ドル円見通し 109円台回復、ドル高基調継続で3月15日高値に迫る(21/3/26)

ドル円は3月25日夕刻に109円台を回復、26日未明には109.23円まで高値を伸ばして3月15日高値109.36円へ迫ってきた。

ドル円見通し 109円台回復、ドル高基調継続で3月15日高値に迫る(21/3/26)

ドル円見通し 109円台回復、ドル高基調継続で3月15日高値に迫る

〇ドル円、109円台を回復、3/26未明109.23まで高値を伸ばし3/15高値109.36に迫る
〇3/16以降の下降チャンネルからも上抜け、上昇再開に入ってきている印象
〇ユーロドル・豪ドル米ドル一段安、全般的なドル高基調継続か
〇3/25のパウエル議長発言、解釈で市場がやや混乱、金融緩和政策の出口検討という印象も
〇米10年債利回りは再上昇の勢いには欠けるが高止まり
〇109円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは、上昇余地ありとみる
〇108.80割れからはいったん下げに入るとみて、108.60前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は3月25日夕刻に109円台を回復、26日未明には109.23円まで高値を伸ばして3月15日高値109.36円へ迫ってきた。ユーロドルが深夜に一段安となり1月6日高値以降の安値を更新、豪ドル米ドルも深夜に一段安となり2月25日高値以降の安値を更新、NZドル米ドルも3月23日の急落後も安値更新を続けている。ポンド/ドルはやや戻し気味の推移を続けるなどの動きもみられるが全般的なドル高基調の継続でドル円は押し上げられている。3月15日高値109.36円と3月17日深夜高値109.32円の両高値をダブルトップとして3月23日夜安値108.39円まで下落してきたが、その間の下げ幅は1円弱であり、108.50円割れを押し目買いされて持ち直し、109円を超えたことで3月16日以降の下降チャンネルからも上抜けてきており、全般的なドル高基調継続感を背景に上昇再開に入ってきている印象だ。

NYダウは一時300ドルを超える下落となっていたが終盤の持ち直しで前日比199.42ドル高と上昇した。ナスダック総合指数は前日比15.79ポイント高。米10年債利回りは1.64%近辺で終了。3月18日に1.75%へ上昇した後は低下傾向、24日には1.58%まで低下していたが1.60%台を回復している。米長期債利回りの再上昇という勢いには欠けるが高止まりとなっている。3月18日にかけては米長期債利回り上昇がドル高エンジンとなっていたが、その後に米長期債利回りが低下に転じてもドル高基調は継続している。欧州の感染拡大第三波によるロックダウン延長などの規制強化の動きがリスク回避的なドル買いを助長しているためだが、ユーロドルが年初来最安値を更新している流れと同様、ドル円も調整から脱却して年初からの上昇基調を継続する流れに入りつつあるようだ。

【パウエル議長発言で波紋】

3月25日のパウエル米連銀議長のインタビュー発言に対する解釈で市場がやや混乱した。
パウエル議長は米公共ラジオ局(NPR)のインタビューに対して、「新型コロナウイルス禍による落ち込みから完全に回復するまで利上げは行わず最大雇用と物価安定目標の達成でさらに著しい進展が見られないうちは量的緩和策も縮小しない」と述べたものの、「さらに長期間、我々は利上げを可能にするためのテストを設定した」「経済がほぼ完全に回復した後に透明性の高い方法で時間をかけて非常に緩やかに緊急時に提供した支援策を引き揚げていく」と述べたため、金融緩和政策の出口検討という印象を与えた。まだ相当の期間の金融緩和政策の継続という解釈で落ち着いたが、米経済指標の改善が続けばいずれは出口戦略も意識されることは市場も承知しているところだ。
前回のFOMCにおけるメンバーの金利予想では参加者18人中11人が2023年末までは利上げがないとしたが、7人はそれまでに利上げが始まるとみている。

クラリダ米連銀副議長は25日の講演において「米景気と雇用が新型コロナウイルス危機前の水準に戻るには当面かかる」「景気回復が力強く、可能な限りペースが速くなるようあらゆる手段を講じる」と述べて金融緩和政策が長期化する姿勢を改めて強調した。アトランタ連銀のボスティック総裁も25日の講演で「今後予想されるインフレ率の上昇については高進が迫っている兆候がはっきりしているとは思わない」「金融緩和策をなくす必要性を現時点で考えていない」と述べている。

米労働省が発表した新規失業保険申請件数は3月20日までの週間で前週比9万7000件減少して68万4000件となり市場予想の73万件を下回って2週間ぶりに改善した。失業保険受給者総数は3月13日までの週間で387万人となり前週から26万4000人減少、市場予想の404万3000人を下回った。
米商務省が発表した10-12月期のGDP確定値は前期比年率で4.3%増、市場予想及び改定値の4.1%増を上回った。個人消費は前期比年率で2.3%増となり市場予想及び改定値の2.4%増を下回った。PCEコアデフレーターは前期比年率1.3%上昇で市場予想及び改定値の1.4%上昇を下回った。これらに対する市場の反応は鈍かった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月24日深夜への上昇で3月18日以降の戻り高値を結んだ抵抗線を上抜いたために25日朝時点では23日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入ったとした。また高値形成期を24日夜から26日夜にかけての間としてまだ上昇余地ありとした。
3月26日未明へ高値を切り上げている事で上昇継続中とみるが、3月15日高値109.36円に迫っている為、いったん利食い売りに押される可能性もあるところとみて109円割れを弱気転換注意、108.80円割れからはいったん下落期に入るとみて29日から31日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん安値試しへ向かうとみるが、先行スパンを上抜いた状況を維持するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は25日夜に70ポイント台に到達したが、その後は相場が高値を切り上げたものの指数のピークが切り下がっているため弱気逆行となる可能性がある。50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れまで下げる場合はいったん調整安に入るとみて40ポイント割れを試すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.80円を下値支持線、3月15日高値109.36円を上値抵抗線とする。
(2)109円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとみる。109.36円前後は戻り売りも出やすいところだが、109.36円超えから続伸に入る場合は109.50円、次いで109.70円台を目指すとみる。109.70円以上は反落注意とするが、109円台を維持しての推移なら週明けも高値試しを続けやすい見立て。
(3)108.80円割れからはいったん下げに入るとみて108.60円前後への下落を想定する。108.60円以下は反騰注意とするが、109円を割り込んでの推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすい動きとなるか。

【当面の主な予定】

3/26(金)
16:00 (英) 2月 小売売上高 前月比 (1月 -8.2%、予想 2.1%)
16:00 (英) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -5.9%、予想 -3.5%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 -8.8%、予想 1.9%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (1月 -3.8%、予想 -1.5%)
18:00 (独) 3月 IFO景況感指数 (2月 92.4、予想 93.2)

21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 10.0%、予想 -7.3%)
21:30 (米) 2月 個人消費支出・PCE 前月比 (1月 2.4%、予想 -0.7%)
21:30 (米) 2月 PCEデフレーター 前年同月比 (1月 1.5%、予想 1.6%)
21:30 (米) 2月 PCEコア・デフレーター 前月比 (1月 0.3%、予想 0.1%)
21:30 (米) 2月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (1月 1.5%、予想 1.5%)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報値 (速報 83.0、予想 83.6)


注:ポイント要約は編集部

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