『リスクオン再開でドル円反発。日米金融政策格差も相場を後押し』
〇今週のドル円、週明け早々113.32まで下落するも切り返し週末にかけ約一か月ぶりに114.50まで上昇
〇オミクロン株への過度の懸念後退からの株式市場の堅調推移、米指標の好調等がサポート
〇ユーロドル週初1.1234まで下落後、週末にかけ1.1344まで上伸
〇前週末下落の反動、ECBのタカ派転換観測、欧州株の堅調推移等が要因
〇ドル円、21日線、転換線、基準線上抜け11/24高値115.53からの下落の61.8%戻しも達成地合い強い
〇ファンダメンタルズも、株式市場の堅調推移、日米金融政策の方向性の違い等がドル円をサポート
〇ドル円上昇がメインシナリオなるも、来週は年末年始前に流動性本回復に至らず、緩やかな上昇か
〇来週の予想レンジ(USDJPY):113.50ー115.50、(EURUSD):1.1200−1.1400
今週のレビュー(12/20−12/24)
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初113.63で寄り付いた後、@新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る感染拡大懸念(世界各国で感染者急増→ロックダウン再開リスク→世界経済の先行き不安)や、A上記を背景としたリスク回避の円買い圧力、B米金利低下に伴うドル売り圧力、C中国人民銀行による約1年8ヵ月ぶり利下げ決定(ローンプライムレート1年物を0.05%引き下げ、3.80%へ)、D米民主党ジョー・マンチン上院議員による1兆7500億ドル規模の大型歳出法案への不支持表明などが重石となり、週明け早々に週間安値113.32まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、E日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り圧力や、F株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、G心理的節目114.00を突破したことに伴う短期筋のロスカット、H米経済指標の良好な結果(米7ー9月期GDP改定値、米12月消費者信頼感指数、米11月耐久財受注、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数)、I新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る過度な悲観論の後退(米商務省高官による「オミクロン株はサプライチェーンに長期的な影響を与えないだろう」との発言)、J米11月PCEコアデフレータの市場予想を上回る結果(米インフレ加速)、Kロンドンフィキシングに絡むドル買い圧力が支援材料となり、週末にかけて、週間高値114.50(11/26以来、約4週間ぶり高値圏)まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/25午前2時20分現在)では、114.35前後で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1242で寄り付いた後、早々に週間安値1.1234まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、@前週末金曜日の急落の反動(自律反発)や、A新型コロナウイルス・オミクロン株の英国での感染急拡大(12/18に英国ロンドンで市長が重大事態を宣言→対英ポンドでユーロ買いが活発化)、Bユーロ圏10月経常収支(結果181億ユーロの黒字、前月176億ユーロの黒字)の黒字額拡大、C先週のECB理事会で「多くのメンバーがインフレの上振れリスクを認めるべきと主張していた」との一部報道、DデギンドスECB副総裁による「ユーロ圏のインフレ高進は当初の想定ほど一時的にはならない」との発言、Eスロバキア中銀カジミール総裁による「ユーロ圏のインフレ率がECBの予想より長く高止まりする可能性がある」との発言、F上記CDEを背景としたECBのタカ派転換観測、G欧州株の堅調推移(リスク選好のドル売り圧力)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.1344まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/25午前2時20分現在)では、1.1315前後で推移しております。
来週の見通し(12/27−12/31)
<ドル円相場>
ドル円は11/30に記録した安値112.53をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約1ヵ月ぶり高値となる114.50まで反発しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを上抜けした他、11/24に記録した約4年10ヵ月ぶり高値115.53→11/30安値112.53のフィボナッチ半値戻し114.03や、同61.8%戻し114.38もブレイクするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、株式市場の堅調推移(新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る過度な警戒感の後退→リスク選好の円売り)や、日米金融政策の方向性の違い(早ければ来年3月の利上げ開始が織り込まれる米国と、金融緩和の長期化が見込まれる日本との金融政策格差。事実、ウォラー米FRB理事は12/17に「3月FOMCでの利上げもあり得る」とタカ派的な見解を発言。
一方、黒田日銀総裁は12/20に「まだまだ当分大幅な金融緩和を粘り強く続けていくフェーズではないか」とハト派的な発言に終始)、年末に向けてのレパトリ観測(米ドルへの資金還流)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が整いつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。もっとも、来週はクリスマス休暇明けで流動性の改善が幾分見込まれるものの、年末・年始を前に本回復には至っておらず、また、米経済指標の発表にも乏しいことから、ドル円相場の上昇速度は緩やかなものに留まると考えられます(11/24に記録した約4年10ヵ月ぶり高値115.53に向けて緩やかにドル高・円安が進むと予想)。
来週の予想レンジ(USDJPY):113.50ー115.50
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は11/24に記録した約1年5カ月ぶり安値1.1185をボトムに反発に転じると、今週末にかけて一時1.1344まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象づけるチャート形状となりつつあります。とは言え、上方に複数のレジスタンスポイントを控えていること(トップサイドから分厚い雲が垂れ下がってくること)や、移動平均線のパーフェクトオーダーの成立、ダウ理論の下落トレンド継続などを踏まえると、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(余程強いユーロ買い・ドル売り材料が出てこない限り、上値余地は限定的)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違い(早ければ来年3月の利上げ開始が織り込まれる米国と、金融緩和の長期化が見込まれる欧州との金融政策格差)や、A欧州経済を巡る先行き不透明感(欧州圏における新型コロナウイルス感染拡大懸念→行動制限再強化の思惑)、Bウクライナを巡る地政学的リスクなど、ユーロドル相場の上値を抑制する材料が複数残っております。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、ユーロ圏経済イベントに乏しく、また、年末・年始を控え、市場参加者の戻りも鈍いと予測されることから、ユーロ安・ドル高を想定しつつも、その速度は緩やかなものに留まると予想いたします。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1200−1.1400
注:ポイント要約は編集部
※来週(1/1)のドル・ユーロ週報は休載とさせていただきます。次回は1/8に再開いたします。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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