ドル高基調継続、高値115.52円の攻防注視
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場もドルが続伸。一時年初来高値115.52円を視界内に捉えた動きをたどるなど、週足も4週続けての陽線引けを記録していた。
前週末は、新型コロナ・オミクロン株の感染拡大もあり、岸田首相による来月の訪米予定が白紙になったとの報道あり。また、NATOが1月12日にロシアと協議する予定と報じられた。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた114.30-35円を週間安値にドル強含み。年末年始相場の薄商いのなか、30日には115.20円まで上昇している。115.52円を意識させる動きだったが、その後はやや上げ渋り。それでも、週末NYは115.05-10円のドル高値圏。2021年相場は、おおむね「寄り付き安・大引け高」で終了、越年している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「トルコリラ相場」について。
前者は、クリスマス明けとなる週初27日にフランスとイタリアが「新型コロナ感染者、過去最多更新」したことを明らかに。また今年2月に北京五輪を控えるなか、中国西安市において「新規感染者が21ヵ月ぶりの水準に増加」したことも明らかとなった。ロシアなどを含めた欧州地域を中心とした感染拡大が止まらず、依然として危機感を抱く向きも少なくないが、一方で南アフリカでの研究として「オミクロン株感染でデルタ株に対して高い免疫を獲得できる可能性がある」といった一報がもたらされるなど、わずかな希望も取り沙汰さていたようだ。
対して後者は、先々週にトルコのエルドアン大統領が「リラ建て預金の価値を政府が保全する」と表明したことで、中長期的なリラ安の流れが変化したものの、そののち再び売りが先行する展開。先週のトルコリラは週間を通して緩やかな右肩下がり。対円では週明け10円半ばだったものが、週末には8.3円台まで一時値を下げていた。率にすると、1週間で20%程度の下落となる。前述した政策の実現を単純に疑問視する声のほか、仮に実現したとすれば今度は予算やインフレに与え得る悪影響も取り沙汰されており、リラ買いへの警戒感も少なくない。
<< 今週の見通し >>
前述したように、ドル/円の週足は4週連続の陽線引け。ドルの基調の強さを感じさせる足形だ。先週末のNYクローズも辛うじて115円台をキープし、2021年高値の115.52円が依然として視界内に捉えられていることは間違いない。今週は、まず同レベルをめぐる攻防に注目。そして上抜ければドルはさらなる上値余地が広がることになりそうで、中長期的なターゲットは118円台か。
今年の金融市場において、注目要因のひとつに挙げられているのは日米欧英など主要国の金融政策。ただ、いずれにしても金利引き上げが予想される米国と、ゼロ金利政策継続の日本という構図からすると、円を積極的に買い進めにくい状況が続くと考えざるを得ない。そうしたなか、今週は週末に注目の12月米雇用統計が発表される予定となっている。如何なる数字となるのか注目だ。また、名実ともに2022年相場入りすることで、需給要因の変化などにも一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円は4週連続の陽線引けを記録するなど、ドル高基調は続いており、リスクも基本的には上向き。そしてドル高方向の最初のターゲットは昨年高値の115.52円となる。
ただ、ポジション的にはかなりドルロングが蓄積されつつあるようだ。一度崩れれば、週間を通して114円前半で推移する移動平均の21日線を目指した下押しも否定できない。
材料的に見た場合、中長期的には、開催まで1ヵ月強となる北京五輪への各種警戒感が根強い「中国情勢」、クリスマス明け同様に年末年始明けの感染拡大が懸念されている「新型コロナ・オミクロン株問題」、「原油供給問題」−−が注視されている。
そうしたなか今週は、12月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表されるほか、年末年始休暇をとっていた各国要人による仕事始めから講演などのイベントも少しずつ実施される見込みだ。後者である米要人、とくに通貨当局者らによる金融政策に関する発言には一応注意しておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、113.80-115.80円。ドル高・円安については、先週高値115.20円、そして115.52円をめぐる攻防にまずは注目。上抜けた場合には軽い青天井となりそうで、思わぬドル高進行も否定できない。
対するドル安・円高方向は、短期的には114円半ばがなかなか強いサポートになりそう。また割り込んでも底堅く、113円台では下げ止まる展開か。いずれにしても大崩れする展開は予想しにくいように思う。(了)
ドル円時間足
オーダー/ポジション状況
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