トルコリラ週報:『心理的節目10円を割り込む大暴落。史上最安値を大幅更新』(11/27朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて史上最安値8.50円まで暴落しました。

トルコリラ週報:『心理的節目10円を割り込む大暴落。史上最安値を大幅更新』(11/27朝)

『心理的節目10円を割り込む大暴落。史上最安値を大幅更新』

〇今週のトルコ円、11/23にかけて、史上最安値8.50まで急落
〇エルドアン大統領による「中銀による低金利政策を歓迎する」との緩和政策擁護発言等が要因
〇週央にかけては大統領、中銀総裁の会談報道や、UAEの投資拡大報道に一時9.97まで反発
〇週末は南ア変異株検出、エルドアン大統領の「トルコの金利は今後低下する」発言に9.16まで値を崩す
〇トルコ円、テクニカル的に見て地合いは極めて弱い
〇ファンダメンタルズも、中銀による追加利下げ観測、エルドアン大統領による利下げ圧力等が重石
〇トルコリラ円の続落を来週のメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.00ー10.00

今週のレビュー(11/22−11/26)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初10.14円で寄り付いた後、早々に週間高値10.43円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@トルコ中銀による先週の政策金利引き下げの余波(トルコ中銀は先週11/18に3会合連続で利下げを実施)や、A米金利上昇に伴うドル高圧力(トルコ国内からトルコ国外への資金流出圧力)、Bトルコ経済の先行き不透明感、Cトルコ11月消費者信頼感指数(結果71.1、予想76.8)の冴えない結果、Dエルドアン大統領による「中銀による低金利政策を歓迎する」との緩和政策擁護発言(次回12/16会合での追加利下げ観測台頭)、E心理的節目10.00円および9.00円を割り込んだことに伴う短期筋のストップSELLが重石となり、翌11/23にかけて、史上最安値8.50円まで急落しました。

もっとも、売り一巡後は、F短期間で暴落した反動(自律反発)や、Gエルドアン大統領とカブジェオール総裁が通貨リラの暴落をめぐり会談するとの一部報道(リラ買い介入観測→ショートカバー誘発)、Hアラブ首長国連邦(UAE)によるトルコへの投資拡大報道(国営投資会社アブダビ開発ホールディングの最高責任者はトルコ投資を支援するためにUAEは100億ドルの基金を用意していると発言)などが支援材料となり、週央にかけて一時9.97円まで反発する場面も見られましたが、週末にかけては、I南アフリカにおける新型コロナウイルス変異株検出を背景とした世界的なリスクオフ到来や、Jエルドアン大統領による「トルコの金利は今後低下する」「国民が高金利に苦しむことはなくなるだろう」との発言が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/27午前3時00分現在)では9.16円前後まで値を崩す展開となっております。

来週の見通し(11/29−12/3)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて史上最安値8.50円まで暴落しました。ローソク足が全てのチャートポイントを下抜けしている他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て地合いは極めて弱いと判断できます(対円・対ドル共に史上最安値を大幅更新)。ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による追加利下げ観測(次回12/16の会合での利下げ観測)や、Aエルドアン大統領による強力な利下げ圧力(中銀の独立性への不信感を背景に外国人投資家によるトルコ離れが一段と加速)、

B米金利上昇に伴うドル高圧力(新興国から米国への資金流出懸念)、Cリラ安防衛手段の不十分さ(外貨準備の乏しさに鑑みれば介入余力は小さい)、Dトルコ経済の先行き不透明感、Eトルコ国内の政情不安(トルコの最大都市イスタンブールで11/24、エルドアン政権下における通貨リラの急落を背景に抗議デモが活発化)など、トルコリラ円相場の更なる下落を意識させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落を来週のメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(TRYJPY):8.00ー10.00

『心理的節目10円を割り込む大暴落。史上最安値を大幅更新』

トルコリラ円日足

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