トルコリラ円見通し FOMC後はドル安リラ高、円高に押されるも高値を切り上げる(21/8/2)

トルコリラ円の7月30日は13.07円から12.87円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し FOMC後はドル安リラ高、円高に押されるも高値を切り上げる(21/8/2)

FOMC後はドル安リラ高、円高に押されるも高値を切り上げる

〇トルコリラ円、FOMC後のドル安基調が継続し30日夜に13.07まで続伸
〇深夜以降は対ドルでのリラ高一服、31日早朝に12.92まで反落、2日午前は12.99前後で推移
〇対ドルでは29日午後からドル安に乗じて持ち合い上放れ、30日夕刻に8.37まで高値伸ばす
〇8/3に7月トルコ物価上昇率発表、トルコ中銀が利下げへ傾斜するとみるか市場の反応に注目
〇トルコ文化観光省発表の6月トルコへの渡航者数は204.7万人、パンデミック前の半分も回復せず
〇30日高値13.07超えからは6/11高値13.21を目指す可能性があるとみる
〇12.90割れからは12.80台前半(12.85から12.80)を試すとみる

【概況】

トルコリラ円の7月30日は13.07円から12.87円の取引レンジ。
米FOMC後のドル安基調が継続して夜にかけてはドル安リラ高の推移となり、ドル円も30日午前安値から戻しに入ったことでトルコリラ円は円安とリラ高の両面から押し上げられて13円台に乗せ、23時台にこの日の高値となる13.07円まで続伸したが、深夜以降はドル円の反発も一巡、対ドルでのリラ高も一服となったことで31日早朝には12.92円まで反落、12.94円で週を終えた。
週足では前週末の12.90円から0.04円高、6月21日安値12.48円以降の戻り高値を切り上げた。
6月2日にエルドアン大統領の利下げ言及発言から12.44円へ急落して2月天井15.26円以降の最安値を付け、6月11日に13.21円までいったん戻したところからの下落では6月21日への下落で底割れを回避してその後はジリ高での推移を続けている。徐々に6月11日高値へ迫る流れで推移してきたが、13円台到達で高値警戒感も出やすいところだ。
週明けの8月2日午前序盤は12.99円前後で推移している。

【対ドルでは6月25日以降の高値を更新】

ドル/トルコリラの7月30日は8.48リラから8.37リラの取引レンジ。
6月25日に8.79リラを付けて史上最安値を更新した後はリラ売り一巡による買い戻しで持ち直し、7月16日に8.46リラまで戻り高値を切り上げてからは7月28日までを8.55リラを挟んでほぼ横ばいの持ち合いで推移していたが、7月29日未明に声明の出された米FOMC後に為替市場がドル安へ向かい、対ドルでのトルコリラもFOMC声明発表直後の動きは鈍かったものの29日午後から全般的なドル安に乗じて持ち合い上放れに入り、30日も夕刻にこの日の高値となる8.37リラまで高値を伸ばした。
7月30日夜からは全般的なドル安が一服したことでトルコリラもやや戻り売りに押される展開となったために日足は長い上ヒゲを付けたものの、週末終値は8.43リラで前週末の8.54リラから上昇した。
週明けの8月2日午前序盤は8.44リラ近辺での推移となっている。

【8月3日の物価上昇率発表から大きく動くか】

3月22日のアーバル前トルコ中銀総裁解任報道からトルコリラは暴落的な下げに転じ、副総裁4人のうちの1人が解任された3月30日に8.45リラまで下落、さらにその後もエルドアン大統領政権及び中銀の金融政策への不信任から大幅続落となり史上最安値を更新してきた。しかしカブジュオール現中銀総裁が就任した後はインフレ率を下回るような利下げをしないと繰り返し強調され、トルコの物価上昇率も収まらない中では当面の利下げは無いとみてリラ売りも一巡、6月25日の史上最安値からはリバウンドに入ってきた。そこに全般的なドル安も加わったことで7月16日から7月28日にかけての持ち合いからも上放れした状況にある。

7月30日の日足が上ヒゲを付けたことで、目先はリラ買いも一服から調整的な動きに入る可能性もあるところだが、8月3日には7月のトルコ物価上昇率の発表があり市場の反応も注目される。
7月の消費者物価上昇率については前月比で6月の1.94%から1.54%へ伸びが鈍化すると予想されている。前年同月比では6月の17.53%から18.5%へとさらに伸びると予想されている。前月比の伸びが鈍化すればいずれは前年同月比も落ち着き、年後半へ物価上昇率の低下が見られればトルコ中銀も利下げへ傾斜する可能性も考えられる。7月の物価上昇率をみてトルコの物価上昇率が頭打ちからやや低下へ向かい中銀が利下げへ傾斜するのではないかと市場が受け止める場合、金融政策の常道に反するとしてリラ売りへ向かうのか、まだしばらくは利下げへ踏み込める状況ではないとしてリラ買い基調を維持するのか、蓋を開けてみないとはっきりしないところだ。

現在の政策金利(週間レポレート)は19.0%であり、仮に市場予想通りに消費者物価上昇率が18.5%となれば実質金利はわずかに0.5%にしかならない。仮に予想を超えて19%以上になれば実質マイナス金利状態となって利上げ催促となる可能性もある。次回のトルコ中銀金融政策決定会合は8月12日だ。

【トルコへの観光客数は前年同月比で9.5倍】

トルコ文化観光省が発表した6月のトルコへの海外からの渡航者数は204.7万人となり2020年6月の21.4万人からおよそ9.5倍に増加した。しかしパンデミック前の2019年6月は531.9万人であり、まだ半分も回復していない。
トルコの観光シーズンは春から夏へ徐々に拡大して7月から8月にピークとなり10月辺りまでは400万人を超える水準でにぎわってきた。それがパンデミックにより2020年4月には2.4万人にまで激減し、2020年のピークは9月の220万人に終わっている。本来なら400万人、500万人規模の海外観光客が来るべき時期にあるのだが、変異株による感染拡大が収まらないために全面回復にはほど遠い。6月における最大の渡航者はウクライナからの34.9万人、二位がドイツからの23.6万人、三位がロシアからの17.5万人と続く。ワクチン普及による渡航者の拡大は見込めるもののまだ楽観できない状況にある。

トルコは慢性的な経常収支赤字国であり、貿易赤字を観光収入で埋め合わせする構造となっている。パンデミックの影響が長引けば経常赤字の拡大によるリラ売り圧力も再燃しかねないところだ。ちなみに7月30日に発表されたトルコの6月貿易収支は28.5億ドルの赤字で5月の51.3億ドルの赤字からはやや減少した。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

8月3日のトルコ物価上昇率発表とそれに対する市場反応を見極める必要のあるところだ。
(1)当面、13.07円を上値抵抗線、12.80円を下値支持線とみておく。
(2)13.07円超えからは6月11日高値13.21円を目指す可能性があるとみる。6月11日高値手前は戻り売りにつかまりやすい水準とみるが、物価上昇率発表後に6月11日高値を超える場合は週後半にかけて13.50円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)12.90円割れからは12.80円台前半(12.85円から12.80円)を試すとみるが、12.85円以下は買い戻されやすいとみる。ただし物価上昇率の発表等から下げ足が速まる場合は12.70円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

8月02日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 51.3)
8月03日
 16:00 7月 消費者物価上昇率 前月比 (6月 1.94%、予想 1.54%)
 16:00 7月 消費者物価上昇率 前年同月比 (6月 17.53%、予想 18.50%)
 16:00 7月 生産者物価上昇率 前月比 (6月 4.01%)
 16:00 7月 生産者物価上昇率 前年同月比 (6月 42.89%)
8月05日
 20:30 外貨準備高(グロス) 7/30時点 (7/23時点 626.6億ドル)

8月10日
 16:00 6月 失業率 (5月 13.2%)
8月12日
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.3%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 40.7%)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -6.1%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 27.0%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 19.0%)

※ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る