今週のレビュー(11/22−11/26)
〇今週のドル円、米指標好調、パウエル議長の再任に米長期金利が急上昇、ドル円も一時115.52まで上昇
〇週後半にかけては南アで検出されたコロナ新変異株への警戒から113.06まで急落
〇ユーロドル、欧州地区での感染再拡大と米ドル高に一時1.1185まで下落後、週末にかけ1.1321まで急伸
〇ドル円、今週4年10ヵ月ぶり高値115.52まで上伸するも週末にかけての急落でテクニカルの地合い悪化
〇但し、下に一目均衡表の「雲」控え、移動平均のパーフェクトオーダーも維持、下落余地乏しいか
〇来週は今週末のパニック相場の反動を通じて、ドル円相場が早期に持ち直す展開を予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):112.00ー115.00、(EURUSD):1.1100−1.1400
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初113.96で寄り付いた後、@日米金融政策の方向性の違いに着目したドル買い・円売り圧力や、A株式市場の堅調推移を背景としたリスク選好の円売り圧力、B米経済指標の力強い結果(米10月中古住宅販売件数など)、CパウエルFRB議長の再任およびブレイナードFRB理事の副議長昇格決定に伴う米金融政策の先行き不透明後退(市場ではハト派の急先鋒と評価されているブレイナード氏が議長に昇格するのではないかとの見方もあったことから、パウエル氏続投決定がややタカ派的と捉えられた側面あり)、D米長期金利の急上昇(米10年債利回りは先週末金曜日に記録した1.51%から今週半ばには1.69%へ急上昇)、E心理的節目115.00突破に伴う短期筋のストップBUY、Fサンフランシスコ連銀デイリー総裁によるテーパリングの加速を支持する発言、G米FOMC議事要旨のタカ派的な内容(複数の政策担当者が「高インフレが継続すれば、債券買い入れプログラムの縮小ペースを加速させると共に、より迅速に利上げの実施に踏み切ること」に前向き)などが支援材料となり、
週央にかけて、2017年1月19日以来、約4年10ヵ月ぶり高値となる115.52まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、H南アフリカで検出された新型コロナウイルスの変異株(免疫を回避する性質や高い感染力を持つ恐れ)や、I上記Hを背景とした世界的なリスクオフ到来(米感謝祭およびブラックフライデー期間中の低流動性の隙を突かれて株式市場が大暴落→キャピタルフライトの米債買い→米10年債利回りが1.69%から1.48%へ急低下→米ドル急落)が重石となり、週末にかけて、週間安値113.06まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/27午前3時50分現在)では、113.25前後で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1292で寄り付いた後、@欧米金融政策の方向性の違いに着目したユーロ売り・ドル買い圧力や、Aメルケル独首相による「(ドイツ国内の新型コロナウイルスの感染拡大状況は)これまでよりも酷い」との悲観的な発言、BパウエルFRB議長の再任およびブレイナードFRB理事の副議長昇格決定(米金融政策を巡る先行き不透明感払拭→米ドル高)、C米長期金利の急上昇、D独11月IFO企業景況感指数(結果96.5、予想96.6、前回97.7)の冴えない結果(5ヶ月連続の低下)、Eロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(両国が軍事演習を実施)、F欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大リスク(ドイツでロックダウンが再開されるとのRumor)、
G心理的節目1.1200を割り込んだことに伴う短期筋のロスカットが重石となり、週央にかけて、2020年7月1日以来、約1年5ヶ月ぶり安値となる1.1185まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、H短期間で下落した反動(自律反発→ショートカバー誘発)や、I南アフリカで検出された新型コロナウイルスの変異株の感染拡大懸念(リスク回避の債券買い→米長期金利急低下→米ドル売り)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.1321まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/27午前3時50分現在)では、1.1310前後で推移しております。
来週の見通し(11/29−12/3)
<ドル円相場>
ドル円は週央にかけて約4年10ヵ月ぶり高値115.52まで上値を伸ばすも、週末にかけて113.06まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も終了するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象づけるチャート形状となりつつあります。但し、ダウンサイドに一目均衡表の雲が控えている他、移動平均線のパーフェクトオーダーや、ダウ理論で見た上昇トレンドも継続しているため、ここからの更なる下落は容易では無いと判断できます(週末にかけての下落はあくまで急ピッチで上昇したドル円のポジション調整と整理→来週は下値余地を探りつつも底固めすると予想)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(利上げ前倒し観測が高まる米国と、金融緩和の長期化が織り込まれる日本との金融政策格差。米ゴールドマンサックスはFRBが来年6月、9月、12月に利上げすると予想)や、A世界的なインフレ懸念(新興国から米国への資金還流が一段の米ドル高に繋がる恐れ)、B黒田日銀総裁による円安容認発言(黒田総裁は先月28日、「現時点で若干の円安だが、これが悪い円安とか日本経済にとってマイナスになるということはない」「日本経済に総合的にプラスであることは確実」と発言)、C米当局者による相次ぐタカ派的な発言(FRBによるテーパリングペース加速の思惑)など、ドル高・円安を連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/30に予定されている米11月コンファレンスボード消費者信頼感指数や、12/1の米11月ADP雇用統計、米11月ISM製造業景況指数、12/3の米11月雇用統計、米11月ISM非製造業景況指数に注目が集まります。市場予想を上回る結果となれば、米利上げ前倒し観測に再び焦点があたり、ドル円には上昇圧力が加わるものと推察されます。今週末は南アフリカで検出された新たな新型コロナウイルス変異株に係る報道がリスク回避の円買い(株価急落→ドル円急落)を招きましたが、米感謝祭およびブラックフライデーといった低流動性環境の隙を突かれてオーバーシュートしている点も否めず、来週は今週末のパニック相場の反動を通じて、ドル円相場が早期に持ち直す展開を予想いたします。
来週の予想レンジ(USDJPY):112.00ー115.00
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/3に記録した直近高値1.1910をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、昨年7月1日以来、約1年5ヶ月ぶり安値となる1.1185まで急落しました。ローソク足が主要チャートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や、移動平均線のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(週末にかけて持ち直すも上値余地は限定的。あくまで下落トレンドの過程で見られる一時的な反発局面と整理)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違いや、A欧州圏を巡る新型コロナウイルスの感染再拡大懸念(ドイツの新型コロナウイルス感染者数が過去最多を記録した他、南アフリカで感染が広がっている新型コロナウイルスの新たな変異株「B.1.1.529」がベルギーでも確認)、B上記Aを背景とした欧州経済の先行き不透明感、C北アイルランド議定書を巡る英国・欧州連合間の確執懸念、Dロシア・ウクライナ・ポーランド・ベラルーシを巡る地政学的リスクなど、ユーロドルの上値を抑制する材料が盛り沢山の状況となっております。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/30に予定されているユーロ圏11月消費者物価指数速報値や、12/2のユーロ圏10月生産者物価指数、ユーロ圏10月雇用統計、12/3のユーロ圏10月小売売上高、米11月雇用統計などに注目が集まります。ユーロ圏経済指標が市場予想を下回る場合や、米雇用統計が市場予想を上回る場合には、改めて欧米金融政策格差が意識されることから、来週はユーロドルのダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1100−1.1400
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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