来週の為替相場見通し:『年初来続いたドル高地合いの逆流に警戒』(4/10朝)

ドル円は3/31に記録した約1年ぶり高値110.97をトップに反落に転じると、今週後半にかけて一時109.00まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『年初来続いたドル高地合いの逆流に警戒』(4/10朝)

年初来続いたドル高地合いの逆流に警戒

〇今週のドル円週初110.75まで上昇するも前週高値に届かず失速
〇株価堅調のリスク選好と、米長期金利低下、早期テーパリング観測後退等に109円まで急落 
〇ユーロドル上記ドル売りに加え欧州株堅調、ECBの緩和縮小の兆候に1.1928まで急伸
〇ドル円テクニカルには1月からのドル高トレンド是正の可能性
〇ただ、108.40を割り込まないうちは中長期の上昇トレンドは不変か
〇対中、対朝等の地政学リスク、米指標の好調への反応の鈍さ等ファンダメンタルもネガティブ要因加わる
〇短期的なドル円下落がメインシナリオ
〇来週の予想レンジ(USDJPY):108.00ー110.50、(EURUSD):1.1800−1.2050

今週のレビュー(4/5−4/9)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初110.63で寄り付いた後、早々に週間高値110.75まで上昇しました。しかし、3/31に記録した直近高値110.97や、心理的節目111.00をバックに伸び悩むと、@米主要株価指数の堅調推移を背景としたリスク選好のドル売り圧力(米ダウ平均株価やS&P500種指数が史上最高値を更新)や、A米長期金利の低下を受けたドル売り圧力(米10年債利回りは3/30に記録した1.776%から今週後半にかけて1.617%まで急低下)、Bここ数週間急ピッチで進んだドル高・円安ポジションの是正(短期筋のポジション調整)、Cシカゴ連銀エバンズ総裁によるハト派的な発言(当面緩和的な金融政策を維持する必要がある。テーパリングに関する議論は時期尚早)、D米FOMC議事要旨(3/16ー3/17開催分)における「テーパリング開始条件を満たすには暫く時間がかかる」との認識共有、

EパウエルFRB議長による「物価上昇は一時的(持続的なインフレにはならない)」との発言、F上記CDEを受けた米早期テーパリング観測の後退、G米新規失業保険申請件数(結果74.4万件、予想68.0万件、前回72.8万件)の冴えない結果が重石となり、週後半にかけて、約2週間ぶり安値となる109.00まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/10午前5時00分現在)では、109.65近辺で推移しております。尚、今週発表された米3月ISM非製造業景況指数(結果63.7、予想58.5、前回55.3)は力強い結果(1997年以来の高水準)となりましたが、市場の反応は限られました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1761で寄り付いた後、早々に週間安値1.1738まで下落しました(4/5はイースターマンデーで欧州主要国が休場)。しかし、3/31に記録した約5ヶ月ぶり安値1.1703をバックに下げ渋ると、@米主要株価指数の堅調推移を背景としたリスク選好のドル売り圧力や、A米長期金利の低下を受けたドル売り圧力、Bここ数週間急ピッチで進んだドル高・ユーロ安ポジションの是正、C欧州株の堅調推移(独DAXが史上最高値更新→ユーロ高)や、Dテクニカル的な買いシグナル点灯(200日移動平均線突破→短期筋のストップBUY)、E欧州圏サービス業PMIの良好な結果、Fオランダ中銀クノット総裁による「パンデミック緊急プログラムを7ー9月期から段階的に縮小することが可能」との発言、GECB理事会議事要旨にて資産買い入れペースの減速についての話し合いが明らかとなったこと等が支援材料となり、週後半にかけて、3/23以来となる高値1.1928まで急伸しました。週末にかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/10午前5時00分現在)では、1.1905近辺で推移しております。

来週の見通し(4/12−4/16)

<ドル円相場>
ドル円は3/31に記録した約1年ぶり高値110.97をトップに反落に転じると、今週後半にかけて一時109.00まで急落しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い上昇トレンド入りを示唆するバンドウォークも終了するなど、本年1/6を起点に始まったドル高・円安トレンドの是正が警戒されます。但し、一目均衡表三役好転が続いていること、移動平均線のパーフェクトオーダーが点灯していること等を考慮すれば、中長期的な上昇トレンドは継続中と判断できます(上昇トレンド継続可否のトリガーは、3/23に記録した安値108.40を割れるか否か。割れない限り上昇トレンド継続。割れれば上昇トレンド終了)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測の後退(米長期金利の低下→ドル売り)や、A市場で広がるリスク選好ムード(株高→リスク選好のドル売り)、B投資家ポジションのアンワインドリスク(年初より続いたドル独歩高の是正。円ショートのアンワインド)、C新型コロナウイルスの感染再拡大(ワクチン接種ペースの鈍化)、D地政学的リスクの高まり(米中対立激化や朝鮮半島を巡る先行き不透明感)、E米経済指標とドル円相場の相関変化(従来は米経済指標の力強い結果が、米早期テーパリング観測→米長期金利上昇→ドル高で反応していましたが、最近はリスク選好ムード→株高・長期金利低下→ドル売りでの反応に変化)など、ドル円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、短期的な下落リスクが警戒されます。米長期金利・米主要株価指数の動向や、米経済指標の結果(米3月消費者物価指数や、米3月小売売上高、米4月ミシガン大消費者信頼感指数など)、米当局者発言(パウエルFRB議長やニューヨーク連銀ウイリアムズ総裁をはじめ来週は複数の当局者発言が予定)、米債入札(3年債、10年債、30年債)の結果を睨みながらも、当方では、ドル円相場の下落(ドル高ポジションの逆流)をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):108.00ー110.50

<ユーロドル相場>
ユーロドルは3/31に記録した約5ヵ月ぶり安値1.1703をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、一時1.1928まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を上抜けした他、市場参加者に注目されている200日移動平均線も突破するなど、地合いの好転が確認されます(ユーロ安・ドル高基調の修正)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測の後退を背景とした米長期金利の低下や、A欧米株の堅調推移を背景としたリスク選好ムード、BECBによる追加緩和観測の後退(PEPPの枠内での資産購入を4−6月期に加速させた後、7月以降に縮小するとの思惑)、Cポジション調整圧力(過度に傾いたユーロ安・ドル高ポジションの是正)など、ユーロドル相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、アップサイドリスクが警戒されます。米長期金利や欧米株の動向、新型コロナウイルスに関するヘッドライン(欧州各国の感染状況やロックダウン方針。材料出尽くしならユーロ買いで反応する可能性も)、ECBによる資産買い入れ状況、ユーロ圏経済指標の結果(ユーロ圏2月小売売上高、ドイツ4月ZEW景況感調査、ユーロ圏3月新車登録台数など)、欧州当局者発言(デギンドスECB副総裁、パネッタECB専務理事、シュナーベルECB専務理事など)を睨みながらも、当方では、ユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目1.2000の大台回復を想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1800−1.2050

注:ポイント要約は編集部

年初来続いたドル高地合いの逆流に警戒

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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