ドル円見通し 上昇一服の113円台持ち合いから13日夜高値を超えて114円乗せを試す(21/10/15)

ドル円は10月15日朝に10月13日夜につけた年初来高値113.80円を上抜いて114円に迫っている。

ドル円見通し 上昇一服の113円台持ち合いから13日夜高値を超えて114円乗せを試す(21/10/15)

ドル円見通し 上昇一服の113円台持ち合いから13日夜高値を超えて114円乗せを試す

〇ドル円、10/13夜の年初来高値113.80を上抜き、10/15朝114円に迫る
〇昨日の経済指標の結果から雇用回復感強まり米国株式市場も上昇、ドル高再燃
〇失業保険申請件数は改善、米生産者物価上昇率は高止まり、過度のインフレ進行懸念後退
〇米10年債利回り低下、2年債利回り高止まり、株価は上昇
〇113.50以上での推移中は上昇余地ありとし、114円超えからは114.30から114.70を目指すとみる
〇113.20割れからはいったん下げに入るとみて113.00から112.70へ向かうとみる。

【概況】

ドル円は10月15日朝に10月13日夜につけた年初来高値113.80円を上抜いて114円に迫っている。
10月8日の米雇用統計を通過してからのドル高基調に乗じて113円台に到達、パンデミック前の2020年2月高値も超える上昇となったが、13日夜は9月米消費者物価コア指数の前年比が8月と変わらなかったことで過度のインフレ進行感が後退したとして米10年債利回りが低下してユーロ等が反騰したためにドル安感が強まった。10月14日夜は米9月生産者物価上昇率の高止まりがみられたものの週間新規雇用保険申請件数が予想を下回る改善となったことで雇用回復感が強まり、米国株式市場も上昇したことでドル高感が再燃、ユーロやポンド等が夕刻までの上昇から反落してドル強気地合いとなっている。

【米生産者物価上昇率は高止まり、失業保険申請件数は改善】

米労働省による週間新規失業保険申請件数は10月9日までの週間で前週比3万6000件減の29万3000件となり市場予想の31万9000件を下回り2週連続の改善だった。失業保険受給者総数は10月2日までの週間で259万3000人となり前週から13万4000人減少して市場予想の267万5000人を下回った。
米労働省が発表した9月の生産者物価指数は全体の前月比が0.5%上昇となり8月の0.7%から低下、市場予想の0.6%を下回った。前年同月比は8.6%上昇で8月の8.3%から伸びが加速したが市場予想の8.7%を下回った。食品エネルギーを除くコア指数では前月比が0.2%上昇となり8月の0.6%から大きく低下して市場予想の0.5%を下回った。また同前年同月比は6.8%上昇で8月の6.7%を上回ったものの市場予想の7.1%を下回った。前日に発表された9月の消費者物価の前年同月比は全体で5.4%上昇で8月の5.3%を上回ったが、コア指数では4.0%で8月と変わらずだった。

【過度のインフレ進行懸念後退で米10年債利回り低下、2年債利回りは一段高状態を維持】

10月14日の米10年債利回りは前日比0.03%低下の1.51%で終了、10月4日1.45%から12日に1.63%へ急騰したところから低下に転じている。一方で2年債利回りは前日比変わらずの0.36%で10月4日の0.26%から13日のピーク時に0.37%台まで上昇してからも高止まりの様相だ。
NYダウは前日比534.75ドル高と5日ぶりに反騰、10年債利回り低下を見てナスダック総合指数も同251.79ポイント高と連騰した。いずれも9月の軟調さから抜け出してきた印象だ。

米消費者物価、生産者物価共に高止まりの状況にあるが年末へ向けて過度に加速してゆく懸念が後退したと市場は受け止めており、インフレ加速により米連銀の利上げ時期が早まる懸念に対しても落ち着いてきている。それでも11月のFOMCでのテーパリング開始決定や来年後半の利上げ想定は変わらずという状況にあるため、米長期債利回り動向では2年債利回りが10月4日からの反騰による一段高状態を維持、10年債利回りはまだ利上げへの時間的余裕がありインフレも落ち着く可能性があるとみて10月12日からは3日連続の低下となって両者の動きに差が出ている。
ユーロ圏主要国や英豪の10年債利回りも米10年債利回りに同調した動きとなっているため、13日は米10年債利回り低下によるドル高が優勢となったが14日夜はともに10年債利回りが低下したことでのドル高一服感が優勢となった印象だ。一方でドル円としては日米金利差を踏まえ、特に米2年債利回りの一段高状態継続により下支えられ、株高によるリスク選好感の回復もあって113円台での上昇一服的な持ち合いを維持しつつ高値更新を伺う展開となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月15日朝の上昇で13日夜高値を上抜いてきたため、10月8日夜安値から3日半となる14日朝安値で直近のボトムを付けて新たな上昇期に入ったと思われる。10月12日夜と13日夜の両高値がダブルトップだったため、次の高値形成期は15日夜から20日夜にかけての間へとやや長めに想定する。弱気転換は14日朝安値113.20円割れからとし、その際は19日朝から21日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月14日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからの転落も回避して上抜けてきている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落するような下落発生からはいったん調整安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は14日朝の40ポイント割れから切り返して60ポイント台へ乗せているので70ポイント台後半を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
中勢としてはまだ上昇基調の継続中とみるが目先は足踏み型の調整期と思われる。
(1)当初、113.50円を下値支持線、114.00円を上値抵抗線とする。
(2)113.50円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、114円超えからは114円台中盤(114.30円から114.70円)を目指すとみる。114.50円以上は反落注意とするが113.50円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。チャート上の目安となる高値は2018年10月4日高値114.54円、2017年11月6日高値114.72円、その上は2016年12月15日高値118.65円等がある。
(3)113.50円から14日朝安値113.20円までは押し目買いされやすい水準とみるが、113.20円割れからはいったん下げに入るとみて112円台終盤(113.00円から112.70円)へ向かうとみる。また14日朝安値を割り込む場合は週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/15(金)
休場 インド(ダシェラ祭)
13:30 (日) 8月 第三次産業活動指数 前月比 (7月 -0.6%、予想 -1.2%)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調済 (7月 134億ユーロ、予想 142億ユーロ)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調前 (7月 207億ユーロ、予想 161億ユーロ)
21:30 (米) 10月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (9月 34.3、予想 27.0)
21:30 (米) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.7%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 1.8%、予想 0.5%)
21:30 (米) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.3%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 輸出物価指数 前月比 (8月 0.4%、予想 0.7%)

23:00 (米) 8月 企業在庫 前月比 (7月 0.5%、予想 0.6%)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (9月 72.8、予想 73.1)
25:20 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加


※ポイント要約は編集部

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