来週の為替相場見通し:『夏季休暇とジャクソンホール待ちで閑散商いを想定』(8/14朝)

ドル円は週央にかけて、一時110.81(7/7以来の高値圏)まで上昇するも、週末にかけて109.54まで反落する荒々しい値動きとなりました。

来週の為替相場見通し:『夏季休暇とジャクソンホール待ちで閑散商いを想定』(8/14朝)

『夏季休暇とジャクソンホール待ちで閑散商いを想定』

〇先週のドル円、米指標の好調、FRB関係者の相次ぐタカ派発言に週央にかけ110.81まで上昇
〇その後米7月CPIコアの鈍化ミシガン大消費者信頼感指数の悪化に109円台半ばに急落
〇ユーロドル米長期金利上昇に週央にかけ4か月半ぶり安値1.1705まで下落
〇年初来安値更新には至らず、その後の米金利低下に1.18近辺まで戻す
〇ドル円週末の下落で21日線や一目均衡表の「雲」下限を下抜け、上値重い形状に変化
〇ファンダメンタルズ的には米早期テーパリング観測根強く、ドル円上昇の材料残る
〇ドル円上昇がメインシナリオ、夏季休暇シーズン、ジャクソンホール控え様子見気分強まりやすいか
〇来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー110.50、(EURUSD):1.1675−1.1875

今週のレビュー(8/9−8/13)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初110.26で寄り付いた後、@米6月JOLT求人件数(結果1000.7万件、予想927.0万件、前回920.9万件)の力強い結果や、Aアトランタ連銀ボスティック総裁によるタカ派的な発言(比較的早期のテーパリングを支持)、Bボストン連銀ローゼングレン総裁によるタカ派的な発言(今秋にテーパリングを開始する旨を9月に発表すべき)、C欧米株及び原油先物価格の反発を背景としたリスク選好の円売り圧力(米ダウ平均株価は史上最高値を連日で更新)、D米長期金利の上昇圧力、E米上院でのインフラ投資法案可決が支援材料となり、週央にかけて、週間高値110.81まで上昇しました(7/7以来、約1ヵ月ぶり高値圏)。

しかし、一目均衡表雲上限に続伸を阻まれると、F米7月消費者物価コア指数(結果0.3%、予想0.4%)の予想比鈍化(FRBの認識であるインフレは一時的との見方を裏付ける結果→過度なインフレ懸念が後退)や、G米8月ミシガン大消費者信頼感指数(結果70.2、予想81.2)の冴えない結果(ネガティブサプライズ)、H上記FGを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは1.37%から1.28%へ急低下)が重石となり、週末にかけて、週間安値109.54(8/5以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/14午前5時30分現在)では109.58前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1762で寄り付いた後、@欧州圏で広がる新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、A米経済指標の良好な結果、B米当局者によるタカ派的な発言、C米早期テーパリング観測の高まりを背景とした米長期金利の上昇圧力(米ドル高)、Dドイツ8月ZEW景況感調査(結果40.4、予想56.7、前回63.3)の冴えない結果が重石となり、週央にかけて、3/31以来、約4ヵ月半ぶり安値となる1.1705まで下落しました。しかし、3/31に記録した年初来安値1.1703をバックに下げ渋ると、E米7月消費者物価コア指数の予想比鈍化を受けたインフレ懸念の後退や、F米8月ミシガン大消費者信頼感指数のネガティブサプライズ、G上記EFを背景とした米長期金利の急低下(ドル売り)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.1805(8/6以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/14午前5時30分現在)では1.1795近辺で推移しております。

来週の見通し(8/16−8/20)

<ドル円相場>
ドル円は週央にかけて、一時110.81(7/7以来の高値圏)まで上昇するも、週末にかけて109.54まで反落する荒々しい値動きとなりました。この間、一目均衡表基準線や転換線、21日線や一目均衡表雲下限を下抜けするなど、テクニカル的に見て「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(一目均衡表雲上限越えに失敗したことも週末にかけてのポジション調整を誘発)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米早期テーパリング観測の高まりを背景とした日米金融政策格差(年内テーパリングを強く織り込み始めた米国と、金融緩和からの脱却の糸口する見えない日本との金融政策格差)や、A米経済の回復期待(雇用情勢の強さ)、B米当局者による相次ぐタカ派的な発言(今週もタカ派な米当局者発言が繰り返されており、8/26ー8/28に開催されるジャクソンホール会議で地均し→9/21ー9/22に開催される次回FOMCでテーパリング開始スケジュールの発表→年内テーパリング開始のシナリオが現実味を帯びつつある状況)、C本邦における新型コロナウイルスの感染拡大懸念と政局不透明感(円売り要因)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が複数残っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(米ミシガン大消費者信頼感指数のネガティブサプライズを背景に週末前のポジション調整が誘発されましたが、一巡後は再び持ち直す展開を想定)。尚、来週は8/16の米8月NY連銀製造業景気指数や、8/17の米7月小売売上高及び米7月鉱工業生産指数、8/18のFOMC議事要旨、8/19の米新規失業保険申請件数、米8月フィラデルフィア連銀景況指数などに注目が集まりますが、夏季休暇シーズンで且つ翌週に今月のメインイベントでもあるジャクソンホール会合を控えている為、様子見ムードが強まり易く、方向感を見出すには至らないと予想されます。日米金融政策格差を背景としたドル高・円安地合いを想定しつつも、その上昇速度は緩やかなものに留まると予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー110.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は5/25に記録した直近高値1.2267をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、3/31以来、約4ヵ月半ぶり安値となる1.1705まで下落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、200日線や90日線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーや三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て「地合いは弱い」と判断できます(短期的にも中長期的にも明確な下落トレンド)。今週は3/31に記録した年初来安値1.1703まで後2ポイントに迫りながらも週末にかけて持ち直しましたが、一巡後の反落リスクに引き続き警戒が必要でしょう。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏における新型コロナウイルスの感染拡大リスクや、A欧州経済の先行き不透明感(今週発表された欧州経済指標は冴えない結果)、B米早期テーパリング観測の高まりを背景とした欧米金融政策格差(年内テーパリングが織り込まれつつある米国と、金融緩和の長期化が予測されるECBとの金融政策の方向性の違い。ECBは先般の会合でインフレ率の一時的な上振れを容認済み)など、ユーロドルの下落を意識させる材料が複数残っております。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/17に予定されているユーロ圏第2四半期GDP改定値や、8/18のユーロ圏7月消費者物価指数確報値、8/19のユーロ圏6月経常収支が予定されているものの、注目度はさほど高くない為、ユーロドル相場への影響は限定的と考えられます。また、来週は夏季休暇シーズンで且つ、市場参加者に注目されているジャクソンホール会合を翌週(8/26−8/28)に控えていることもあり、大きな値動きは期待できないと考えられます。ユーロドル相場の下落を想定しつつも、その速度は緩やかなものに留まると予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1675−1.1875

注:ポイント要約は編集部

『夏季休暇とジャクソンホール待ちで閑散商いを想定』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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