ドル高基調継続だが、調整の動きにも要注意
〇本日のドル円、111.45-50で寄り付き一時値を上げるも、夕方111.35まで軟落
〇ドル高基調継続、年初来高値111.66を更新、 112.22が次のターゲットに
〇直近安値109.12から1週間強で2.5円を超えるドル高・円安進行、調整の動きにも注意
〇本日、8月米中古住宅販売成約指数発表、通貨当局者による発言にも注目
〇欧米時間のドル円予想レンジ110.80-111.80
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場はドル上げ渋り。一時、年初来高値111.66円を数ポイント上回る局面も観測されたが、ドル高は続かなかった。
ドル/円は111.45-50円で寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。年初来高値の手前ではやや上げ渋るも、分厚いオファーを呑み込み111.65-70円へまで値を上げている。しかし、高値を示現後は逆にドル売りに押されると、111.35円前後まで軟落。月末特有の需給要因に加え、日経平均株価がザラ場ベースで800円を超える下落をたどったことなどが材料視されていたという。16時現在、ドル/円はそのまま日中安値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米国情勢」と「自民党総裁選」について。
前者は、またもや幾つかの米国関係ニュースが金融市場でも思惑を呼ぶ。そのひとつは「債務上限」問題で、上院共和党が債務上限を2022年末まで適用停止とする法案の採決を阻止するなか、米財務長官からは「10月18日までに上限に達する公算が大きい」との懸念発言が発せられていたようだ。また、上院銀行委員会での公聴会で、民主党のウォーレン議員が「パウエルFRB議長の再任は支持しない意向」を声高に表明したことも注目を集めていたという。
対して後者は、本日午後に行われた菅首相の後継者を決める自民党総裁選が話題に。日経新聞などが事前に「1回目の投票で決着がつかず決選投票となるのが確実な情勢」と報道、かなりの混戦を見込んでいた通り、「大本命」と目された河野氏が国会議員票3位に沈むなど大波乱の幕開けとなった。なお、最終的には決選投票で岸田氏が勝利をおさめ、新総裁に決定している。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は本日東京時間にわずか数ポイントながら、年初来高値を更新。それもあり、テクニカルに見た場合の次の上値メドは昨年高値の112.22円になる。基本的なリスクは上向き、ドル高方向で間違いなさそうだが、幾つか気になる要因もなくはない。そのひとつは直近安値109.12円から1週間強で2.5円を超えるドル高が進行したスピードの速さ。また前述したように、年初来高値をファーストトライでクリアに抜けきれなかったことにも若干引っ掛かりを覚える。短期的には調整の動きにも一応要注意かもしれない。
米金利動向への関心が高いという状況が依然として続くなか、日米中銀の金融政策には大きな違いが浮き彫りになっている。金利差などを考えると、ドルはやはり積極的に売りにくい状況だ。ただ、不安要素も幾つか存在しており、そのひとつが先でも取り上げた「米債務上限問題」か。金融市場関係者のあいだでは、「なんだかんだ言いつつ最後は話がまとまる」−−などといった楽観的な見方も少なくはないが、警戒だけはしておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は上方向のテクニカルポイントを次々突破。本日東京時間にはついに111.66円の年初来高値も更新したが、これまでと違い今回は「上抜けた」と言い切れないところがやや悩ましい。
「しっかり」超えれば、次の目標は112円台乗せ。具体的には112.22円がターゲットとなりそうだが、その前にいったん調整が先行することになるのかもしれない。ちなみに、足もと1週間程度のドル上昇について、フィボナッチ38.2%の下押しが入るとすれば、そのメドは110.70円レベルとなる。
材料的に見た場合、中長期的には、「電力不足」問題が浮上し新たなリスク要因として話題を集めはじめた「中国情勢」のほか、岸田自民党新総裁が決定しいよいよ衆院選へと舵を切ることになる「日本の政局」、「新型コロナ関連」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、8月の中古住宅販売成約指数が発表されるほか、昨日に続き本日も通貨当局者などによる発言機会が多数予定されている。なかでも、パウエルFRB議長のほか黒田日銀総裁、ラガルドECB総裁等々が参加するパネル討論会がとくに注視されているようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは110.80-111.80円。本日東京で更新した年初来高値111.65-70円が目先の抵抗に。上抜ければ112円台回復、112.22円がターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、ドルの下値がジワリと切り上がるなか、111円前後も弱いサポートとして意識され始めている。ただ、それを下回っても底堅そうで大崩れは予想しにくい。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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