ドル円見通し 13日高値からのジリ安続くが109円台維持で上昇再開のきっかけ待ち
〇ドル円、5/13高値からのジリ安続き5/17夜には109.06まで下落、109円台は維持したがじり安商状
〇NY連銀5月製造業景況指数、市場予想を上回るも前月から低下、支払価格と受取価格は過去最高となる
〇米連銀高官、量的緩和の継続姿勢を強調する発言繰り返す、テーパリング議論の前倒し懸念をけん制
〇米10年債利回り、5/17はわずかに上昇し1.65%
〇109.50以下での推移中は一段安余地あり、109円割れからは108.75、108.50前後を試す可能性
〇109.50超えからは上昇再開と仮定して、5/13高値109.78試しとする
【概況】
ドル円は5月13日に109.78円へ上昇して5月3日につけた4月23日夜安値107.46円以降の高値を更新したが、その後は14日、17日と弱含み地合いが続いている。17日夜には109.06円まで下落し、109円台は維持したものの戻り高値を切り下げつつのジリ安商状にとどまっている。
4月23日夜からの反騰で109円台へ到達した後、29日に108.42円、5月7日の米雇用統計発表直後の下落時に108.32円、11日夜に108.34円と108円台前半へ下げたところは買い戻されて底固さを見せているが、5月13日に5月3日高値をわずかに超えたことでは一段高入りへの勢いを得られずにいったん足場固めを強いられている印象だ。
NYダウは先週末に2連騰したところからの調整で前日比54.34ドル安、ナスダック総合指数も50.93ポイント安と小幅下落したが為替市場への大きな影響は見られなかった。
【米長期債利回り動向と米連銀高官発言を見ながら上昇再開のきっかけ待ち】
5月7日の米4月雇用統計では失業率が予想外の悪化で3月の6.0%から6.1%となり、非農業部門就業者数も予想の97.8万人増に届かない26.6万人増にとどまったことで米国の景気回復が単調には進まないことを示した。一方で5月12日の米4月消費者物価上昇率は全体で前年比4.2%、コア指数で3.0%へ上昇してインフレ進行の上ブレ感が強まった。13日の米週間失業保険申請件数は47.3万件ヘ低下したが14日の米4月小売売上高は前月比変わらずで3月の10.7%増から伸びが大幅に鈍化した。まちまちの経済指標は景気回復の初期的なブレを示すものであり、米連銀高官は物価上昇率は一時的として量的緩和の継続姿勢を強調する発言を繰り返した。
5月17日はNY連銀の5月製造業景況指数の発表があったが、5月は24.3となり市場予想の23.9を上回ったものの4月の26.3から低下した。注目されたのは6か月先については4月の39.8から36.6へ低下したこと、支払価格が83.5で受取価格も37.1となりいずれも前月から上昇して過去最高となったこと、その一方で雇用は13.6と小幅低下したことだ。景気回復途上における需給ギャップによるインフレ、人材確保に難航していることを反映した数字と受け止められた。
米連銀のクラリダ副議長等がオンラインイベントで発言したが、副議長は「米経済は深い穴にはまり込んでおり、20兆ドル規模の米経済が再開するまでには時間がかかる」とし「インフレ率の上昇は一時的というのがメインシナリオだがもしインフレ上昇が期待インフレも大幅に上昇させる脅威になればFRBが手段を講じる」と述べた。アトランタ地区連銀のボスティック総裁は「失業者ギャップの解消に向けて著しい進展が見られるまで強力な金融政策運営が必要になる」と述べた。いずれも従来の基本姿勢を踏襲しており、量的緩和縮小=テーパリング議論の前倒し懸念をけん制している。
5月17日の米10年債利回りは前週末比0.02%上昇の1.65%。5月7日の米雇用時計発表直後に1.49%へ急低下してから当日に1.57%まで切り返し、12日まで4連騰して13日には1.70%まで切り上がったが、13日終盤へ低下して14日も1.63%まで下げた。17日はやや戻したものの、市場は再上昇気配への警戒というよりも低下一服での小反発程度としてさほど気にせず、為替市場ではユーロドルが1.2168ドルへ上昇して13日夜からの高値を更新、11日夜高値に迫った。ポンドドルも13日夜からの反騰を継続して11日深夜高値に迫り、全般的にドル高一服からリスク選好的な投機通貨買いの動きが優勢となり、ドル円としてはドル安感に若干押される展開となった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月7日夜と11日夜の両安値をダブル底として反騰入りしたが、13日午前高値で目先のピークを付けて調整期に入り、17日も調整的なジリ安が続いているため、未だ安値試しが続きやすい状況にあるが、11日夜安値から4日を経過しているので反発注意期とし、109.50円超えからは次の強気サイクル入りとして18日午後から20日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では5月17日夜への続落で遅行スパンの悪化が継続、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンへ潜りこむところからは強気転換注意とし、先行スパン突破からは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5月14日夜から安値を切り下げる過程で指数のボトムが30ポイント台でほぼフラットとなっているので強気逆行となる可能性がある。50ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先し、60ポイント超えからは70ポイント前後を目指す上昇期に入るとみるが、50ポイントを超えないかわずかに超えても維持できないうちはもう一段安余地が残る。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.00円を下値支持線、109.50円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、109円割れからは108.75円、次いで108.50円前後を試す可能性があるとみる。108.75円以下は反騰注意とするが、109円以下での推移が続く場合は19日の日中も安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)109.50円超えからは上昇再開と仮定して5月13日高値109.78円試しとし、高値更新からは110円台前半を目指す上昇期入りと考える。109.50円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5/18(火)
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨公表
13:30 (日) 3月 第三次産業活動指数 前月比 (2月 0.3%予想 0.8%)
15:00 (英) 4月 失業保険申請件数 (3月 1.01万件)
15:00 (英) 4月 失業率 (3月 7.3%)
15:00 (英) 3月 失業率・ILO方式 (2月 4.9%、予想 4.9%)
18:00 (欧) 3月 貿易収支・季調済 (2月 184億ユーロ、予想 187億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 貿易収支・季調前 (2月 177億ユーロ)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 -0.6%、予想 -0.6%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 -1.8%、予想 -1.8%)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数 年率換算件数 (3月 173.9万件、予想 171.0万件)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数 前月比 (3月 19.4%、予想 -1.8%)
21:30 (米) 4月 住宅着工許可件数・年率換算件数 (3月 176.6万件、予想 177.0万件)
21:30 (米) 4月 建設許可件数 前月比 (3月 2.7%、予想 0.6%)
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
24:05 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
5/19(水)
休場、トルコ(青年とスポーツの日)、香港(仏誕節)
07:45 (NZ) 1-3月期 生産者物価指数 前期比 (10-12月 0.4%)
09:30 (豪) 5月 ウエストパック消費者信頼感指数 (4月 118.8)
10:00 (豪) 4月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (3月 0.38%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 2.2%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 4.0%)
13:30 (日) 3月 設備稼働率 前月比 (2月 -2.8%)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.6%)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 0.7%、予想 1.4%)
15:00 (英) 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 1.1%、予想 1.3%)
15:00 (英) 4月 小売物価指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.8%)
15:00 (英) 4月 小売物価指数 前年同月比 (3月 1.5%、予想 2.4%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数・改定値 前年同月比 (速報 1.6%、予想 1.6%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価コア指数・改定値 前年同月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
23:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:35 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント参加
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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