ドル高傾向続くが、上値は重い可能性
〇ドル円、114円台後半で底堅いが上値も重く値幅限られる
〇ブルームバーグ「世界での一日当たり感染者数が27日に過去最多を更新」と報じる
〇基本的なリスクがドル高方向へバイアスの掛かるなか、このあと115円台を示現することができるか注視
〇仮に115円台を回復すれば、年初来高値115.52円も視界内に
〇本日、11月の中古住宅販売などが発表されるほか、米7年債の入札も予定されているが材料は少なめ
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.50-115.30
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場でドルは底堅い。ただ、いわゆる年末相場で動意は乏しく、値動きも20ポイントにはとどかなかった。
ドル/円は114.80円前後で寄り付いたものの、動意は全般的に乏しい。日米株価に一喜一憂しつつも、新規材料に欠けたこともあり、積極的な変動はほぼうかがえなかった。114円台後半の20ポイント弱のレンジにとどまっている。16時現在114.85-90円で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、先週対円では一時11円台までの戻りを達成したトルコリラだが、ここ最近は再び売り優勢に。東京時間には9.4円前後まで一時下落している。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「米露協議」について。
前者は、ブルームバーグが「世界での一日当たり感染者数が27日に過去最多を更新」と報じて物議を醸す。また、28日には英仏伊およびポルトガルで一日当たりの新規感染者数が、実際に過去最多を更新したことも明らかになっている。依然として終息する様子はまったくうかがえない。しかし、ロイターが報じた南アフリカでの研究によると、「オミクロン株感染でデルタ株に対して高い免疫を獲得できる可能性がある」という。詳細については、まだこれからの分析結果待ちだが、一抹の希望を抱く向きも少なくないようだ。
対して後者は、米国家安全保障会議の報道官が「米露は来年1月10日に戦略安保対話」を行うと発言したとされ、一部で話題に。内容的にはウクライナ情勢のほか、NATOの東方不拡大などについても話し合われる見込みとされている。市場筋ならずとも合意への期待は大きいものの、両者の主張の隔たりは大きく、「成果」を得られるかどうかは不透明な状態だ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日のドル/円は、薄商いのなか114.94円まで上昇したものの、心理抵抗の115円にはとどかず。また本日東京でもドルは底堅く推移したが、やはり115円の壁は超えられなかった。基本的なリスクがドル高方向へとバイアスの掛かるなか、このあと11月26日以来の115円台を示現することができるのかに引き続き注視してみたい。仮に115円台を回復すれば、年初来高値115.52円も視界内に。
日米の金利差を考えると、日本円を基本的に買い進めにくい環境下、NYダウをはじめとする米株も堅調に推移している。ちなみに本日の東京時間、時間外で取引されている先物ベースのNYダウなど主要3指数はすべてプラス圏で推移、このあとも堅調推移が続くとの見方が優勢だ。米株がしっかりとした動きをたどれば、ドル/円は今度こそ115円台回復も否定できない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は115円台回復を意識した動きながら、114円台後半で足踏み。薄商いのなか、ドルは上げ渋っている。
年初来高値115.52円を起点としたフィボナッチ・リトレースメントの観点では、下げ幅の76.4%戻し114.80-85円も上抜けており、100%戻ししか上値メドが存在しない。本日を含め年内残り3日。果たして、年初来高値に迫るあるいは更新する展開があるのだろうか。
材料的に見た場合、中長期的には、年末年始相場で動意が全般的に乏しいなか恒大集団の株価が7%超の上昇をたどるなどお騒がせな「中国情勢」、クリスマスに続く年末年始明けの感染拡大懸念も取り沙汰されている「新型コロナ・オミクロン株問題」、「原油供給問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、11月の中古住宅販売成約指数などが発表されるほか、米財務省による7年債の入札も予定されているものの、材料そのものは比較的少なめ。また、バイデン米大統領に続き日本の岸田首相も短い冬休みに入ったとされるなど、世界の要人も休暇モードになっているようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.50-115.30円。引き続き115円前後が最初の抵抗。時間ベースで少なくとも3-4度はドル高を抑制している。超えれば年初来高値115.52円が再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、まずは114円半ばをめぐる攻防にまずは注目。割り込めば114円前後がターゲットとなり、一時的には113円台をみる可能性も。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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