来週の為替相場見通し:『米長期金利を睨みながらの神経質な展開が継続か』(7/17朝)

今週のドル円は上下しつつも方向感を見出すには至りませんでした

来週の為替相場見通し:『米長期金利を睨みながらの神経質な展開が継続か』(7/17朝)

『米長期金利を睨みながらの神経質な展開が継続か』

〇今週のドル円、米株、CPI、米長期金利の上昇に週央にかけ110.71まで上昇
〇その後はパウエル議長議会証言のハト派的内容に週後半に109.71まで反落
〇週末は米小売売上高が市場予想を上回り110.10レベルに持ち直して越週
〇ユーロドル週初1.1881まで上昇後、米長期金利上昇とECB関係者のハト派発言に1.1772まで下落
〇週末にかけてはパウエル発言による米長期金利低下に1.1806まで持ち直して越週
〇ドル円今週は材料多く上下しつつも方向感を見出すには至らず
〇テクニカルな地合い強く、ファンダメンタルズも市場の年内テーパリング観測根強く、上昇材料多い
〇ドル円上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):109.50ー111.50、(EURUSD):1.1700−1.1900

今週のレビュー(7/12−7/16)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初110.17で寄り付いた後、@米主要株価指数の上昇を背景としたリスク選好の円売り圧力(米主要3指数が揃って史上最高値を更新)や、A米6月消費者物価指数(結果5.4%、予想4.9%、※前年同月比)および、B同コア指数(結果4.5%、予想4.0%、※前年同月比)の急上昇、C上記ABを背景とした米テーパリング観測の再燃とそれに伴う米長期金利の急上昇(米10年債利回りは一時1.42%へ急上昇)、D米30年債入札の不調な結果、Eサンフランシスコ連銀デイリー総裁によるタカ派的な発言(テーパリングについて議論するのは適切。年末ないしは年明け早々にテーパリングの状況が整う)などが支援材料となり、週央にかけて、週間高値110.71まで急伸しました。

しかし、7/8に記録した直近高値と同水準(110.71)で失速すると、FパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言(下院金融サービス委員会)がハト派的な内容となったこと(事前に公表された証言原稿にサプライズが見られなかった他、パウエルFRB議長からも「インフレについては一時的」「量的緩和縮小はまだ先」「景気回復が完了するまで強力な支援を提供する」等の慎重姿勢を確認)や、G上記Fを背景とした米早期テーパリング観測の後退、H米長期金利の急低下(米10年債利回りは1.42%から1.29%へ急低下)が重石となり、週後半にかけて、週間安値109.71まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、I注目された米6月小売売上高が市場予想を上回ったことなどが支援材料となり、結局110.10近辺まで持ち直しての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1872で寄り付いた後、早々に週間高値1.1881まで上昇しました。しかし、先週末金曜日(7/9)に記録した高値1.1882をバックに伸び悩むと、@原油先物価格の下落を背景とした対ユーロでのドル買い圧力や、AデギンドスECB副総裁によるハト派的な発言(インフレ見通しは上向きだが、新型コロナウイルス変異株の感染が広がっているため、ECBは景気支援を継続しなければならない)、B米インフレ懸念再燃を受けた米早期テーパリング観測の台頭(米6月消費者物価指数が市場予想を大幅に上回る結果となったことで米長期金利上昇→ドル高の流れが再開)、C米30年債入札の不調な結果、Dポルトガル中銀センテノ総裁によるハト派的な発言(ECBは景気刺激策の解除にかなりの注意が必要)、E欧州圏における新型コロナウイルス変異株の感染拡大懸念(欧州経済の先行き不透明感)が重石となり、週央にかけて、週間安値1.1772まで下落しました(4/5以来、約3ヵ月ぶり安値圏)。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、FパウエルFRB議長によるハト派な議会証言を受けた米早期テーパリング観測の後退や、G上記Fを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは議会証言前に記録した1.42%から1.29%へ急低下)が支援材料となり、結局1.1806前後まで持ち直しての越週となっております。

来週の見通し(7/19−7/23)

<ドル円相場>
今週のドル円は上下しつつも方向感を見出すには至りませんでした(米6月消費者物価指数→パウエルFRB議長の議会証言→米6月小売売上高という重要イベントウィークだったにも係わらず、結局高値と安値の差が1円に留まる冴えない展開)。但し、テクニカル的に見ると、ダウンサイドに強力なサポートとして意識される一目均衡表雲上限や90日移動平均線が控えている他、強い買いシグナルを示唆するパーフェクトオーダーや、ダウ理論の上昇トレンドも継続しており、全体的に見れば、地合いは強いと判断できます(ドル高・円安トレンドは継続中。余程強いドル売り材料が出てこない限り、下値余地は限定的)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@根強い米早期テーパリング観測(今週の議会証言でパルエルFRB議長は慎重なスタンスを強調しましたが、今週発表されたインフレ指標はCPI、PPI共に力強い伸びを記録している他、米新規失業保険申請件数、米小売売上高共に良好な結果となったことから、市場参加者の間では米年内テーパリング観測は根強い。パウエル氏を除く米金融当局者からもタカ派的な発言が相次いだ)や、A資産現金化需要のドル買いリスク(米テーパリング観測→過剰流動性相場逆流→資産現金化需要のドル買い)、B米経済の回復期待(景気回復→雇用改善→インフレ高進)など、ドル円相場の上昇を想起させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(実際の経済データとパウエルFRB議長のスタンスに不整合が生じつつあるため、市場が催促相場に移行する恐れあり→一巡後のドル買い再開に要警戒)。来週は、7/20に予定されている米6月住宅着工件数や、7/22の米新規失業保険申請件数、米6月中古住宅販売件数などに注目が集まります。良好な結果が示されれば、米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の経路で、再びドル円相場が心理的節目111.00に向けて上昇するシナリオも想定されることから、アップサイドリスクに注意が必要でしょう。尚、本日(7/17)よりブラックアウト期間に突入したことから、来週は米当局者発言が予定されておりません(米当局者による牽制がききづらくなるため、催促相場に移りやすく、米長期金利を睨みながらの神経質な展開が予想される)。

来週の予想レンジ(USDJPY):109.50ー111.50

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は週央にかけて値を崩し、一時約3ヵ月ぶり安値となる1.1772まで下落しました。強い売りシグナルを示唆する一目均衡表・三役逆転に加えて、移動平均線のパーフェクトオーダー(90日線と200日線が7/5にデッドクロス)も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております。目先は3/31に記録した年初来安値1.1703を試すシナリオが想定されます。ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力(年内テーパリング開始が意識される米国と、慎重姿勢を続けるECBとの金融政策格差。今週発表された欧州当局者発言は軒並みハト派的なスタンス)や、A欧州圏における新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、B上記Aを背景とした欧州経済の先行き不透明感など、ユーロドル相場の下落を意識させる材料が複数残っております。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は7/22に予定されているECB理事会と、7/23のユーロ圏7月PMI速報値に注目が集まります。前者については、先週公表された戦略的見直しで示された通り、「フォワードガイダンスがどのような形で再定義されるのか(※)」「来年3月を期限とするパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の終了時期についての議論がどの程度進んでいるのか」に関心が集まっております。

仮にハト派的に受け止められる場合には、ユーロ売りが一段と強まる可能性もあり注意が必要でしょう(※ECBはフォワードガイダンスの変更を巡って意見が対立しているとの一部報道あり)。後者についても、新型コロナウイルスの感染再拡大懸念を背景にセンチメントの悪化が警戒される中、同指標(ユーロ圏のPMI速報値)が下振れる結果となれば、欧州経済の先行き不透明感を背景にユーロドルに強い下押し圧力が加えられる可能性もあり、ダウンサイドリスクに引き続き注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1700−1.1900

注:ポイント要約は編集部

『米長期金利を睨みながらの神経質な展開が継続か』

ドル円日足

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