ドル円、心理的節目115.00をついに突破。約4年8ヵ月ぶり高値圏へ
〇ドル円、欧州時間朝方にかけて、約4年8ヵ月ぶり高値となる115.15まで急伸
〇パウエル議長再任による米金融政策を巡る先行き不透明感の後退の影響継続、米長期金利は上昇
〇買い一巡後は伸び悩み114.54まで反落するも米国時間午後に115円台回復
〇ユーロドル、アジア時間に一時約1年5ヵ月ぶり安値となる1.1226まで下落
〇ドル円、強い買いシグナルの三役好転、強気のパーフェクトオーダー、バンドウォークの全てが成立
〇本日米指標多く、FOMC議事要旨にも注目集まる、米感謝祭突入前に115円台で底固めできるか注目
〇本日の予想レンジ:114.50ー115.50
海外時間のレビュー
23日(火)のドル円相場は振れを伴いながらも底堅さを維持。@日米金融政策の方向性の違いや、A米金融政策を巡る先行き不透明感の後退(前日海外時間にパウエルFRB議長の再任とブレイナードFRB理事の副議長昇格が決定。市場ではハト派の急先鋒と評価されるブレイナード氏が議長に昇格するとの見方もあったことから、パウエル氏続投がややタカ派的と捉えられてドル買いを誘発)、B米長期金利の急上昇(米10年債利回りは約1ヵ月ぶり高水準となる1.66%へ上昇)、C心理的節目115.00突破に伴うロスカットが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、約4年8ヵ月ぶり高値となる115.15まで急伸しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、D短期間で上昇した反動(米感謝祭を控えたポジション調整)や、E中国軍による「米海軍は安全保障上の危険をもたらした」との一部報道(米中対立激化の思惑)が重石となり、米国時間朝方にかけて、一時114.54まで反落する場面も見られました。もっとも、米国時間午後にかけては再び持ち直し、本稿執筆時点(日本時間11/24午前5時20分現在)では、115.07前後で推移しております。
23日(火)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。アジア時間朝方にかけて、約1年5ヵ月ぶり安値となる1.1226まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@シュナーベルECB専務理事が「インフレリスクは上方向に傾いている」との見解を発表したことや、Aアイルランド中銀マクルーフ総裁が「現行のインフレ傾向が持続すれば、ECBが金融政策を変更する可能性が高まる」と発言したこと、Bユーロ圏11月製造業PMI(結果58.6、予想57.3)およびサービス業PMI(結果56.6、予想53.5)が共に市場予想を上回る好結果となったことなどが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1275まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、米国時間午後にかけて値を崩し、本稿執筆時点(日本時間11/24午前5時20分現在)では、1.1250前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は11/17に記録した約4年8ヵ月ぶり高値114.97を上抜けすると、心理的節目115.00を突破し、一時115.15(2017年3月14以来の高値圏)まで急伸しました。強い買いシグナルを示唆する三役好転、強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォークの全てが成立する中、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(日足のみならず、週足や月足でも買いシグナル点灯)。こうした中、本日は日本時間22:30に発表される米7ー9月期GDP改定値や、米10月耐久財受注速報値、米新規失業保険申請件数に加えて、24:00の米10月個人所得支出、米10月PCEデフレーター、米10月新築住宅販売件数、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数、日本時間明朝4:00に予定されている米FOMC議事要旨に注目が集まります。
米経済指標が力強い結果を示す場合には、米景気回復期待を背景とした米株上昇→リスク選好の円売りの経路と、米利上げ前倒し観測→米金利上昇→米ドル高の経路の組み合わせでドル円には一段と強い上昇圧力が加わるものと推察されます。また、米FOMC議事要旨でタカ派的な見解が示される場合にも(前回11/2ー11/3の声明文でサプライズとなった「インフレが一時的」から「インフレが一時的と見込まれる」への文言変更についての詳細が示される場合にも)、米利上げ前倒し観測→米金利上昇の経路でドル円には上昇圧力が加わる可能性が高いと予想されます。日米金融政策の方向性の違いや、米テーパリングペース加速の思惑、米利上げ前倒し観測、米金融政策を巡る不確実性後退(パウエル氏続投)、米経済の回復期待など、ファンダメンタルズ的な好材料が重なる中、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(米感謝祭突入前に115円台で底固めできるか否かに注目。定着できれば、2017年3月10日に記録した高値115.51を試す展開を想定)。
本日の予想レンジ:114.50ー115.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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