トルコリラ円見通し 今晩、トルコ中銀金融政策決定会合(22/1/20)

トルコリラ円の1月19日は8.55円から8.38円の取引レンジ、20日早朝の終値は8.50円で前日終値の8.46円からは0.04円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 今晩、トルコ中銀金融政策決定会合(22/1/20)

今晩、トルコ中銀金融政策決定会合

〇トルコリラ円、19日は8.55から8.38の取引レンジ、1/3以降は8円台中盤での持ち合い続く
〇今晩の中銀金融政策が膠着状態から上下いずれかへ抜け出すきっかけとなるのか注目
〇対ドルも下落一服で13リラ台での持ち合い推移、中銀会合へ向けボラティリティが低下した状況
〇今晩20時発表の政策金利、13.5%への引き下げ予想もあるが現行14.0%据え置きの見方が濃厚
〇トルコとアラブ首長国連邦は19日に凡そ50億ドル相当の通貨スワップ協定を結んだと発表
〇8.55超えからは8.60台前半を目指す可能性、中銀発表から急伸なら8.70前後へ上値目途引き上げ
〇8.30以下は反騰注意とするが中銀発表から急落の場合は8.20以下への下落となる可能性も

【概況】

トルコリラ円の1月19日は8.55円から8.38円の取引レンジ、20日早朝の終値は8.50円で前日終値の8.46円からは0.04円の円安リラ高だった。ベンダーによっては一時的な安値で8.21円台を付けたところも見られた。
高インフレが進行しているにもかかわらず9月から4会合連続の利下げを強行してきたことで9月1日に13.32円を付けていたところから12月20日6.17円の史上最安値まで歴史的な暴落に見舞われ、12月20日のエルドアン大統領によるリラ預金の為替差損補填政策発表により12月23日高値11.14円まで急反騰するも先行き不透明感から失速して1月3日には8.13円まで反落した。1月3日の反発時に9.00円を付けた後は1月3日の高安レンジ内にとどまり8円台を維持しつつ8円台中盤までの持ち合いを続けている。

歴史的な暴落一服状態にあるため、高金利を目当てとしたゼロクーポン債等に対する買いの妙味もあるところとして注目されているが、無謀ともいえる高インフレ下での連続利下げ政策と今後も一層利下げへ進みたいとするエルドアン政権の政策への不安感や、外貨準備の減少、財政悪化等による格下げやデフォルトへの懸念も付きまとうところであり、1月3日以降の膠着状態から上下いずれへ抜け出すのか、今晩の中銀金融政策が抜け出すきっかけとなるのか注目したい。

【対ドルでは13リラ台の持ち合いで中銀金融政策決定会合へ向かう】

ドル/トルコリラの1月19日は13.62リラから13.29リラの取引レンジ、20日早朝の終値は13.37リラで前日終値の13.53リラからは0.16リラのドル安リラ高だった。
12月20日に18.36リラの史上最安値をつけてから12月23日高値10.06リラへ反騰、その後の揺れ返しの下落で1月10日には13.93リラまで安値を切り下げてきたが、10日以降は下落も一服して13リラ台での持ち合い推移となり、1月20日のトルコ中銀金融政策決定会合へ向けてボラティリティが低下した状況となっている。
先週末からはドル高がぶり返していたが、19日早朝から19日夜にかけてはユーロやポンドなどが戻してドル安再燃感が出ていたが、深夜以降はNYダウの大幅下落を見てドル安にもややブレーキがかかっている印象だ。
米長期債利回りの上昇基調は継続しており、主要国が金融引き締め姿勢を強める中でインフレに利下げで対抗するとするエルドアン大統領と大統領の意向を反映したトルコ中銀の金融政策のズレも大きくなっている。

【トルコ中銀は政策金利現状維持との事前予想】

今晩20時に結果が発表されるトルコ中銀の政策金利については現行の14.0%での据え置きとの見方が濃厚となっているが13.5%への引き下げ予想も見られる。
前回の利下げ発表時に、カブジュオール中銀総裁は当面の景気推移を見守るとして連続利下げの打ち止め感を示した。
1月18日にエルドアン大統領は「為替レートと金利はゆっくりと段階的に急がずに低下する」等と述べて連続利下げを急がない姿勢を示した。またネバティ財務相も「経済が1-3月にどう展開するか様子を見たい」と述べており、エルドアン政権と中銀共に1-3月期の状況を見定めてから利下げ再開を探るというスタンスと思われる。

【トルコとUAEの通貨スワップ協定】

トルコとアラブ首長国連邦(UAE)の両中銀は1月19日に凡そ50億ドル相当の通貨スワップ協定を結んだと発表した。両国間の貿易を促進し金融分野の協力を強化することが目的とし、期間を3年として延長される可能性もあるとした。協定の規模は640億リラと180億ディルハム。
トルコは中国、カタール、韓国と凡そ230億ドル規模の通貨スワップ協定を結んでいるが、リラ暴落過程における市場介入によりスワップ協定分と市中銀行からの借り入れを除けば既に外貨準備高が実質マイナスとなっているのではないかとも推察されている。
1月20日夜には週次の外貨準備高の発表もあるが、1月3日時点ではグロスで709.9億ドル、ネットでは79.5億ドルにまで減少している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月14日昼安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、1月17日夜高値の後は伸びずに18日夜へ反落したために19日午前時点では17日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして19日午後から21日午後にかけての間への下落を想定した。
1月19日午前にいったん戻してから夕刻へ反落したが、安値更新を回避して19日深夜には8.50円を超えるところまで戻したので、現状は19日未明安値と19日夕安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとする。高値形成期は20日夜から25日夜にかけての間と想定するが、19日夕安値割れからは弱気サイクル入りとして24日午後から26日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月19日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落するところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月19日夜の上昇で70ポイントに迫ってから60ポイントを割り込んでいる。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.38円を下値支持線、8.55円を上値抵抗線とする。
(2)8.45円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.55円超えからは8.60円台前半(8.60円から8.65円)を目指す可能性があるとみる。トルコ中銀金融政策発表から急伸する場合は8.70円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)8.38円割れからは8.30円前後への下落を想定する。8.30円以下は反騰注意とするが中銀金融政策発表から急落の場合は8.20円以下への下落となる可能性もあると注意する。

【当面の主な予定】

1月20日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合
週間レポレート (現行 14.0%、予想 14.0%)
翌日物貸出金利 (現行 15.5%)
      翌日物借入金利 (現行 12.5%)
      後期流動性貸出金利 (現行 18.5%)
 20:30 週次外貨準備高 グロス(1/14時点 709.9億ドル)
 20:30 週次外貨準備高 ネット(1/14時点 79.5億ドル)
1月21日
 16:00 1月 消費者信頼感 (12月 68.9)
1月25日
 16:00 1月 製造業景況感 (12月 106.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 78.7%)

注:ポイント要約は編集部

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