ドル円 中期円高トレンドを確定(週報8月第1週)

先週のドル円は上下しながらも月曜高値+金曜安値と週を通してドル安の動きが続きました。

ドル円 中期円高トレンドを確定(週報8月第1週)

中期円高トレンドを確定

〇先週のドル円、米金利低下、中国株、日経平均などに影響を受けてドル安の動き続く
〇ドル円はゴールデン・ドラゴン・チャイナの下げ止まりを確認できないと反転期待できず
〇現状ではリスクオフの円高地合いに動きやすい流れは続きやすい
〇中期下降トレンド確定、現在は下降チャンネルの中で7月安値を再度試しに行く流れ
〇今週は109.00レベルをサポートに110.00レベルをレジスタンスとする一週間

今週の週間見通し

先週のドル円は上下しながらも月曜高値+金曜安値と週を通してドル安の動きが続きました。材料としては米金利低下の影響もありますが、それ以上に日経平均株価が週初から下げる動きが強かったことによります。そして日経平均の下げをリードしたのはソフトバンク等の値がさ株が下げたことがありますが、そのソフトバンクの下げに影響を及ぼしたのが中国株、そして中国株の中でも最も影響が大きかったのが先週のコラムで扱ったゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数です。ソフトバンクは中国の新興企業に大きく投資をしていることは有名ですね。

ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数とは、中国企業のうち米国でADR(米国預託証券)を上場しているいわゆる米国で上場している中国企業で、中国政府の規制強化の煽りをもっとも受けやすい企業群と言えます。

今週はまず次のチャートをご覧ください。日足チャートで、上からPGJ(ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数連動型ETF)、ソフトバンクグループ、日経平均株価、ドル円です。水色の矢印で7月1か月の動きを示しましたが、上下の動きに多少の違いはあるものの、ゴールデン・ドラゴン・チャイナ安 → ソフトバンクグループ安 → 日経平均安 → ドル円の下げ(リスクオフの円高)という連鎖が起きていることがわかると思います。

中期円高トレンドを確定

そうなると、現在の上値が重たいドル円はゴールデン・ドラゴン・チャイナが下げ止まったということを確認できないと反転は期待できないということになりますが、日経平均は内憂外患状態で新型コロナ感染者数の爆発的増加で、非常事態宣言延長による株安懸念もあります。

細かい経済指標やイベントは今週の米国雇用統計をはじめ色々とありますが、中国政府による規制強化と新型コロナ感染者数の状況を見ておけば大体の方向性は判断できると思いますし、現状ではリスクオフの円高地合いに動きやすい流れは続きやすいということになるでしょう。

ドル円のチャートを見てみます。いつもの日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

4月安値を起点とした平行チャンネル(ピンク)を下抜け、その後先週までは下降トレンドを形成後に上抜けとやや迷走気味ではありましたが、先週の下げで中期下降トレンドがようやく確定できたように思います。青の平行チャンネルを太線で示しましたが、現在はこの下降チャンネルの中で7月安値を再度試しに行く流れであると考えています。

今週は雇用統計もあり、それまでに下抜けは考えにくいものの7月安値を下抜ける動きとなる場合には、次のターゲットとして7月高値を起点とした逆N波動(ピンク)によるフィボナッチ・エクスパンションです。61.8%エクスパンションが108.98、78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが108.54となっていて、108円台半ばをターゲットとしやすいと言えそうです。

いっぽうで戻しは既に110円の大台が重くなってきていると考えられますので、今週は109.00レベルをサポートに110.00レベルをレジスタンスとする一週間を考えておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月2日(月)
10:45 中国7月MarkIt製造業PMI ☆
15:00 ドイツ6月小売売上高
16:00 トルコ7月製造業PMI

16:50 フランス7月製造業PMI
16:55 ドイツ7月製造業PMI ☆
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI ☆
17:30 英国7月製造業PMI
22:45 米国7月製造業PMI ☆
23:00 米国7月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国6月建設支出

8月3日(火)
08:30 本邦7月東京区部CPI
10:30 豪州6月住宅建築許可件数
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
16:00 トルコ7月CPI
18:00 ユーロ圏6月PPI
23:00 米国6月製造業新規受注

8月4日(水)
07:45 NZ4〜6月期失業率
10:45 中国7月MarkItサービス業PMI ☆
16:50 フランス7月サービス業PMI
16:55 ドイツ7月サービス業PMI ☆
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI ☆
17:30 英国7月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏6月小売売上高
21:15 米国7月ADP全国雇用者数 ☆
22:45 米国7月サービス業PMI ☆
23:00 米国7月ISM非製造業景況指数 ☆
23:30 週間原油在庫統計

8月5日(木)
10:30 豪州6月貿易収支
15:00 ドイツ6月製造業新規受注
15:45 フランス6月鉱工業生産
17:30 英国7月製造業PMI
20:00 英中銀MPC結果発表、議事要旨公表 ☆
20:30 米国7月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国6月貿易収支

8月6日(金)
08:00 豪中銀総裁議会証言
10:30 豪中銀四半期金融政策報告公表 ☆
15:00 ドイツ6月鉱工業生産
15:45 フランス6月貿易収支
21:30 米国7月雇用統計 ☆
23:00 米国7月卸売売上高・在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月26日(月)
週明けのドル円は金曜に続き14日高値110.70レベルをトライしきれなかったこと、また史上最高値更新後のNYダウが先物で利食いに押されて下げたことも重なって、欧州市場序盤には110.12レベルまで水準を下げました。その後ダウ先物は上昇に転じ改めて高値を追う展開となったことからドル円も買い戻しが見られましたが、戻り売りも根強くFOMC前の上値トライは難しい様子でした。

7月27日(火)
ドル円はリスクオフによる円高の動きが終日続きました。中国政府は仮想通貨だけでなくIT関連プラットフォーム全般への締め付けを強化してきましたが、それを嫌気して中国株が連日大幅安、その動きを受けて日経平均も下がり、為替市場では円高という流れになりました。ドル円は東京早朝の110.39レベルを高値にNY昼頃には109.58レベルの安値をつけ、若干戻しての引けとなりました。

7月28日(水)
ドル円は日経平均株価が上昇に転じたことや、FOMCを控えていることもあって前日の下げに対する調整の買い戻しがNY市場まで続きました。若干の押しを挟んでFOMC待ちとなりましたが、テーパリングについては今後も協議を続けていくとのヘッドラインに初動は金利上昇、ドル買いで反応しましたが、パウエル議長会見でテーパリングは今後のデータによること、利上げには程遠いことが示されると一転金利低下、ドル売りとなりました。

7月29日(木)
ドル円は朝方に売りが先行したものの中国株が反発したことからNY市場まで109円台後半でのもみあいが続きました。NY市場では4〜6月期GDP速報値が強いものの予想よりも弱かったこと、またNYダウが後場以降下げに転じたことで109.42レベルの安値をつけ安値圏での引けとなりました。

7月30日(金)
ドル円は日経平均の下げとともに朝方に一時109.36レベルの週間安値をつけましたが、株価回復とともにじり高、NY昼過ぎには109.83レベルの戻り高値をつけました。しかし110円の大台では売りが並んでいた様子で引けにかけては若干売りも出ての月末クローズとなりました。

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