トルコリラ円見通し ロックダウン大幅規制解除とドル安背景に急反騰(21/5/18)

午後の急伸で14日夜高値を上抜いて13.13円まで大幅上昇、夜に13.00円まで下げたところも買われて18日早朝には13.14円まで高値を切り上げた。

トルコリラ円見通し ロックダウン大幅規制解除とドル安背景に急反騰(21/5/18)

トルコリラ円見通し ロックダウン大幅規制解除とドル安背景に急反騰

〇トルコリラ円、5/17朝12.88まで下落するも午後13.13まで上昇、5/18早朝13.14まで高値を切り上げる
〇対ドル、5/17リラ買いが勢いづき、5/14夜高値を上抜き夕刻8.28リラまで反騰
〇トルコのロックダウン規制緩和、ドル安基調を背景にトルコリラ押し上げられる
〇トルコの新型コロナ感染は縮小傾向、第三波以前の水準に迫る
〇13.05を上回るうちは上昇余地ありとし、13.17超えからは13.20前後試しとみる
〇13.05割れからは下げ再開を疑い、13.00前後試しへ向かうとみる。

【概況】

トルコリラ円は5月14日夕刻に12.83円まで下落していたところから14日夜には13.02円へ反発、その後は失速して17日朝の取引再開時には12.88円まで軟化していたが、午後の急伸で14日夜高値を上抜いて13.13円まで大幅上昇、夜に13.00円まで下げたところも買われて18日早朝には13.14円まで高値を切り上げた。
トルコでは第三波の感染急増によりラマダンにおける厳しいロックダウンに入っていたが、感染者が大幅に減少したことにより17日に日中の外出禁止令が解除された。夜間の外出禁止令はまだ解除されていないものの、台湾やシンガポール等で感染抑制に成功していたところでの感染急増現象との対比もあってトルコのロックダウン規制緩和がリラ買い材料視されたことで対ドルでのリラ買い戻しが進行、トルコリラ円も押し上げられた印象だ。

【対ドルでは三角持ち合い下放れをひとまず回避で持ち直す】

対ドルでのトルコリラは5月13日に8.51リラまで急落して4月26日安値を割り込んで昨年11月6日の史上最安値8.57リラ以来の安値水準となったが、売られ過ぎ警戒感と14日のドル全面安を背景に買い戻されて14日夜には8.36リラへ上昇、17日はドル安基調の継続と共にトルコのロックダウンの大幅規制解除を好感したリラ買いが勢いづいて14日夜高値を上抜き夕刻には8.28リラまで反騰した。その後も小反落を消化して8.30リラ前後へ戻している。
ロックダウンの大幅解除が好感されたとはいえ、トルコリラが急伸するほどの市場環境の改善が見られたとまでは言えない。それよりも3月30日の8.45リラへの急落、4月26日の8.48リラへの下落、5月13日の8.51リラへの安値更新と続いて徐々に昨年11月6日の最安値8.57リラへ迫る状況となっていたものの、史上最安値更新へ進むには時期尚早として3月30日や4月26日からの反騰時と同様にひとまず買い戻し優勢となり勢い付いたという状況だろう。

対ドルでのトルコリラは日足チャートでは3月30日からのわずかに安値ラインが切り下がる下値支持線と4月15日高値7.98リラ及び4月29日の戻り高値8.11リラを結ぶ上値抵抗線により三角持ち合いの様相となっている。4月15日高値を超えれば下値支持線を形成する3つの安値をトリプルボトムとした反騰入りという可能性も考えられるが、3月19日のトルコ中銀アーバル前総裁を解任して利下げ派のカブジュオール新総裁へ交代したことによる市場の不信任感は解消せず、物価上昇がやまない状況にあってはトリプルボトム期待よりも三角持ち合い下放れを懸念すべき状況が続いていると思われる。

【第三波は終息】

トルコの新型コロナウイルス感染者数は5月17日に1万174人増となり累計では512.7万人に達した。死者は223人増えて4万4983人となった。感染者累計は世界5位の規模であるが、新規感染者数は4月16日の6万3082人をピークに大幅減少に転じており、第三波の開始前の1万人弱の水準に迫ってきている。
トルコのイスタンブール100株価指数はリラ暴落の影響で4月21日に終値ベースの安値をつけたところからは持ち直しを継続しており、5月10日に戻り高値を付けた後は新たな高値更新へ進めずにいるものの5月17日は前日比0.9%高と上昇した。

トルコの4月財政収支は169億リラの赤字となり、3月の238億リラから悪化したが、1月から4月までの累計では59億リラ(7億7200万ドル)の黒字となり、昨年同時期が728億リラ(約116億ドル)の赤字だった状況と比較すると大幅に改善した。1-4月期の歳入は前年同期比では36.4%増の4,379億リラ(577億ドル)、歳出は同9.7%増の4,320億リラ(569億ドル)、利払いを除いた収支は1-4月期で734億トルコリラ(97億ドル)の黒字となった。これらの改善も17日のリラ高材料となったようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月11日夜安値でいったんボトムを付けて戻してから一段安していたために13日午前時点では12日午後の戻り高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、強気転換には13円台を回復するような反騰が必要としていたが、14日朝安値の後は新たな安値更新を回避して17日に急伸したため、14日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は17日午後から19日午後にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、13円台を維持するうちは5月10日高値試しへ向かう可能性ありとし、13.05円割れを弱気転換注意、13.00円割れからは弱気サイクル入りとして19日の日中から21日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月17日の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも突破しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは戻り一巡による下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は17日の急騰で80ポイントに到達してからは75ポイント前後での揉み合い推移となっている。18日午前序盤へ高値を切り上げているものの指数のピークは切り上がっていないため弱気逆行気配とし、65ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、65ポイント割れからは下げ再開の可能性ありとみて当初は50ポイント前後への低下、先行きは30ポイント台への低下へ向かう流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.05円を下値支持線、13.17円を上値抵抗線とする。
(2)13.05円を上回るうちは上昇余地ありとし、13.17円超えからは13.20円前後試しとみる。13.20円前後は反落警戒とするが、13.05円以上での推移なら19日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)13.05円割れからは下げ再開を疑い13.00円前後試しへ向かうとみる。13.00円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、13.00円割れからは12.95円、12.90円を段階的に試してゆく下落期入りと考える。また13.05円以下での推移なら19日は安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月19日
 トルコ休場、青年とスポーツの日
5月20日
 19:30 4月 自動車生産 前年同月比 (3月 19.4%)
5月21日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.2)
 20:30 週次 外貨準備高 5/14時点 (5/7時点 488.6億ドル)
5月24日
 17:00 4月 観光客数 前年比 (3月 26.07%)
5月25日
 16:00 5月 製造業景況観指数 (4月 111.0)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 75.9%)
5月27日
 20:30 週次 外貨準備高 5/21時点
5月28日
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -46.5億ドル)
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 93.9)


注:ポイント要約は編集部

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