ドル円、インフレ懸念再燃で急上昇。米早期テーパリング観測が再び高まる
〇ドル円米4月CPIの予想外の上昇に米国時間午後にかけ109.64まで急伸、高値圏での推移
〇米4月CPIは前年同月比+4.2%、12年8ヶ月ぶり高水準となり、テーパリング観測再燃
〇米10年債利回りは1.695%を記録、NYダウは681ドル安
〇ユーロドルは米長期金利上昇に一時1.2066まで急落
〇ドル円5/3高値109.71に迫り昨日までのドル安ムード一変、テクニカルな地合いも改善
〇FRBのインフレ制御不能リスクが焦点になりつつあり、テーパリング催促相場の様相も
〇ドル円続伸がメインシナリオ、本日の予想レンジ:109.10ー110.10
海外時間のレビュー
12日(水)のドル円相場は安値圏から急反発。米国時間朝方にかけて、一時108.67まで下げ幅を広げるも、21日移動平均線(108.68)をバックに下げ渋ると、@米4月消費者物価指数(結果4.2%、予想3.6%、※前年同月比)の急上昇(2008年9月以来、約12年8ヵ月ぶり高水準)や、A上記@を背景とした米長期金利の急上昇(米インフレ懸念再燃→米早期テーパリング観測再燃→米10年債利回りは4/13以来となる1.695%を記録)、
Bリスク回避のドル買い圧力(米長期金利急上昇→株式市場を中心にリスクアセットが急落→資産現金化需要のドル買い)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、日通し高値109.64(5/3以来の高値)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時10分現在)では、109.58近辺で推移しております。尚、米4月財政収支(結果▲2256億ドル、予想▲2200億ドル)は市場予想を上回る赤字額となりましたが、歳入増加を背景に前月比ベースで赤字額が縮小していたことから、相場への影響は限定的となりました。
12日(水)のユーロドル相場は高値圏から急反落。@ユーロ圏3月鉱工業生産(結果10.9%、予想11.6%、※前年同月比)の冴えない結果や、A米4月消費者物価指数の急上昇、B上記Aを背景とした米長期金利の急上昇(米インフレ懸念再燃→米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→米ドルが対主要通貨で全面高)が重石となり、米国時間にかけて、5/7以来となる安値1.2066まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時10分現在)では、1.2078近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時109.64まで急騰するなど、5/3に記録した直近高値109.71に迫りました。この間、一目均衡表基準線や転換線、雲上限を突破した他、強い買いシグナルを示唆する三役好転やバンドウォーク再開も射程圏内に捉えるなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となりつつあります(昨日までのドル安ムードが一変し、ドル全面高の様相に)。ファンダメンタルズ的に見ても、米消費者指数の急上昇を背景に、FRBによるインフレ制御不能リスクが市場の焦点となり始めており、ここからは、@米インフレ高進→米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→ドル高の経路と、A米インフレ高進→米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→過剰流動性相場逆流リスク→資産現金化需要のドル買いの2つの経路が想定されます(市場がFRBに対して早期テーパリングを催促する相場展開)。
以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(本日は21:30に予定されている米4月生産者物価指数に注目。市場予想を上回る結果となれば、インフレ懸念再燃→米長期金利上昇→ドル高の波及経路で、心理的節目110.00を試すシナリオも想定)。
本日の予想レンジ:109.10ー110.10
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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