ドルに続伸期待、年初来高値も視界内
〇ドル円じり高推移、寄り付き114.90-95を日中安値に夕刻にかけ115.20まで値を上げる
〇ドル円115円台にしっかり乗せ、リスクそのものはドル高方向にバイアスか
〇年初来高値115.52円も視界内に捉えられるなか、ドルはさらなる続伸をたどる可能性も
〇本日米指標、新規失業保険申請件数、シカゴ購買部協会景気指数など、全般的に材料は少なめ
〇ただ、年末年始相場で薄商いとなっており、予想外の仕掛けやフローでドルの急落など荒っぽい変動も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.80-115.60
<< 東京市場の動き >>
30日の東京市場でドルが小高い。前日「しっかり」とは超えられなかった115円台を回復し、年初来高値の115.52円を視界内に捉えてきた。
ドル/円は寄り付いた114.90-95円を日中安値にじり高推移。途中、上げ渋る局面も観測されたが夕方に掛け再上昇に転じると日中高値の115.20円レベルまで値を上げている「寄り付き安・大引け高」の様相だった。16時現在、ドル/円はそのまま日中高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、円は対ドル以外、ユーロやポンド、豪ドルなどでも売りが先行する展開となったが、逆にランドやトルコリラに対しては買い優勢だった。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「中国情勢」について。
前者は、WHO事務局長が「コロナ変異株『デルタ』と『オミクロン』の同時流行が感染者の津波を引き起こしている」とし、懸念を表明。そうしたなか英国や米国において、実際に「コロナ感染者が過去最多を更新」したことが明らかになっている。年末年始シーズンへと入るなか、依然として予断を許さない状況だが、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長からは「コロナ感染者急増も入院や死亡は低水準」とのコメントが聞かれ、わずかながら安心要因となっていたようだ。
対して後者は、米国などによる「外交的ボイコット」に賛同したとの表明はなかったものの、ドイツが来年2月の北京冬季五輪に「外相とスポーツ相が出席しない方針」を示していた。また、ショルツ独首相は自身が出席するかどうかまだ決めていないという。一方、それとは別に28日に2本のドル建て社債の利払い期限を迎えていた中国恒大集団だが、ブルームバーグによると「社債保有者の話ではクーポンの支払い」が行われていないもよう。2度目のデフォルトにも黄信号が灯ったか。
<< 欧米市場の見通し >>
ここ数日、ドル/円は115円台乗せが失敗に終わったかと思われたが、昨日欧米時間に続き、本日東京で115円台へとしっかり乗せてきた。テクニカルのひとつ、オシレーター系のチャートなどを見ると、ポジションは偏りつつあるところは気掛かりだが、リスクそのものはドル高方向にバイアスか。年初来高値115.52円も視界内に捉えられるなか、ドルはさらなる続伸をたどる可能性もある。
日米金利差から日本円を基本的に買い進めにくい環境下、NYダウをはじめとする米株も全般的には依然として堅調だ。新型コロナの感染拡大、とくにオミクロン株への警戒感を抱く向きも少なくないが、かつてほど強い危機感は聞かれておらず、市場のリスク回避志向を高めることにはなりそうもない。もっとも、年末年始相場で薄商いとなっており、予想外の仕掛けやフローでドルの急落など荒っぽい変動をたどることにも、一応注意だけはしておきたいところだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は数回の足踏みが観測された115円レベルを、ようやく上抜けてきた。ドルロングの積み上がり、ポジションの偏りだけは気掛かりだが、年初来高値の115.52円に向けたドルの続伸が期待されている。本日を含め年内残り2日となるなか、今年は「年初安の年末高」。結果からすると、一年を通して一本調子のドル高進行となるか。
材料的に見た場合、中長期的には、恒大集団に再びデフォルト懸念が囁かれるなど依然予断を許さない「中国情勢」、感染拡大は要注意だが弱毒性との見方がジワリと有力視されはじめている「新型コロナ・オミクロン株問題」、「原油供給問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や12月のシカゴ購買部協会景気指数などが発表される予定だが、冬休み入りしている要人も多く、講演などのイベントはとくに予定されていない。全般的に材料は少なめで、やや動きにくそうな雰囲気も。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.80-115.60円。東京高値の115.20円レベルが最初の抵抗。超えれば、いよいよ年初来高値115.52円が視界内に。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗だった115円レベルが今度はサポートとなりそう。ただ、割り込んでも114.70-80円などにもサポートがあり、ドルは底堅いイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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