ドル円見通し 米新規失業保険申請件数減少、雇用統計睨み111円台中盤へ続伸(21/7/2)

1日夜も米新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことや株高を背景に111.50円を超える続伸となり2日未明には111.63円まで高値を伸ばした。

ドル円見通し 米新規失業保険申請件数減少、雇用統計睨み111円台中盤へ続伸(21/7/2)

ドル円見通し 米新規失業保険申請件数減少、雇用統計睨み111円台中盤へ続伸

〇ドル円、7/1夜111.50を超える続伸となり、7/2未明に111.63まで高値を伸ばす
〇米新規失業保険申請件数の減少等の堅調な米経済指標や、株高を背景とした上昇か
〇雇用統計待ちだが、結果次第で量的緩和縮小議論も進むとみた先行買いに押し上げられている印象
〇111.25以上での推移中は上昇余地ありとし、111.75超えからは112円台前半を目指すとみる
〇111.25割れからはいったん下げに入るとみて、111円前後試しとする

【概況】

ドル円は6月30日夜ADP民間雇用者の予想以上の増加を受けて111円台を回復、7月1日午前には6月24日午前高値111.11円を超えて4月23日安値以降の最高値を更新、1日夜も米新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことや株高を背景に111.50円を超える続伸となり2日未明には111.63円まで高値を伸ばした。7月2日夜の米雇用統計を控えた状況にあるが、景気回復を示す米経済指標の堅調さを踏まえて米雇用統計が強めの数字になれば米連銀の量的緩和縮小議論も進むとみてやや先行した買いに押し上げられている印象だ。6月17日未明のFOMCが量的緩和縮小議論開始と利上げ予想時期の前倒しを示したことで急伸したところではNYダウの下落を見てリスク回避的な円高感からいったんFOMC後の上昇分を解消する反落となったが、NYダウが持ち直しに入りナスダック総合指数が史上最高値を更新するところへ上昇したことでリスク選好的にドル円は上昇してきている。

【雇用統計待ちだが株高、米経済指標は堅調】

7月1日の米10年債利回りは前日比0.01%低下の1.46%、1.45〜1.48%のレンジで小動き。米新規失業保険申請件数が予想を下回ったこととISM製造業景況指数が予想を下回ったことで若干の騰落となったが、今晩の米労働省雇用統計本番待ちの動き。30年債利回りは0.03%低下の2.06%、利上げ時期に敏感な2年債利回りは前日比変わらずの0.25%。

米国株式市場は引き続き強い。NYダウは6月17日のFOMC声明発表からの下落で付けた6月18日安値からは反騰基調を継続しており、1日は前日比131.02ドル高の3万4633.53ドルで終了、5月10日の史上最高値35091.56ドルに迫ってきている。ナスダック総合指数も前日比18.42ポイント高と上昇して6月29日に史上最高値を更新した後も最高値圏に付けている。

7月1日夜に発表された米経済指標はまちまち。米労働省が発表した新規失業保険申請は6月26日までの週間で前週比5万1000件減少の36万4000件となり市場予想の39万件を下回った。1週遅れの失業保険受給者総数は6月19日までの週間で346万9000人と前週比5万6000人増で市場予想の338万2000人を上回った。
米サプライ管理協会ISMによる6月米製造業景況指数は60.6となり5月から0.6ポイント低下して市場予想の61.0を若干下回ったが、13か月連続で好況目安の50を上回った。構成指数別では新規受注と製品納入及び雇用が前月から低下、生産と在庫及び価格は前月から上昇した。
米商務省による5月建設支出は前月比0.3%減となり市場予想の0.4%増を下回った。

7月2日夜は米雇用統計の発表があるが、市場の事前予想では失業率が前月の5.8%から5.7%へ改善、非農業部門雇用者数は前月の55.9万人増に対して70.0万人増と拡大すると見込まれている。また平均時給の前年比は前月の2.0%から3.7%へ上昇すると予想されている。雇用統計発表からドル全面高へ向かうのか、期待外れでドル安に転じるのか、8月にかけての流れも左右されることになるところと注目される。

【ダブル天井破りの上昇続くか】

ドル円は3月31日高値を6月24日への上昇で上抜いたため、ダブルトップ破りの一段高に入っている。6月24日高値で111.11円を付けたところで反落した局面ではわずかに高値を更新したところにとどまるダブルトップ形成に終わる可能性もあったが、7月1日への続伸によりダブルトップ破りによる上昇継続感が強まっている。
4月23日安値を起点とした上昇は、5月7日、5月25日、6月7日、6月21日、6月30日と安値を切り上げ、高値も5月3日、5月13日、6月4日、6月24日と切り上げて7月1日も一段高に入っている。ジグザグで上昇チャンネルを形成する動きだが、底上げパターンを維持するうちは中勢レベルの上昇感は継続するとみる。底上げパターンが崩れる(現時点では6月30日安値110.41円を割り込む)場合は4月23日以降の上昇基調から転落して中勢レベルの下落期に入る可能性がある。その際は概ね80週前後の底打ちサイクルにおけるピークアウトとなる可能性もあるところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月30日夜の急伸で6月28日夜高値を超える一段高となったため、7月1日朝時点では30日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして1日夜から5日夜にかけての間への上昇を想定した。1日夜へ一段高となり2日早朝も高値圏を維持しているのでさらに一段高へ向かう可能性があるとみるが、米雇用統計を前後しての波乱にも注意が必要。米雇用統計から続伸なら週明けへ上昇基調を維持するとみるが、雇用統計を弱気反応する場合は弱気サイクル入りにより7月5日夜から7日夜にかけての間への下落が想定される。

60分足の一目均衡表では30日夜の急伸で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返したが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とするが、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンがその後に好転するところからは上昇再開とする。先行スパンから転落する場合は下げも厳しくなると注意する。

60分足の相対力指数は7月1日夕から2日早朝にかけての高値更新に際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行の気配を見せている。60ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとみるが、60ポイントを割り込む場合はいったん下げに入りやすくなると注意して40ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.25円を下値支持線、111.75円を上値抵抗線とする。
(2)111.25円以上での推移中は上昇余地ありとし、111.75円超えからは112円台前半を目指すとみる。米雇用統計後に勢い付く場合は112円台中盤へ上値目途を引き上げる。また111.25円以上での推移か直前高値から0.30円以内の下落にとどまるなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。ただし雇用統計後に直前高値から0.50円以上の下落が発生する場合は下げに転じたとみて週明けは安値試しへ向かいやすくなると注意する。
(3)111.25円割れからはいったん下げに入るとみて111円前後試しとするが、雇用統計前は111円台序盤で押し目買いされやすいとみる。ただし雇用統計から下げ足が速まる場合は110.75円前後へ下値目途を引き下げ、111.25円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/2(金)
10:30 (豪) 5月 住宅ローン新規申請件数 前月比 (4月 4.3%)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 1.0%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 7.6%、予想 9.5%)
21:30 (欧) ラガルドECB総裁、パネルディスカッション
21:30 (米) 5月 貿易収支 (4月 -689億ドル、予想 -714億ドル)
21:30 (米) 6月 非農業部門就業者数 前月比 (5月 55.9万人、予想 70.0万人)
21:30 (米) 6月 失業率 (5月 5.8%、予想 5.7%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前月比 (5月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前年同月比 (5月 2.0%、予想 3.7%)
23:00 (米) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -0.6%、予想 1.6%)


※ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る