ドル円 FRB議長証言を注視、内容次第で乱高下も
〇ドル円105円挟みで一進一退積極的な動意なし
〇豪ドル対ドルでの年初来高値を更新
〇米株上値重く調整入りか、調整から下押しの場合ドル一段安も
〇今晩のパウエルFRB議長の米上院銀行委員会での議会証言要注視
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ104.60-105.60
<< 東京市場の動き >>
23日の東京市場はレンジ取引。東京休場のなか、積極的な動意は終日を通してうかがえなかった。
ドル/円は105.05-10円で寄り付いたものの、東京休場もあり動意に欠ける。終日を通した値幅は20ポイント程度。105円挟みの一進一退にとどまり、明確な方向性はうかがえなかった。16時現在では105.10円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
ただ、ドルは全般的に冴えない値動きで、豪ドル/ドルが年初来高値を更新(ドルの年初来安値を更新)するなど、対ポンドやカナダ、NZドルなどでも年初来安値圏での推移をたどっていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「イラン情勢」と「新型コロナ」について。
前者は、IAEAトップのグロッシ事務局長がイランを緊急訪問。当初は「査察受け入れ停止」と決定されたものを覆したが、昨日は同国最高指導者のハメネイ師が「核活動をめぐる米国の圧力に決して屈しない」と述べたうえで、「必要に応じてウラン濃縮度を最大60%に引き上げる可能性がある」との考えを示し話題に。やはり、コトが簡単に進展するということはなく、依然として紆余曲折は避けられない状態だ。
対して後者は、ジョンソン英首相は当初予定されていたとおり「ロックダウンの段階的解除計画」を発表。その背景のひとつになったのか、ロイターは「英保健当局が、米ファイザー製ワクチンの初回接種でコロナ感染が約70%減少したことを明らかにした」とも報じている。英国以外でも足もとはやや感染拡大が沈静化している先が少なくないが、日本については慎重になっている向きが多いようで、時事通信は「東京都、緊急事態宣言の早期解除を要請せず」などと指摘していた。
<< 欧米市場の見通し >>
NYダウは、ここ数日底堅く31000ドルを一度も割り込んでいないものの、上値も重く32000ドルにはとどかないという強保ち合いの展開だ。また同じ米株でいえば、ナスダックは昨日300ポイント以上下落している。一足早く調整局面入りした感を否めないだろう。ともかく、これまで為替市場においてもドル高基調を牽引してきた一因である米株が伸び悩み、あるいは調整から下押しをたどるとすると、歩調を合わせる格好でさらなるドル安が進行しても不思議はないのかもしれない。
このあとも、引き続き米株と米金利の動きを注視しつつ、本日は半期に一度実施される米上院銀行委のパウエルFRB議長議会証言に要注意だ。最新の景気判断を踏まえたうえで今後の金融政策スタンスに如何なる考えを示すのか、そして現在も連日高値圏での推移が続くNYダウやビットコインなどについて警戒を発するコメントが聞かれるのか、などがとくに注目されている。発言内容によっては波乱もありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日東京時間に移動平均の200日線を上回り、ドル高再燃観測も取り沙汰されていたが結局ダマシ。それどころか、右肩上がりをたどる21日線(104.90-95円)割れを視野に入れた展開で、ドルの下値リスクが高まりつつあるようだ。仮に下げ止まらずに、しっかりと割り込むようだとドルの続落、104円台前半をメドにした続落を否定できないのかもしれない。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる対立や人権問題などで話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、2月の消費者信頼感指数や同リッチモンド連銀製造業指数といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による2年債の入札が予定されている。また、前述したFRB議長の半期議会証言も予定されているなど、材料は少なくないようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは104.60-105.60円。上方向は、昨日再び下回ってきた移動平均の200日線が位置する105円半ばの攻防に注視。抜けると105.85円レベルなどが弱い抵抗として意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、移動平均の21日線も位置する本日東京安値の104.90-95円が最初のサポートか。下回ってくると10日安値の104.41円がターゲットに。(了)
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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