ドル円見通し 年初からの上昇もそろそろ1年、変化を探る(週報12月第4週)

ドル円の上昇基調は今年1月6日安値102.57円を起点に始まった。既に年末であり上昇も1年を経過する。

ドル円見通し 年初からの上昇もそろそろ1年、変化を探る(週報12月第4週)

ドル円見通し 年初からの上昇もそろそろ1年、変化を探る

〇先週のドル円、12/24午前に12/4安値112.54以降の高値114.51をつけ、114円台前半で越週
〇12/20以降NYダウ反騰、ドル円も米長期債利回り上昇及び高止まりから高値切り上げへ進んだ
〇「オミクロン株による景気後退には陥らない」との認識広まりリスクオンの流れ
〇ドル円の上昇基調は今年1/6安値102.57を起点に既に1年を経過
〇中長期サイクルでは1月後半、短ければ年初から下落に転じてもおかしくない状況
〇114.20以上での推移中は上昇余地ありとし114.51超えからは114.70前後を目指すとみる
〇114.20割れから続落の場合は114.05試し、114.05割れからは113円台後半への下落を想定

【概況】

ドル円は12月24日午前高値で114.51円を付けて11月30日安値112.52円と12月4日安値112.54円によるダブルボトム以降の高値を更新したが、その後はクリスマスイブで閑散取引となったために114.27円まで若干下げてからは114.30円台中心での小動きにとどまった。
12月16日早朝の米FOMCが2022年3月までのテーパリング終了と2022年3回の利上げ見通しを示したことで114.26円へ上昇したものの、FOMC通過後はサプライズ感が無いとしてドル安がぶり返したために下落に転じて12月17日夜にかけては株安の影響もあって113.12円までいったん仕切り直しの下落となった。しかし12月20日深夜以降はNYダウが反騰入り、NY原油も同調して大幅連騰に入ったことで「オミクロン株による景気後退には陥らずにインフレを伴う景気回復の継続」という認識が広まったことでドルストレートではドル安に、クロス円は全面高に、ドル円も米長期債利回り上昇及び高止まりから上昇再開に入って高値切り上げへ進んだ。

既に年末情勢に入り、市場は休暇ムード、重要指標の発表も年明けの米雇用統計まで無い。手掛かりとしてはオミクロン株関連報道だが、最近は治療薬の承認が相次いでいることや、デルタ株より感染力は強いが重症化率は低いとしてロックダウンを回避してウィズ・コロナ政策を継続する姿勢が優勢のため、楽観報道が続くようならリスク選好優先での株高、ドルストレートでのドル安とクロス円全般の上昇も続きやすく、ドル円も高値試しを続けやすい流れと思われる。

【1月6日からの上昇もそろそろ1年を経過】

ドル円の上昇基調は今年1月6日安値102.57円を起点に始まった。既に年末であり上昇も1年を経過する。
この間、2016年12月以降の騰落幅凡そ10円前後規模での右肩下がりの下降チャンネルでの展開から今年9月末の上昇時に抜け出しており、この5年間では最大の上昇規模となっている。
1月6日安値から11月24日高値までの上昇幅は12.94円となり、2019年8月から2020年2月までの7.76円、2018年3月から10月への9.91円を超えている。また2016年6月底以降における上昇期は2016年12月高値への26週、2018年10月高値への28週、2020年2月高値への26週など、半年を限界としていたが、今年1月6日底からの上昇は26週目の7月2日高値からいったん緩い調整安が入ったものの既に一段高に入っており、新たな26週規模の上昇期に連続して入っている可能性もあるところだが、8月4日安値から先週までで既に21週を経過しており、仮に今回も26週の上昇ならばあと5週程度の残余期間という計算になる。

ドル円の天井周期というものもある。2012年3月15日高値から2014年1月2日高値までが95週、2014年1月2日高値から2015年6月5日高値までが74週、2016年12月15日高値までが81週、2018年10月4日高値までが95週、2020年2月20日高値までが73週であり、そこから今年11月24日高値までで93週を経過している。70週台から90週台までが天井間の周期的なピークを付けやすい時間帯とすれば既にいつ天井となっても不思議ないところに来ているという見方もできる。やや伸びて1月後半、短ければ11月24日高値を超えないで年を越して年初から下落に転じてもおかしくはない。

市場心理を中心とした相場環境としては上昇基調の維持で高値追及の流れを続けやすい状況にあるが、感染拡大にウィズ・コロナ政策で乗り切れない懸念が強まる場合やインフレ進行と主要中銀が金融引き締めを余儀なくされることによる景気後退リスク、中国問題等による地政学的混乱等が市場のもろさを突いてくる可能性もあるだろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、12月16日早朝高値から5日目となる22日深夜高値をピークとして23日午前へ下落したところから一段高に入ったため、12月24日午前時点では12月17日夜安値から3日半となる23日午前安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたものと想定した。また高値形成期は28日夜から30日夜にかけての間とし、弱気転換は23日午前安値(114.05円)割れからとした。
12月24日午前高値の後も114円台前半で確りしているのでまだ上昇余地ありとするが、114.20円割れを弱気転換注意とし、23日午前安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとして27日午前から29日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月25日早朝にかけてややジリ安の持ち合い推移となったために遅行スパンが悪化したが先行スパンの上限が下支えとなっている。このため遅行スパン悪化中は安値試しへ向かいやすいとみて先行スパン転落からは下げ足が速まる可能性もあると注意するが、遅行スパンが好転するところからは上昇再開とみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを割り込んだところを買い戻される動きが23日早朝から続いているので45ポイント以上での推移中は60ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイント割れからはいったん30ポイント台へ低下する流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月23日午前安値114.05円を下値支持線、12月24日午前高値114.51円を上値抵抗線とする。
(2)114.20円以上での推移か一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとし114.51円超えからは114.70円前後を目指すとみる。114.70円以上は反落注意とするが、114.30円以上での推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114.20円割れから続落の場合は114.05円試しとし、114.05円割れからは113円台後半(113.90円から113.50円)への下落を想定する。また104.05円を割り込んだ後も114.15円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。(了)<26日16:00>

注:ポイント要約は編集部

【当面の主な予定】

12/27(月)
イラン核合意交渉再開(ウィーン)
休場、NZ、豪、香港、南ア、英国、カナダ
08:50 (日) 11月 小売業販売額 前年同月比 (10月 0.9%、予想 1.4%)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合(12/16-17)「主な意見」公開
10:00 (中) 11月 工業部門企業収益 年初来前年比 (10月 24.6%)
24:00 (米) 12月 ダラス連銀製造業活動指数 (11月 11.8)
27:00 (米) 財務省2年債入札

12/28(火)
休場、NZ、豪、英国、カナダ
08:30 (日) 11月 失業率 (10月 2.7%、予想 2.7%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前月比 (10月 1.8%、予想 4.0%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (10月 -4.1%、予想 2.3%)
23:00 (米) 10月 米連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (9月 0.9%)
23:00 (米) 10月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (9月 19.1%、予想 18.5%)
24:00 (米) 12月 リッチモンド連銀製造業指数 (11月 11、予想 11)
27:00 (米) 財務省5年債入札

12/29(水)
22:30 (米) 11月 卸売在庫 前月比 (10月 2.2%)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前月比 (10月 7.5%、予想 0.6%)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前年同月比 (10月 -4.7%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省7年債、2年物変動利付債入札

12/30(木)
大納会
16:00 (英) 12月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (11月 0.9%、予想 0.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.5万件、予想 20.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 185.9万人)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景況指数 (11月 61.8、予想 61.5)

12/31(金)
休場、日本、スイス、ドイツ、韓国、台湾、タイ、ロシア、ブラジル、香港
英国(短縮取引)、米国(債券市場は短縮取引)
10:00 (中) 12月 国家統計局製造業PMI (11月 50.1、予想 49.9)
10:00 (中) 12月 国家統計局サービス業PMI (11月 52.3)

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