ドル円見通し 年初来最高値を更新後も概ね109円台を維持(21/3/16)

12日夜への上昇で109円台を回復して9日高値に迫り、週明けの15日午後には109.36円をつけて9日午前高値を上抜いた。

ドル円見通し 年初来最高値を更新後も概ね109円台を維持(21/3/16)

ドル円見通し 年初来最高値を更新後も概ね109円台を維持

〇ドル円、3/15午後109.36をつけ3/9午前高値109.23を上抜く、その後概ね109円台序盤で推移
〇米長期債利回り上昇一服、株はNYダウ・ナスダックともに上昇
〇米長期債利回り上昇一服と株高であるものの、米FOMC控えドル高感継続
〇3/16-17米連銀FOMC開催、長期債利回り上昇容認に関する議長会見に注目
〇109円台を維持する内は上昇余地あり、109.36超えから109円台後半から110円を目指す流れとみる
〇108.80割れからいったん調整安に入るとみて、108.50前後から108.30前後のゾーンを試すとみる

【概況】

ドル円は3月9日午前高値で109.23円まで上昇した後は上昇一服で108円台前半を下値支持線としつつ戻り高値がやや切り下がり気味の三角持ち合いの様相で調整していたが、12日夜への上昇で109円台を回復して9日高値に迫り、週明けの15日午後には109.36円をつけて9日午前高値を上抜いた。1月6日安値102.57円以降の最高値更新だが、高値更新からさらに勢いつく展開には至らず、その後は109円を若干割り込む場面を入れながら概ね109円台序盤で落ち着いた推移となっている。

【米FOMCも迫り、米長期債利回りやや低下だがドル高感は継続】

3月15日の米10年債利回りは先週末比0.02%低下の1.61%で終了。3月12日に一時1.64%まで上昇して昨年3月来の最高水準を超えたが、15日は新たな水準切り上げには進まずに日中は1.61%弱から1.64%手前までで上げ渋りとなり、15日深夜には一時1.59%台へ低下する場面もあった。米30年債利回りも0.02%低下の2.36%となり、先週末にかけての米長期債利回り急上昇についてはやや一服となった。
3月15日のNYダウは前週末比174.82ドル高と上昇して4日連続で史上最高値を更新した、また米長期債利回り上昇局面で売られてきたナスダック総合指数も米長期債利回りが落ち着いたところで買い戻されて前週末比139.85ポイント高と上昇した。ハイテク中心のナスダックは長期金利上昇がプレッシャーとなってきているが、株式市場全般としては引き続きバイデン政権の1.9兆ドル規模の経済対策への期待、特に現金給付による消費押し上げ期待、感染増加ペースの鈍化とワクチン普及での経済活動活発化への期待等が押し上げ要因となっている。

3月15日夜にはNY連銀の景況指数が発表されたが予想を上回ったことも株高に貢献した。米NY連銀の3月製造業景況指数は17.4で2月の12.1から上昇、2か月連続の改善で市場予想の14.5を上回った。6か月先見通しは36.4で2月の34.9から上昇、雇用は31.4で2月の16.6から大幅上昇した。景気回復期待を反映したものと思われる。

米長期債利回りの上昇一服と株高により、為替市場にとってはリスク選好感の回復でドル安反応となってもよいところだったが、南アランドやメキシコペソが上昇したものの主要通貨ではユーロドルが午前の戻り高値の後は軟調推移、ポンドと豪ドルは15日深夜に12日深夜安値を割り込むなどドル高継続の動きとなった。米長期債利回りが低下したとはいえ、これまでも若干低下した後に一段高を繰り返してきたこと、米FOMCも迫ってきたことでドル安へ舵を切るには市場も慎重なようだ。

米連銀FOMCは3月16−17日に開催、18日未明に声明発表と議長会見がある。パウエル米連銀議長の3月5日未明の講演発言が足元の長期債利回り上昇を容認する姿勢だったことで3月5日のドル高要因となったが、米連銀首脳のこれまでの発言は総じて「米長期債利回りの上昇は景気回復と物価上昇を反映したもので米連銀の金融政策効果を示している」「長期債利回りは上昇しているがパンデミック前の水準を超えているわけではない」との認識だ。
今回のFOMCでも特段の長期債利回り抑制姿勢は示されないのではないかと思われるが、どこまでを容認するのか、容認できない水準に達した際にどのような姿勢を示すのかなど、議長会見が注目される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月9日午前高値の後はやや右肩下がりの調整安に入っていたが、3月15日午後に9日午前高値を上抜いた。このため、調整期の終盤安値である3月11日朝安値を起点として強気サイクルに入ったと思われる。高値形成期は12日午前から16日午前にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるため、15日午後高値でサイクルトップを付けた可能性がある。108.80円以上での推移中はトップ形成期の延長入りか、連続的な強気サイクル入りによる上昇継続の可能性ありとし、15日午後高値超えから続伸に入る場合は18日から22日にかけての間へ上昇基調を続ける可能性があるとみる。ただし、108.80円割れからはいったん調整安に入るとみて16日の日中から18日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月12日夜への上昇で先行スパンを突破し、その後も先行スパンを上抜いた状況を維持している。15日午後高値の後は横ばいのため遅行スパンは悪化しやすい位置にあるが、先行スパンからの転落を回避するうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転からは上昇再開とする。先行スパン転落からはいったん調整安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替えるが、その後に先行スパンを上抜き返すところからは新たな上昇期に入ると考える。

60分足の相対力指数は3月12日から15日への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるためいったん下げやすい状況にあるとみる。50ポイント台を維持するかわずかに割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落にはいる場合は40ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.80円を下値支持線、15日午後高値109.36円を上値抵抗線とする。
(2)109円台を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとし、15日午後高値超えからは109円台後半から110円を目指す流れとみる。109.75円以上は反落注意とするが、109円以上での推移なら17日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.80円割れからはいったん調整安に入るとみて108.50円前後から108.30円前後にかけてのゾーンを試すとみる。108.50円以下は押し目買いされやすい水準とみるが、108.80円以下での推移が続く場合は17日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/16(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
09:30 (豪) 10-12月期 住宅価格指数 前期比 (7-9月 0.8%、予想 2.0%)
09:30 (豪) 10-12月期 住宅価格指数 前年同期比 (7-9月 4.5%、予想 2.9%)
09:30 (豪) 豪準備銀行(RBA、豪中銀)、金融政策会合議事要旨公表
13:30 (日) 1月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 4.2%)
13:30 (日) 1月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報)
13:30 (日) 1月 設備稼働率 前月比 (12月 0.8%)
19:00 (独) 3月 ZEW景況感 (2月 71.2、予想 74.0)
19:00 (欧) 3月 ZEW景況感 (2月 69.6)

21:30 (米) 2月 小売売上高 前月比 (1月 5.3%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 5.9%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 1.4%、予想 1.2%)
21:30 (米) 2月 輸出物価指数 前月比 (1月 2.5%、予想 1.0%)
22:15 (米) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.9%、予想 0.3%)
22:15 (米) 2月 設備稼働率 (1月 75.6%、予想 75.5%)
23:00 (米) 1月 企業在庫 前月比 (12月 0.6%、予想 0.3%)
23:00 (米) 3月 NAHB住宅市場指数 (2月 84、予想 83)

3/17(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
06:45 (NZ) 10-12月期 経常収支 (7-9月 -35.21億NZドル、予想 -28.50億NZドル)
08:30 (豪) 2月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (1月 0.25%)
08:50 (日) 2月 貿易統計・通関季調済 (1月 3928億円、予想 -2000億円)
08:50 (日) 2月 貿易統計・通関季調前 (1月 -3239億円、予想 4550億円)
19:00 (欧) 1月 建設支出 前月比 (12月 -3.7%)
19:00 (欧) 1月 建設支出 前年同月比 (12月 -2.3%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)

21:30 (米) 2月 住宅着工件数・年率換算件数 (1月 158.0万件、予想 155.5万件)
21:30 (米) 2月 住宅着工件数 前月比 (1月 -6.0%、予想 -1.6%)
21:30 (米) 2月 建設許可件数・年率換算件数 (1月 188.1万件、予想 175.0万件)
21:30 (米) 2月 建設許可件数 前月比 (1月 10.4%、予想 -7.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
30:00 ブラジル中銀、政策金利発表 (現行 2.00%、予想 2.50%)


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