ドル円、一時110円台を回復するも定着できず。慎重なFOMC議事要旨が重石
〇ドル円、FRB関係者のタカ派発言に110.07まで上昇後、FOMC議事要旨のハト派的内容に109円台に反落
〇ユーロドル、地政学リスクの高まりとFRB関係者発言に一時1.1694まで下落して年初来安値を更新
〇NZ中銀、予想に反し政策金利据え置きNZドルが急落
〇ドル円、110円に一旦乗せるも一目均衡表の「雲」、転換線に上昇阻まれ失速
〇本日のフィラデルフィア連銀景況指数に要注目
〇本日の予想レンジ:109.30ー110.10
海外時間のレビュー
昨日(18日)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方に一時109.47まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@日経平均株価の上昇を背景とした円売り圧力(リスク回避ムードの後退)や、A米長期金利の上昇を背景としたドル買い圧力、BFOMC議事要旨を控えたポジション調整、Cセントルイス連銀ブラード総裁によるタカ派的な発言(FRBはインフレショックを考慮しなければならない。来年第1四半期までにテーパリングを完了させると共に、必要に応じて利上げの選択肢も確保すべき)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値110.07(8/13以来の高値圏)まで急伸しました。もっとも、D注目された米FOMC議事要旨(7/27ー7/28開催分)でハト派的なスタンス(テーパリング開始に必要な条件は年内に達成される公算が大きいものの、新型コロナウイルスの感染拡大が広がれば、数人の参加者が見解を変更する可能性あり)が示されると、米長期金利の低下を横目にドル円も反落し、本稿執筆時点(日本時間午前6時00分現在)では、109.76近辺まで押し戻される展開となっております(110円台で定着できず→上値の重さを再確認)。
昨日(18日)のユーロドル相場は上値の重い展開。@アフガニスタンを巡る地政学的リスクの高まりや、A新型コロナウイルス・デルタ株の感染拡大懸念、B中国経済の先行き不透明感、C上記@からBを背景としたリスク回避のドル買い圧力、D米当局者によるタカ派的な発言(米長期金利上昇に伴うドル買い圧力)が重石となり、米国時間にかけて、年初来安値1.1694(昨年11/4以来の安値圏)まで下落しました。しかし、E米FOMC議事要旨で慎重なスタンスが示されると、米長期金利低下→ドル売りの経路で持ち直し、本稿執筆時点(日本時間午前6時00分現在)では、1.1710近辺で推移しております。
尚、昨日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)が市場予想に反して政策金利を据え置いた為(市場予想は0.25%→0.50%への25bpの利上げでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に鑑み、RBNZは政策金利を現行の0.25%で据え置くサプライズ)、NZドルが対ドル、対円共に急落する展開となりました(会合後の記者会見でオアRBNZ総裁が「利上げが明らかな方向性」との見解を述べると持ち直しましたが、一巡後は再び反落)。
本日の見通し
ドル円は心理的節目110.00を突破し、一時110.07まで上昇しましたが、ハト派な米FOMC議事要旨の影響を受けて109円台後半へと押し戻される展開となりました(テクニカル的には一目均衡表雲上限や転換線に続伸を阻まれ失速)。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にテーパリング着手の遅延観測が広がったことが要因と考えられます(RBNZも大方の予想を裏切り政策金利の据え置きを決定→今後世界的にテーパリング開始や利上げ再開を躊躇する動きが広がる可能性あり)。こうした中、本日は日本時間21時30分に発表される米8月フィラデルフィア連銀景況指数に注目が集まります。
市場予想を上回る結果となれば、米早期テーパリング観測再燃→来週予定されているジャクソンホール会合でのテーパリング地均し→来月のFOMCでテーパリング宣言のシナリオが濃厚となり、素直にドル買いで反応する可能性が高いと考えられます。一方、市場予想を下回る結果となった場合は、米テーパリング遅延観測台頭→米長期金利低下→ドル売りの経路でドル円が下げ幅を広げる恐れもあります。普段であれば、ドル円相場に影響を及ぼしにくい当該指標ではあるものの、現在は米金融政策の方向性を見極める上で特に8月分のデータが重視される為、本日のフィラデルフィア連銀景況指数の結果には注意が必要でしょう(指標発表後のボラティリティ拡大に要警戒)。
本日の予想レンジ:109.30ー110.10
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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