依然方向性は乏しい、米雇用統計などに注目(週報8月第1週)

先週のドル/円相場は、ドルが小安い。週足ベースでは7月以降維持してきた110円を割り込み、109円台で8月を迎えることになった。

依然方向性は乏しい、米雇用統計などに注目(週報8月第1週)

依然方向性は乏しい、米雇用統計などに注目

〇先週のドル円、週間高値110.58を示現するも110円を割り込み、109.70-75で越週
〇FOMC結果発表、引き続き慎重姿勢、金融緩和政策転換までの道のりは遠いか
〇ドル円、過去3週間程度109.00-110.70のレンジ取引、今週も110円台中心のレンジ取引予想される
〇今週は7月ISM製造業景況指数・7月米雇用統計に注目
〇上値を21日線が抑制、下値を90日線が支える構図にやや変化、7月安値109.06めぐる攻防に注目
〇今週のドル/円予想レンジは、108.70-110.70

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小安い。週足ベースでは7月以降維持してきた110円を割り込み、109円台で8月を迎えることになった。

前週末は、開催されたG20気候相会会合において、石炭火力廃止などで合意できず。また共同声明発表も終了から2日後になるなど、米欧と中国などとのあいだの対立が改めて明らかとなった。また、米中はそれ以外にも対立構造が幾つか示され、一部で話題に。
そうした状況下、ドル/円は110円半ばで寄り付いたのち、週間高値の110.58円を示現。しかし以降ドルは冴えず、110円挟みの推移をたどっていた。109円半ばで当初は底堅さもうかがえたが、週末にかけて一時割り込む局面も。週末NYは、ドルが小戻した109.70-75円で取引を終え越週している。
なお、ドル/円以外で興味深い動きをたどったのがトルコリラ。週末にかけて買い進まれると、対円では6月14日以来1ヵ月半ぶり高値、13円台を一時回復した。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「米ファンダメンタルズと金融政策」について。
前者は、英BBCが同国専門家の話として「英国は10月までにコロナ収束の可能性がある」などとするかなり楽観的な内容を報道したものの、世界的な感染拡大は止まるどころか、むしろ一部で勢いを増している感も。そのため、米国ではサキ報道官が「渡米規制は当面緩めない」と発言したほか、保健当局にあたるCDCが「ワクチン接種でも屋内でマスク着用を推奨する」などと指針の見直しを発表している。また別途、バイデン政権が全連邦政府職員にコロナワクチン接種を要請していたようだ。米国内で、危機意識がかなり強まっていることは間違いない。

対して後者は、週央7月28日に週間でもっとも注視されていた米FOMCの結果発表ならびに、パウエルFRB議長の会見が実施されたが、とくに新味はなし。トーン自体も引き続き慎重姿勢が目に付いた。また、テーパリングの工程についても一切触れられておらず、まだまだ金融緩和政策転換までの道のりは遠そうだ。さらに、FOMC発表の翌日、4-6月期の米GDP速報値が発表され、前期比年率でプラス6.5%。数字自体は良好でコロナ前の水準を回復したものの、事前予想(同8.5%程度)を大きく下回る内容にとどまり、FRBなど当局にプレッシャーをかけることは出来なかった。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は過去3週間程度、109.00-110.70円といったレンジ取引をたどっている。先週も週初に110円半ばを超え、一時レンジ上抜けの様相を呈するも失敗に終わった。先週のNYクローズも109.70-75円と形成レンジの中間地点に近く、いわゆる「居心地の良い」レベル。今週も注目材料は少なくないが、基本的には110円台を中心としたレンジ取引が続くと予想する市場参加者も多いようだ。
前述したような状況下、マーケットでもっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。そうしたなか、今週は週初に7月のISM製造業景況指数、週末の7月米雇用統計など注目指標の発表が相次ぐ。前述したように7月28日の米FOMCで早期利上げへの慎重姿勢が示されるなか、今週も当局へのプレッシャーをかけられるような好数字の数字となるのか、その内容にまずは注目だ。また、名実ともに8月入りすることで需給要因の変化についても、警戒をしている向きがある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は依然として移動平均の21日線が上値を抑制する反面、下値を90日線が支えるという構図にやや変化がみられる。前者はともかく、後者の「90日線がサポート」が、先週末にかけて崩れ始めている感を否めない。とは言え、今後は7月安値の109.06円が強いサポートとして寄与する可能性もあり、まずはその攻防に注目だ。108円台にもサポートは連続しているものの、109円を「しっかり」下回れば、予想以上の下げをたどっても不思議はない。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、7月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が週間を通して連日発表される予定だ。またFRB理事などによる講演や、米国務長官の参加が急遽決まった「ミャンマー問題」、「南シナ海規範」が議論される予定のASEAN外相会議の行方などにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.70-110.70円。ドル高・円安については、週末にかけて110円を割り込む公算の大きい移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目。超えれば直近高値の110.59円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、まず先週安値109.37円、そして7月安値の109.06円が維持できるか否かが注視されそうだ。下回れば108円台突入不可避で、思いのほか深押しとなる可能性もある。

依然方向性は乏しい、米雇用統計などに注目

ドル円日足


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