないしは12月からのドル安基調が一巡してきた印象を強めた。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜へ一段安したところから1円を超える反騰となったために18日午前時点では14日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は11日深夜高値を基準として14日夜から18日夜夜にかけての間と想定されるので反騰一服の調整安も入りやすいところとした。
1月18日昼へ一段高してから114.40円台まで反落したため、18日昼高値を直近のサイクルトップとするが、高値更新からは新たな強気サイクル入りとする。このため18日昼高値を超えないうちは19日夜から21日夜にかけての間への下落余地ありとするが、18日昼高値超えからは21日午前から25日昼にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では1月18日昼高値からの反落で遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンには潜り込まずにいる。先行スパンへ潜り込む場合は下落余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上回るうちは上昇再開へ進む可能性を優先し、18日昼高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月18日昼からの反落で50ポイントを割り込んだが50ポイント割れは買われて確りりしている。45ポイント割れからは下落継続とみるが、60ポイントに到達するところからは上昇再開とみて70ポイント台を目指すと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.44円を下値支持線、115.05円を上値抵抗線とする。
(2)114.44円を割り込む場合は114.00円前後への下落を想定するが114円以下は買い戻されやすいとみる。
(3)114.80円超えからは115.05円試しとし、115.05円超えからは115円台中盤(115.30円から115.70円)を目指す上昇を想定する。115.50円以上は反落注意とするが、115.05円を超えた後も114.80円以上での推移なら20日は高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1/19(水)
16:00 (英) 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 0.7%、予想 0.3%)
16:00 (英) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 5.1%、予想 5.2%)
16:00 (英) 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 4.0%、予想 3.9%)
16:00 (英) 12月 小売物価指数 前月比 (11月 0.7%、予想 0.6%)
16:00 (英) 12月 小売物価指数 前年同月比 (11月 7.1%、予想 7.1%)
16:00 (独) 12月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
16:00 (独) 12月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 5.3%、予想 5.3%)
18:00 (欧) 11月 経常収支・季調済 (10月 181億ユーロ)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前月比 (10月 1.6%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前年同月比 (10月 4.4%)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数・年率換算件数 (11月 167.9万件、予想 165.0万件)
22:30 (米) 12月 住宅着工件数 前月比 (11月 11.8%、予想 -1.7%)
22:30 (米) 12月 建設許可件数・年率換算件数 (11月 171.2万件、予想 170.1万件)
22:30 (米) 12月 建設許可件数 前月比 (11月 3.6%、予想 -1.0%)
27:00 (米) 財務省20年債入札
1/20(木)
08:50 (日) 12月 貿易統計・通関・季調前 (11月 -9548億円、予想 -7892億円)
08:50 (日) 12月 貿易統計・通関・季調済 (11月 -4868億円、予想 -7263億円)
09:30 (豪) 12月 新規雇用者数 (11月 36.61万人、予想 6.00万人)
09:30 (豪) 12月 失業率 (11月 4.6%、予想 4.5%)
16:00 (独) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 0.8%、予想 0.7%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・HICP改定値 前年同月比 (速報 5.0%、予想 5.0%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数・HICPコア指数改定値 前年同月比 (速報 2.6%、予想 2.6%)
21:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 20.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 155.9万人)
22:30 (米) 1月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (12月 15.4、予想 20.0)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (11月 646万件、予想 642万件)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数 前月比 (11月 1.9%、予想 -0.6%)
25:00 (米) エネルゴ―省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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