ドル円見通し 株高でリスクオン優勢となり114円台到達、ダブルトップ破りに挑む
〇昨日のドル円、深夜113.80超え、22日未明114.21まで高値切り上げる
〇12/16早朝高値114.26超えればダブルトップ破り、上昇継続感高まりやすい状況に
〇NYダウ反騰、米長期債利回り総じて上昇、7-9月期米経常収支は15年ぶり高水準の赤字
〇リスクオン心理勝るなら115円台回復目指す可能性も、NYダウ反騰継続か見定めたい
〇113.70以上での推移中は上昇継続余地ありとし、114.21超えからは114.50試しとする
〇113.70割れからはいったん調整安に入るとみて、113.50から113.25にかけてのゾーンを試すとみる
【概況】
ドル円は感染拡大への懸念を背景とした株安によるリスクオフと米長期債利回り低下を見て12月16日早朝高値114.26円から17日夜安値113.12円へ下落したが、その後は下げ渋りから113.70円台を抵抗線とした三角持ち合いの様相で推移してきた。
12月21日も夜にかけては113.70円台では上値が重くなっていたが、深夜にかけての上昇で113.80円を超えて勢い付き22日未明には114.21円まで高値を切り上げた。NYダウが3日間の続落から切り返しに入り、20日深夜からの反騰を継続したことでリスクオン優勢の市場心理が高まりドルストレートではドル安となり、クロス円の上昇と共に株買い債券売りにより米長期債利回りが上昇したことで利回り格差も意識されてドル円は114円台序盤へ到達した。
12月16日早朝の米FOMC直後に付けた高値114.26円には届かずに22日午前序盤には114円を割り込む等、ダブルトップ形成に終わる可能性もあるところだが、12月16日早朝高値を超えればダブルトップ・ブレイクによりテクニカルな上昇継続感も高まりやすい状況と思われる。
【NYダウ反騰、米長期債利回りは上昇】
12月21日のNYダウは前日比560.54ドル高と上昇した。11月8日の史上最高値3万6565.73ドルからの下落が12月11日安値34006.98ドルまで2559ドル安となり、その後のV字反騰で12月16日高値3万6189.83ドルまで回復していたが、再び感染拡大問題への懸念を背景に12月16日から20日にかけて3日間の続落で千ドルを超える反落となっていた。しかし20日深夜安値からは持ち直しに入り、21日も続伸して安値からは800ドルを超える切り返しとなっている。バイデン大統領が感染対策強化に乗り出したもののワクチン普及を踏まえてロックダウンのような状況には陥らないとしたことが安心感を助長したようだ。
為替市場ではポンドや豪ドルなどがリスクオン優勢で上昇してドル安感が強まったが、一方では株買い債券売りで米長期債利回りは総じて上昇した。米10年債利回りは前日比0.04%上昇の1.47%で終了したが、21日の1.41%からの反騰を続けて2連騰となった。30年債利回りも0.02%上昇の1.87%、2年債利回りも0.03%上昇の0.67%となり、ドル円は日米金利差を意識して上昇した。
米商務省が12月21日に発表した7-9月期の米経常収支は2147億7400万ドルの赤字で前期比8.3%拡大して2006年7-9月期以来15年ぶりの高水準だった。感染拡大が続いているものの景気回復により輸入増となったことで貿易赤字が拡大したことを反映している。感染対策の巨額財政支出も踏まえて経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」問題にも意識が向かう水準となってきた印象だ。
【ドル円はダブルトップ破りに挑戦】
ドル円は12月22日未明高値114.21円で12月16日早朝高値114.26円へ迫ったが超えずに114円をいったん割り込んでいる。このまま113円台中盤以下へ下落すれば60分足レベルのダブルトップ、日足では毛抜き天井となりかねないが、高値更新へ進めばダブルトップ破りによる先高感も増しやすい。
11月30日夜安値112.52円と12月4日早朝安値112.54円がダブルボトムとなって切り返してきたこと、感染拡大問題は依然としてリスク回避感を解消できない状況にあり週替わりで市場心理も悲観と楽観を繰り返しているのでダブルボトムから始まった上昇がダブルトップに終わる可能性もあると注意する。
ただし、12月4日早朝安値と12月17日夜安値を結ぶ下値支持線は、12月8日夜高値と12月16日早朝高値を結ぶ上値抵抗線とほぼ平行に走っており、緩やかな上昇チャンネルを形成していることはダブルトップ破りからの一段高で上値抵抗線の来る114.50円強への上昇を目指してもよい流れとなっている。株高債券安・米長期債利回り上昇で景気回復継続期待によるリスクオン心理が勝るなら114円台中後半から115円台回復を目指す可能性も出てくると思われる。そのためにはNYダウの反騰が継続できるかどうか、まず見定めたい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、12月16日早朝高値をサイクルトップとして下落したが、12月11日未明安値から5日目となる17日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクルに入ってきた。高値形成期は21日早朝から23日早朝にかけての間と想定したため、すでに反落注意期に入っているがまだ伸び代も残る。このため113.70円以上での推移中は一段高余地ありとするが、113.70円割れからはいったん弱気サイクル入りするとみて22日夜から24日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では21日夜の一段高で先行スパンを突破、遅行スパンの好転も続いている。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とし、その際は先行スパンの上下限を試すとみる。
60分足の相対力指数は22日夜の急騰時に70ポイント台後半へ上昇したところから60ポイント割れへ低下している。50ポイント以上を維持するうちは65ポイント超えから上昇再開とするが、50ポイント割れからは下落継続として40ポイント前後への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.70円を下値支持線、12月22日未明高値114.21円を上値抵抗線とする。
(2)113.70円以上での推移中は上昇継続余地ありとし、114.21円超えからは114.50円試しとする。114.50円以上は反落注意とするが、114円台を維持しての推移なら23日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)113.70円割れからはいったん調整安に入るとみて113.50円から113.25円にかけてのゾーンを試すとみる。113.40円以下は反騰注意とするが、113.70円以下での推移なら23日も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
12/22(水)
16:00 (英) 7-9月期 経常収支 (4−6月 -86億ポンド、予想 -156億ポンド)
16:00 (英) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (4−6月 1.3%、予想 1.3%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (4−6月 6.6%、予想 6.6%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP確定値 前期比年率 (4−6月 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (4−6月 1.7%、予想 1.7%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE確定値 前期比年率 (4−6月 4.5%、予想 4.5%)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (10月 634万件、予想 652万件)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数 前月比 (10月 0.8%、予想 2.8%)
24:00 (米) 12月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指 (11月 109.5、予想 110.8)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札
12/23(木)
米国、債券市場は短縮取引
13:10 (日) 黒田日銀総裁、経団連審議員会で講演
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI改定値 (速報 102.1)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI改定値 (速報 89.9)
16:00 (独) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 3.8%、予想 1.0%)
16:00 (独) 11月 輸入物価指数 前年同月比 (10月 21.7%、予想 22.3%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.6万件、予想 20.3万人)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 184.5万人)
22:30 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.5%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 個人消費支出(PCE) 前月比 (10月 1.3%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 5.0%、予想 5.7%)
22:30 (米) 11月 PCEコアデフレーター 前月比 (10月 0.4%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (10月 4.1%、予想 4.5%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注 前月比 (10月 -0.5%、予想 1.5%)
22:30 (米) 11月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (10月 0.5%、予想 0.6%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 70.4、予想 70.4)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (10月 74.5万件、予想 77.0万件)
24:00 (米) 11月 新築住宅販売件数 前月比 (10月 0.4%、予想 3.4%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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