トルコリラ円見通し 12月20日の中銀金融政策決定会合を控えて揉み合いを続ける(22/1/19)

中銀金融政策決定会合を控え1月3日に8.13円まで反落してから9.00円まで戻した後は3日高安レンジ内での揉み合いが続いているが、18日もこのレンジ内での動きにとどまった。

トルコリラ円見通し 12月20日の中銀金融政策決定会合を控えて揉み合いを続ける(22/1/19)

トルコリラ円見通し 12月20日の中銀金融政策決定会合を控えて揉み合いを続ける

〇トルコリラ円、1/18は8.55から8.38の取引、1/3高安レンジ内での動きにとどまる
〇対ドル、13リラ台で持ち合い継続、1/10以降安値更新回避するも上値重い状況
〇1/20トルコ中銀金融政策会合、政策金利据え置きが市場予想、追加利下げ急がない姿勢か
〇8.50以下での推移中は下向きとし、8.30割れからは8.20から8.15を試すとみる
〇8.50超えからは上向きとして8.57試し、8.57超える場合は8.60前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月18日は8.55円から8.38円の取引レンジ、19日早朝の終値は8.46円で前日終値の8.51円からは0.05円の円高リラ安だった。安値はベンダーによってブレも大きく、8.35円や8.30円等も見られた。
1月20日のトルコ中銀金融政策決定会合を控えて1月3日に8.13円まで反落してから9.00円まで戻した後は1月3日の高安レンジ内での揉み合いが続いているが、18日もこのレンジ内での落ち着いた動きにとどまった。
エルドアン大統領が金利低下は緩やかに進むと述べたことで、利下げ政策そのものは変わらないとして発言が伝わった後は一時売られたものの、1月20日の追加利下げは無いだろうとの見方から持ち直している。

【対ドルでは13リラ台での持ち合いを継続】

ドル/トルコリラの1月18日は13.65リラから13.15リラの取引レンジ、19日早朝の終値は13.53リラで前日終値の13.42リラからは0.11リラのドル高リラ安だった。
高インフレ下での連続利下げ強行を嫌気して歴史的な暴落となり12月20日に18.36リラの史上最安値をつけたが、リラ預金の為替差損を国家が補填するというサプライズ政策の発表から12月23日高値10.06リラへ反騰、その後は先行き不透明感は変わらないとして揺れ返しの下落となり1月10日には13.93リラまで安値を切り下げてきた。
1月10日以降は新たな安値更新を回避しているが、13.10リラ台へ乗せるところでは戻り売りにつかまり上値の重い状況で揉み合いとなっている。
1月18日はユーロやポンド、豪ドルや南アランド等が下落してドル高感がぶり返したことはトルコリラにも圧迫感をもたらしたが、トルコリラ独自の乱高下後に12月20日の中銀金融政策会合待ちとなっているために全般状況には流されずにいる。

【1月20日のトルコ中銀は政策金利現状維持か】

1月20日にトルコ中銀の金融政策決定会合があるが政策金利の据え置きが予想される。
9月から4会合連続で利下げを行い、利下げ前の19%から12月には14%まで大幅な利下げが強行されてきた。利下げがインフレを抑制して経済を浮上させるというのがこの数年間でエルドアン大統領が繰り返し主張してきた方針であるが、高インフレ下での連続利下げは金融政策の常道に反するものであり、連続利下げの中でインフレは一段と加速したためにトルコリラ円は12月20日安値で6.17円の史上最安値を付けた。
リラ預金の為替差損を補填する政策を発表したことから12月23日高値11.14円まで急反騰したが、戻りも一時的に終わって1月3日には8.13円まで下げ、その後は1月3日の高安レンジ内での持ち合いで推移してきた。
12月の利下げ後にカブジュオール中銀総裁はしばらく様子を見る姿勢を強調していたが、1月18日にエルドアン大統領が「金利は緩やかかつ段階的に下がる」と述べたことで先行きの利下げ姿勢は変わらないものの当面は様子見として追加利下げを急がない姿勢を示したのではないかと市場は受け止めている。

国営アナドル通信の報道では大統領は「リラのボラティリティー低下に満足しており、政府としてリラへの関心を高めるために注力している」「為替レートと金利はゆっくりと段階的に急がずに低下する」等と述べたようだ。
ネバティ財務相も通信社とのインタビューで「経済が1-3月にどう展開するか様子を見たい」との姿勢を表明しているが、今回の大統領発言も踏まえて当面は様子見に入る状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月13日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日夜から17日夜にかけての間への下落を想定していたが、1月17日夜の上昇で強気転換目安とした8.55円を超えたため、18日午前時点では17日午後の一時的な安値を除いて14日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また新たな高値形成期を17日深夜から20日未明にかけての間と想定して既に反落注意期にあるとした。
1月17日夜高値の後は伸びずに18日夜へ反落したため、17日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。ボトム形成期は19日午後から21日午後にかけての間とするが、大きな流れは20日夜のトルコ中銀金融政策決定会合に対する反応からと思われるので、それまでは揉み合いか安値試しへ進みやすいとみる。強気転換は17日夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では1月18日夜の下落で先行スパンからいったん転落したがその後の反発で再び潜り込んでいる。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月18日夜の下落で30ポイントを割り込んだがその後の反発で50ポイントまで戻している。60ポイントを超えないうちは45ポイント割れから下げ再開とみるが、60ポイント到達からは高値試し優先として70ポイントに迫る上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.30円を下値支持線、8.57円を上値抵線とする。
(2)8.50円以下での推移中は下向きとし、8.30円割れからは8.10円台後半(8.20円から8.15円)を試すとみる。8.20円以下は買い戻しも入りやすいとみるが8.40円以下での推移なら20日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.50円超えからは上向きとして8.57円試しとみる。8.57円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが8.57円を超える場合は8.60円前後への上昇を想定する。また8.50円以上での推移なら20日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月20日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合
週間レポレート (現行 14.0%、予想 14.0%)
翌日物貸出金利 (現行 15.5%)
      翌日物借入金利 (現行 12.5%)
      後期流動性貸出金利 (現行 18.5%)
 20:30 週次外貨準備高 グロス(1/14時点 709.9億ドル),
 20:30 週次外貨準備高 ネット(1/14時点 79.5億ドル)
1月21日
 16:00 1月 消費者信頼感 (12月 68.9)
1月25日
 16:00 1月 製造業景況感 (12月 106.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 78.7%)


注:ポイント要約は編集部

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