ドル円、115円届かず、ドルの下値リスク再燃も(週報11月第4週)

先週のドル/円相場は「行って来い」。一時ドル高が進行し115円手前まで達するも続かず、週末に掛けては上げ幅のほぼすべてを吐き出している。

ドル円、115円届かず、ドルの下値リスク再燃も(週報11月第4週)

115円届かず、ドルの下値リスク再燃も

〇先週のドル円、年初来高値114.97更新するも115円届かず反落、114円前後で越週
〇ドル続落に要注意、先週末下げ止まった113.59がドル下値最初のサポート
〇FRB議長人事、今週中に発表か、米金融政策に与える影響警戒する向きも
〇今週は7-9月期米GDP改定値、11月リッチモンド連銀製造業指数発表予定
〇東京23日、NY25日休場、材料よりも需給要因など警戒する声も
〇今週のドル/円予想レンジは、112.80-115.10

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は「行って来い」。一時ドル高が進行し115円手前まで達するも続かず、週末に掛けては上げ幅のほぼすべてを吐き出している。

前週末はCOP26やAPEC首脳会議などの国際会議が開催されるなか、日本時間16日に開催の米中首脳会談を前にした両国の事前折衝も行われている。ただ、そこでもバチバチとしたやり取りが観測され、市場では戸惑いの声も。
そうした環境下、ドル/円は113.90円前後で寄り付いたのち上値を試す展開に。上方向のテクニカルポイントを次々突破すると、年初来高値114.67円を更新し114.97円まで値を上げている。しかし、115円を抜けられずに反落へと転じると、113円台まで一気に1円強下げるなど、なかなか激しい上下動。週末NYは再びドルが小戻した114円前後で取引を終え越週となった。
なお、別途週間を通し目立っていたのはトルコリラ。対円では史上最安値を大きく更新し、一時10円を割り込む直前まで下落する局面も観測されている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米中関係」と「米国情勢」について。
前者について、東京時間16日に開催された「米中首脳のオンライン会談」は結果として「大山鳴動して鼠一匹」。事前には波乱要因として注視されていたものの、少なくとも為替市場に大きな影響を与えるには及ばなかった。ただ、それとは別に「バイデン米大統領が、中国北京五輪を外交的にボイコットすることを検討」などと報じられたうえ、突然行方がわからなくなった中国の女性テニス選手をめぐり、米国を中心に国際世論から非難の声が高まっているなど波乱含み。今後の状況次第では、金融市場においても相場の波乱要因となる可能性がある。

対して後者は、16日にバイデン大統領が「今後4日前後のうちFRB議長職に関して発表」、「1週間以内の大型歳出法案の議会通過に自信」などと発言したことが市場で話題に。結局のところ、前者は週内に決着がつかずに持ち越しとなったが、ホワイトハウスのサキ報道官は「週明けに発表する」と今週中にも明らかにするとの見方を示していたほか、後者は米下院で可決し通過。今後は与野党が拮抗する上院での審議に移ることになる。引き続き動静には注目だ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、過去1ヵ月程度推移していたレンジの上限114.69円を上抜け。一時ドル高機運が強まったものの、勢いは続かなかった。その後はむしろ、下方向のリスクを感じさせる値動きだ。時間的な調整を経たとはいえ、一連のドル高の起点は109円台でこれまでに5円を超える上昇をたどってきたことからすれば、短期的にはいま一段の下押し、ドル安が進行しても不思議はないとの見方も取り沙汰されている。ドルの続落には要注意かもしれない。
一方、日米欧英などの金融政策が依然注視されるなか、いまだデフレを脱却できていない日本円はやはり積極的には買いにくい。ただ、市場筋の関心を集めている前述した「FRB議長人事」が、米金融政策に影響を与えかねないとして警戒する向きも少なくないようだ。ちなみに、パウエル現議長の再選見通しが優勢ではあるものの、よりハト派と目されるブレイナード理事が昇格ということになった場合には、たとえ一時にせよ「失望」で反応する可能性もある。そのほか、引き続き発表される米経済指標の内容や、新型コロナの感染拡大状況などにも注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週ドルの上値を試すも失敗に終わった格好だ。再三再四レポートしているように、昨年来の相場は「ダマシ」の多いことは気掛かりだが、短期的なリスクは再び下方向にバイアスが掛かるのかもしれない。
それに対するドル下値だが、先週末下げ止まった113.59円はフィボナッチ的にみてなかなか重要なサポート。何故なら、11月安値112.73円を起点とした上げ幅の61.8%戻しにほぼ合致するためで、しっかり割り込めば100%戻しも視界内に。

材料的に見た場合、中長期的には、格付け会社S&Pが「依然デフォルトリスクが高い」と指摘した恒大集団などの動静も気掛かりな「中国情勢」や、欧州だけにとどまらず再感染がさらに広がりつつある感も否めない「新型コロナ問題」、「日米欧英などの金融政策」−−が注視されている。
そうしたなか今週は、7-9月期のGDP改定値や11月のリッチモンド連銀製造業指数といった米経済指標が発表される見込みだ。また、11月2-3日に開催された米FOMCの議事録要旨も公開される予定となっている。なお、今週は東京が23日、NYが25日休場となることで、材料よりも需給要因などを警戒する声も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.80-115.10円。ドル高・円安については、まず先週末高値の114.54円の攻防に注目で、上抜ければ年初来高値114.97円が再び視界内に。
対するドル安・円高方向は、同じく先週末安値である113.59円が最初のサポート。先でも取り上げたように、同レベルはフィボナッチポイントにもあたる。割り込めば113円割れも否定できず、若干遠いが月間安値の112.73円も意識されかねない。

115円届かず、ドルの下値リスク再燃も

ドル円日足


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