ドル円、日米金融政策格差を背景に、約1年7ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円、一時1年7か月ぶり高値となる112.05まで急伸、米長期金利上昇が背景
〇岸田新政権への期待感、米住宅指標好調、四半期末ドル買い需要等もドル円を支援
〇ユーロドル、米長期金利上昇と独政局不透明感、ラガルドECB総裁のハト派発言等で1.1589まで急落
〇ドル円、6営業日続伸、主要テクニカルポイント上抜け、また、強い買いシグナルがすべて成立
〇ファンダメンタルズも日米金融政策格差、中国恒大集団をめぐる懸念の後退等がドル円続伸をサポート
〇要人発言、月末、期末日の特殊フロー注意、ドル円続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:111.50ー112.50
海外時間のレビュー
29日(水)のドル円相場は急上昇。米長期金利の低下(米10年債利回りが1.56%から1.49%へ急低下)を背景に、欧州時間朝方にかけて、安値111.21まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@米早期利上げ観測を背景としたドル全面高の流れの再開(米10年債利回りの低下幅縮小→ドル買い再開)や、A本邦自民党総裁選で岸田文雄氏が第27代総裁に選出されたこと(10/4に召集される臨時国会を経て第100代首相に指名される見通し→新政権樹立への期待感)、B米8月中古住宅販売仮契約指数の力強い結果(7ヵ月ぶり高水準)、
C月末・四半期末を控えたドル買いフロー、D黒田日銀総裁による「大規模緩和を継続する」とのハト派的な発言(日米金融政策の方向性の違いが改めて意識→ドル高・円安)、Eテクニカル的な地合いの強さ(複数の買いシグナルが点灯)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、年初来高値112.05(昨年2/21以来、約1年7ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間午前6時00分現在)では、112.00近辺で推移しております。尚、パウエルFRB議長はECBフォーラムの中で「利上げ開始はまだ遠い」との見解を示しましたが、市場の反応は限定的となりました。
29日(木)のユーロドル相場は大幅続落。@米早期利上げ観測の高まりを背景としたドル高圧力(欧米金融政策の方向性の違い)や、Aドイツの連立政権樹立を巡る先行き不透明感、BラガルドECB総裁によるハト派的な発言(ユーロ圏経済は供給のボトルネックやエネルギー価格の高騰、新型コロナウイルスの再拡大リスクなど、不確実要因を孕んでいる)、Cテクニカル的な売りシグナル点灯(心理的節目1.1600の下方ブレイク+一目均衡表三役逆転成立)が重石となり、米国時間午後にかけて、昨年7/24以来、約1年2ヵ月ぶり安値となる1.1589まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前6時00分現在)では、1.1597近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は9/22に記録した安値109.12をボトムに反発に転じると、昨日は一時112.05まで急伸しました(6営業日続伸)。この間、主要チャートポイント(一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、21日移動平均線、90日移動平均線、一目均衡表雲上下限など)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナル(一目均衡表三役好転、強気のバンドウォーク、強気のパーフェクトオーダー)が全て成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違いや(利上げ開始に向けて前進する米国と、緩和脱却の糸口を掴めない日本との金融政策格差)、リスク回避ムードの後退(中国恒大集団を巡る懸念後退+株式市場の堅調推移)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米4ー6月期GDP統計や米新規失業保険申請件数、米9月シカゴ購買部協会景気指数に加えて、米当局者発言(ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言、アトランタ連銀ボスティック総裁講演、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁講演、シカゴ連銀エバンス総裁発言、セントルイス連銀ブラード総裁発言など)に注目が集まります。米経済指標が力強い結果を示す場合や、米当局者よりタカ派的な発言が見られる場合などには、米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円がもう一段上昇する可能性もある為、アップサイドリスクに引き続き注意が必要でしょう。また、本日は月末・期末日となる為、本邦公表相場やロンドンフィキシングにかけての特殊フローにも警戒が必要です(昨年2/20に記録した約1年7ヵ月ぶり高値112.22が射程圏内)。
本日の予想レンジ:111.50ー112.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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