ドル円見通し 先週末の下落一服、113.50円挟んだ揉み合い(21/12/21)

25時台に113.31円まで下落したものの5時台には113.72円まで戻している。

ドル円見通し 先週末の下落一服、113.50円挟んだ揉み合い(21/12/21)

ドル円見通し 先週末の下落一服、113.50円挟んだ揉み合い

○昨日のドル円、25時台に113.31まで下落したが12/21早朝113.72まで戻す
〇週末の急落一服だが、113.50を挟んだ揉み合いの様相
○米株価続落、NYダウは12/16からの3日間の下げ幅千ドルを超え、ナスダックも3日続落
○欧州の感染拡大が深刻化、規制強化への動き、米国の新規感染者急増への懸念も
○米長期債利回りは上昇するも、ドル円にとって決め手に欠く動き
○ドル円、113.85以下での推移中は一段安警戒とし、113.31割れからは113.12試しへ向かうとみる
○113.85超えからは114.00試しとみるが、114円前後は戻り売りも出やすいとみる

【概況】

ドル円は12月16日早朝の米FOMC声明発表直後に114.26円へ上昇して11月30日深夜安値112.52円以降の高値を更新したが、FOMC通過後のドル安から16日夜に113.54円へ下落、17日にはNYダウの大幅下落からリスク回避感が強まり夜には113.12円まで下落したものの突っ込み警戒感から18日早朝に113.75円まで持ち直していた。
週明けの12月20日はアジア株が全面安、欧米株も大幅続落となる一方、先週末に大幅下落していたユーロドルが午前から上昇、夕刻まで下げていたポンドや豪ドル等が反発するなどドルの強弱がまちまちとなり、序盤に低下していた米長期債利回りは反発するなど強弱まちまちの外部環境でドル円としては決め手に欠いて25時台に113.31円まで下落したものの5時台には113.72円まで戻している。週末の急落一服だが113.50円を挟んで上下0.30円弱の値幅で揉み合いの様相だ。

【株安、感染拡大リスク】

12月20日のNYダウは前日比433.28ドル安と下落、下げ幅は一時700ドル安を超え、16日の29.79ドル安、17日の532.20ドル安と3日間の続落でこの間の下げ幅は千ドルを超えている。ナスダック総合指数も20日に188.74ポイント安と下落、16日の385.14ポイント安から3日続落で11月22日の史上最高値以降の安値を更新している。
欧州の感染拡大が深刻化しており英国では連日新規感染者数が1万人を超える爆発的増加でロンドンが緊急事態宣言、オランダがロックダウン、ドイツが21日にも規制強化を打ち出す姿勢、渡航禁止の動きも拡大している。米国の感染拡大も深刻であり、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は19日に「今後数週間で新規感染者が記録的な数に上る」と警告している。
中国人民銀行が12月20日に利下げを決定したものの上海総合指数終値は1%を超える下落、上海と深センの300銘柄によるCSI300指数は1.5%安と下落したことで、利下げがかえって中国景気の先行き不透明感を助長している。

民主党穏健派のジョー・マンチン上院議員が12月19日にバイデン政権の大型歳出法案を支持しないと表明したことも株安要因となっている。バイデン政権の1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案=ビルド・バック・ベターへの不支持表明だが、仮にこの政策が実現しないなら米GDPの押し下げとなるとしてゴールドマンサックスがGDP見通しを下方修正したことで株安が進行したようだ。
米コンファレンス・ボードによる11月の米景気先行指数は119.9で前月比1.1%上昇となり市場予想の0.9%上昇を上回ったことも株安にブレーキを掛けた印象。
株安債券高で米10年債利回りは一時1.38%まで低下したが終盤のNYダウ反騰を見て1.43%へ上昇、前日比は0.02%高だった。30年債利回りは0.04%上昇の1.85%、2年債利回りは変わらずで0.64%で終了した。ドル円にとって米長期債利回り動向もインパクトとしては決め手に欠いた。

【ドル円は11月末からの戻りに勢いを欠く】

ドル円は11月30日安値112.52円から戻してきたが、12月16日早朝高値114.26円から失速したところから揉み合いに入っている。
戻り高値切り上げへ進めば11月30日安値を押し目底とした上昇基調の継続として11月24日高値115.51円超えを目指す流れも期待されるが、114円台前半ないし10月20日高値114.69円と面合わせする程度までの戻りにとどまる場合は、11月24日高値を頭、10月20日高値と12月15日ないし直近の高値を両肩とした三尊天井型を形成する可能性が出てくる。11月9日安値から11月30日安値までやや安値が切り下がっているため、ダイヤモンド・フォーメーション型の三尊という印象も強まる。
既に1月6日安値102.57円からの上昇も1年近くを経過したところにあり、現状からさらに一段高へ進むにはリスク選好型でのクロス円の全面高と米国株高・長期債利回り上昇によるドル買い円売り圧力が優勢となる展開が欲しいところであり、逆に感染拡大問題等から株安・長期債利回り低下が進む場合はリスク回避的なクロス円のポジション調整的な円の買い戻しも重なって円高がぶり返す可能性もあるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、12月16日早朝高値をサイクルトップとして下落したが、12月11日未明安値から5日目となる17日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて持ち直しているところだ。高値形成期は21日早朝から23日早朝にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地が残るものの、113.50円を挟んだ揉み合いに留まり勢いに欠けるため、113.31円割れを弱気転換注意とし、17日夜安値113.12円割れからは弱気サイクル入りとして22日夜から24日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では113.50円を挟んだ揉み合いが続いているため方向感に欠けるが、先行スパンを上抜いた状況では遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパン転落からは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は揉み合いのため50ポイントを挟んで前後10ポイント程度の範囲にとどまっている。60ポイント超えからは上向きとして70ポイントを目指す流れとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月21日未明安値113.31円を上値抵抗線、12月17日午前高値113.85円を上値抵抗線とする。
(2)113.85円以下での推移中は一段安警戒とし、113.31円割れからは12月17日夜安値113.12円試しへ向かうとみる。113.12円割れの場合は112円台後半(113.00円から112.50円)を目指す流れとみる。また113.30円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)113.85円超えからは114.00円試しとみる。114円前後は戻り売りも出やすいとみるが、勢い付く場合は12月16日早朝高値114.26円試しへ向かうとみる。また113.75円以上での推移なら22日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/21(火)
09:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨公表
16:00 (独) 1月 GFK消費者信頼感 (12月 -1.6、予想 -2.7)
22:30 (米) 7-9月期 経常収支 (4−6月 -1903億ドル、予想 -2054億ドル)
24:00 (欧) 12月 消費者信頼感・速報値 (11月 -6.8、予想 -8.1)
27:00 (米) 財務省20年債入札

12/22(水)
08:30 (豪) 11月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (10月 0.16%) 
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
16:00 (英) 7-9月期 経常収支 (4−6月 -86億ポンド、予想 -156億ポンド)
16:00 (英) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (4−6月 1.3%、予想 1.3%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (4−6月 6.6%、予想 6.6%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP確定値 前期比年率 (4−6月 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (4−6月 1.7%、予想 1.7%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE確定値 前期比年率 (4−6月 4.5%)

24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (10月 634万件、予想 656万件)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数 前月比 (10月 0.8%、予想 3.4%)
24:00 (米) 12月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指 (11月 109.5、予想 110.6)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札



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