ドルは年初来高値更新、買い安心感も(11/23夕)

23日の東京市場はドルが続伸。分厚いオファーをこなしつつ2017年3月以来、4年8ヵ月ぶりの115円台へと乗せている。

ドルは年初来高値更新、買い安心感も(11/23夕)

ドルは年初来高値更新、買い安心感も

<< 東京市場の動き >>

23日の東京市場はドルが続伸。分厚いオファーをこなしつつ2017年3月以来、4年8ヵ月ぶりの115円台へと乗せている。

ドル/円は114.85円前後で寄り付いたのち、東京休場もあってか当初は動意が乏しい。しかし、前日超えられなかった115円の壁を超えると日中高値である115.15円レベルへと上昇。同レベルではさすがに上げ渋りの様相もうかがえたが、逆に一度も115円を割り込むことがないなど下値も堅い。ロンドン勢の動意を見極めつつ16時現在では115.10円レベルで推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、昨日1ケタ台まで落ち込んでいたトルコリラ/円だが、本日も続落。また、対ドルでも一時安値を更新している。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「FRB議長人事」について。
前者は、米疾病対策センター(CDC)が、欧州における感染再拡大を警戒し、ドイツとデンマークに対する渡航警戒レベルを「渡航回避勧告」へと引き上げた。そうしたなか、フランスのカステックス首相が検査でコロナ陽性反応を示し自主隔離入り。また、仏首相と接触、会談を行っていたベルギーのデクロー首相も自主隔離に入ったことが明らかになるなど、濃厚接触をめぐり欧州に軽い混乱が起こっていたようだ。
対して後者は、「遅くとも週内には決着がつく」とされていた次期FRB議長人事が週明け早々に決着。パウエル現議長が再任された反面、ブレイナード理事は副議長へと昇格することが明らかにされている。周知のように米金融政策は、FRB議長の一存で決定するものではないものの、市場では「政策継続」との見方から交換する向きが多く、前述したような115円台乗せ、ドル一段高の支援要因となっていた感を否めない。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は先週17日に高値114.97円まで一時到達したものの抜け切れず。上値トライは失敗した感もうかがえたが、昨日欧米時間に再トライをすると、本日東京では115円台へと乗せてきた。ついにレンジを上抜けてきたことになり、ドルの続伸を期待する声は少なくないようだ。ちなみに、次の上値メドは前回115円台を付けていた2017年3月高値の115円半ばか。さらなるドルの上値追いにも要注意。
日米欧英など各国の金融政策が引き続き注目されるなか、米国については前述したようにパウエルFRB議長の再任が好感されているようだ。昨日アトランタ連銀総裁が「FRB議長の再任決定は政策当局者にとって不透明感が取り除かれ、近く重要な決定を下すうえで有益となる」と述べていたが、まさにその通りなのかもしれない。そうしたなか、市場で不安視されているのは新型コロナの状況と原油供給問題。後者については、日米中などが戦略備蓄の取り崩しを示唆しているものの、別に「焼け石に水」との報道もあるなど、続報を含めてしっかりと状況を見極めたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日の欧米時間にも115円超えをトライするも失敗。上抜けへの懸念が一部で聞かれたが、仕切り直しとなった本日東京時間に115円台へとしっかり乗せている。ちなみに次のターゲットは115円半ばで、それを超えると明確な上値メドは117円台。さらに1円以上も上のレベルで、ポジションの偏りなどを無視すれば、ドルは大幅続伸しても不思議はないようだ。

材料的に見た場合、中長期的には、国営メディアが火消しに動くも、いまだ謎は多く懸念も取り沙汰される女性テニス選手問題を含めた「中国情勢」、OPECプラスの増産が欠かせない「原油供給問題」、「新型コロナ問題」、「日米欧英などの金融政策」−−が注視されている。

一方、本日は米経済指標として、11月の製造業PMI速報や同リッチモンド連銀製造業指数が発表されるほか、米財務省による7年債などの入札も実施される見込み。また米エネルギー省は、本日にも「石油備蓄放出」を発表するのと同時に、日中韓印と協調姿勢を示すという。エネルギー相場の動きにも一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは114.20-115.15円。本日東京で記録した115.15円レベルが最初の抵抗。抜ければ115円半ばを目指しそうだ。
対するドル安・円高方向は、昨日までの抵抗だった115円前後、そして114円半ばなどの攻防に注目。ただ、それらを割り込んでも基本的に114円台では下げ止まりそう。

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ドル円時間足

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