ドル円、一時115円台回復するもすぐに失速。黒田総裁は引き締め観測を明確に否定
〇ドル円、日銀政策決定後に円売り戻し活発化一時115.06まで上昇
〇その後は株価の軟調、NY連銀製造業景気指数の急低下等で114.46まで急落
〇ユーロドル、米金利上昇や欧米株の冴えない動きに米国時間にかけ安値1.1319まで急落
〇ドル円、一目均衡表雲上限を死守しテクニカルの地合い強い
〇黒田総裁は記者会見において市場で燻っていた金融引き締め観測を明確に否定
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:114.00ー115.00
海外時間のレビュー
18日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。@日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、A米金利上昇を背景としたドル高圧力、B注目された日銀金融政策決定会合を無難に終えたことに伴う安堵感(一部で予想されていたようなタカ派的な結果とならず、円ロングの巻き戻しが活発化)が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値115.06まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、C日経平均株価や時間外の米ダウ先物が下げ幅を拡大したことや、D上記Cを背景としたリスク回避の円買い圧力(米10年債利回りが約2年ぶり高水準となる1.85%へ急上昇→株式市場下落→リスク回避の円買い圧力)、E米1月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲0.7、予想25.7)の急低下が重石となり、米国時間にかけて、一時114.46まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/19午前4時50分現在)では、114.56前後で推移しております。
18日(火)のユーロドル相場は急反落。アジア時間午後にかけて一時1.1422まで上値を伸ばすも、前日高値1.1436をバックに伸び悩むと、@米金利上昇を背景としたドル高圧力(欧米金融政策格差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力)や、A欧米株の冴えない動き(米金利の上昇を嫌気する形で株式市場が下げ幅拡大→リスク回避のドル買い再燃)、Bウクライナを巡る地政学的リスク(米ホワイトハウスによるロシアによるウクライナ攻撃はいつ起きてもおかしくないとの見解発表)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1319まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/19午前4時50分現在)では、1.1332前後で推移しております。尚、注目されたドイツ1月ZEW景況感指数(結果51.7、予想32.0、前回29.9)は市場予想を大幅に上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は1/14に記録した安値113.48をボトムに反発に転じると、昨日は一時115.06まで急伸しました。一目均衡表雲上限を死守できたことや、強い買いシグナルを示唆するパーフェクトオーダーが継続していること、ダウ理論の上昇トレンドが続いていることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(昨年11/30に記録した安値112.53を下回らない限り上昇トレンドは継続中)。ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(米国は金融政策の早期正常化観測を背景に米10年債利回りが約2年ぶり高水準へと急上昇。一方、日本は昨日の日銀金融政策決定会合で金融緩和政策の継続を改めて強調)など、日米金利差拡大に伴うドル高・円安トレンドは当面続くと考えられます。
事実、昨日発表された日銀金融政策決定会合では、@2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)見通しが小幅な上昇修正(今回+1.1%、前回+0.9%)に留められると共に、A声明文でも「物価見通しのリスクは上下にバランスしている」「必要なら躊躇なく追加緩和を実施する」といった強いメッセージが発されました。また、Bその後の黒田総裁記者会見においても「金利を引き上げること想定してない。必要なら更に引下げ」「為替の円安が全体として日本経済にプラスとの構図に変化ない」との見方が示されるなど、市場で燻っていた金融引き締め観測を明確に否定しました。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(本日も引き続き米長期金利と米主要株価指数を睨みながらの神経質な展開を想定。米国時間に発表される米住宅関連指標や米主要金融機関の決算発表にも要警戒。米長期金利上昇およびウクライナを巡る有事のドル買いが、株安に伴うリスク回避の円買いのインパクトを上回ると予想)。
本日の予想レンジ:114.00ー115.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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