ドル円見通し 3日連続陰線(三羽烏)の後は下げ渋りの小陽線続く(21/2/12)

104.50円割れを回避しつつ、11日も10日夕高値を超えない範囲での横ばいにとどまった。

ドル円見通し 3日連続陰線(三羽烏)の後は下げ渋りの小陽線続く(21/2/12)

ドル円見通し 3日連続陰線(三羽烏)の後は下げ渋りの小陽線続く

〇ドル円、2/10夕104.40まで下げ一時的に104.84まで戻したが、その後は104.84を超えない横ばい推移
〇ドル円日足、1/27から2/4まで7日連続陽線、2/5から2/9までは3日連続陰線
〇米国株式市場は堅調な推移、史上最高値更新を続けている状況
〇2/11米10年債利回り再上昇、為替市場でのドル安基調にややブレーキかかる
〇2/15米国市場休場、本日は3連休前の週末、連休明けの方向性を探る上で重要な局面となるか
〇米消費者物価上昇鈍い、失業保険申請件数は改善するも市場予想を上回る
〇104.80以下での推移中は一段安余地あり、104.40割れからは104円前後試しとみる
〇104.80超えからは105円台序盤への上昇を想定する

【概況】

ドル円は先週末からのドル安のぶり返しにより2月9日昼に105円を割り込み、2月10日夕刻には104.40円まで安値を切り下げた。10日夕刻に104.84円まで一時的に戻したものの勢いは続かず、その後は104.50円割れを回避しつつ、11日も10日夕高値を超えない範囲での横ばいにとどまった。
日足は1月27日から2月4日まで7日連続の陽線で連騰したが、2月5日から2月9日までは3日連続の陰線(三羽烏、黒三兵)での下落となり、当初の2日間は上ヒゲが目立ち、3本目は下げ幅も拡大したが、2月10日と11日は2月9日の日足陰線レンジの下半分に満たない程度で小陽線を2日続けて下げ渋りとなっている。
1月6日安値102.59円から2月5日高値105.76円まで3.17円の上昇幅となり、昨年5月7日安値105.98円から6月5日高値109.84円までの上昇幅3.86円に次ぐ3円超えの反騰だったが、戻り一巡で下げ再開に入るのか、現状を押し目形成としてもう一段高へ進むのか、米国市場が3連休に入る前の週末である2月12日の動きが重要となってくるところだ。

【米国株式市場は堅調、いったん下げた米10年債利回り再上昇気配】

NYダウは2月10日に前日比61.97ドル高と上昇して3万1511.44ドルまで取引時間中の史上最高値を更新して終値ベースも2日ぶりに史上最高値更新となった。11日は取引時間中の最高値を3万1543.82ドルまで伸ばしたが利益確定売りに押されて前日比7.10ドル安と小幅下落に終わった。ナスダック総合指数は2月10日には前日比35.17ポイント安と下落したが、11日は前日比53.24ポイント高と上昇して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新している。米国での感染拡大ペースが鈍化したこととバイデン政権による大規模経済対策への期待感、米連銀によるゼロ金利と量的緩和による資産購入プログラムの長期継続が株高を益々助長しており、利食い売りを消化しつつも史上最高値更新を続けている状況にある。

一方で米10年債利回りは2月8日に1.20%へ上昇したところから2月10日には1.12%まで下げたが、11日は1.15%まで再び上昇している。今週の米国債大量入札と株高債券安の流れで利回りが急上昇したのは1月7日から1月12日にかけての間の急上昇期に近い動きだったが、大量入札も無難に消化したことでいったんは低下した。しかし株高継続が11日の利回り再上昇となり、為替市場におけるドル安基調にややブレーキがかかった。ユーロドルは11日深夜にこの間の高値を更新したがポンド/ドルはやや下落、ドル円は下げ渋りとなったのも米長期債利回りの再上昇気配を意識したものと思われる。
2月15日は米国市場がプレジデンツデーで休場となるため2月12日は3連休前の週末として連休明けの方向性を探る上で重要な局面となりそうだ。株高によるリスク選好感を優先して投機通貨買い=ドル安基調を継続してゆくのか、米長期債利回り上昇でドル安にブレーキがかかるのか、見定める必要がある。ドル円にとっては2月5日以降の安値を更新すれば円高ドル安がさらに進みやすくなる局面と思われる。

【米消費者物価上昇は鈍く、失業保険申請件数も改善だが市場予想を上回る】

米労働省が10日に発表した1月の消費者物価指数は前月比0.3%上昇となり市場予想と一致、12月の0.4%上昇からは伸びが鈍化した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数の前月比は0.0%で市場予想の0.2%上昇を下回り12月の0.1%上昇から鈍化した。全体の前年同月比は1.4%上昇で市場予想の1.5%上昇を下回り12月と同じだった。コア指数の前年同月比は1.4%上昇で市場予想の1.5%上昇を下回り12月の1.6%上昇から伸びが鈍化した。前年同月比は米FRBが目標とする2%を大きく下回った状況にある。

米労働省が11日に発表した2月6日までの週間新規失業保険申請は前週比1万9000件減の79万3000件となり2週ぶりに改善したが、市場予想の75万7000件を上回った。失業保険受給者総数は1月30日までの週間で454万5000人となり前週から14万5000人減少したが市場予想の449万人を上回った。

パウエル米FRB議長は10日の講演で「新型コロナウイルスによる打撃からの景気と雇用回復には忍耐強く緩和的な金融政策を講じることが重要だ」と述べた。「感染再拡大により過去数か月の労働市場の持ち直しは失速した」「1月の失業率は6.3%へ低下したが、職探しをあきらめた労働者などを考慮すれば実際は10%近くに達している」との認識を示した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月5日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして2月9日午前から11日午前にかけての間への下落を想定してきたが、2月10日夕安値からいったん戻し、その後も新たな安値更新を回避しているので10日夕安値を直近のサイクルボトムとする。底割れ回避のうちは12日夜から15日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして15日午後から17日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10日夕安値から戻した後を横ばい推移しているところで遅行スパンは好転、先行スパンへ潜り込んできている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜けるところからは上昇に勢いがつく可能性もあるが、両スパン揃って悪化するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月10日夕安値からの下げ渋りで50ポイントを超えているが勢いに欠ける状況にあるので、65ポイント超えからは70ポイント超えを目指す上昇を想定するが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、104.40円を下値支持線、104.80円を上値抵抗線とする。
(2)104.80円以下での推移中は一段安余地ありとし、104.40円割れからは104円前後試しとみる。104円以下は反騰注意とするが、104.50円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104.80円超えからは105円台序盤への上昇を想定する。105円台序盤は戻り売りにつかまりやすいとみるが105円到達後も104.80円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

2/12(金)
休場、中国、香港、シンガポール(旧正月)
16:00 (英) 12月 月次GDP 前月比 (11月 -2.6%、予想 1.0%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7-9月 16.0%、予想 0.5%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP速報値 前年同期比 (7−9月 -8.6%、予想 -8.0%)
16:00 (英) 12月 鉱工業生産指数 前月比 (11月 -0.1%、予想 0.5%)
16:00 (英) 12月 鉱工業生産指数 前年同月比 (11月 -4.7%、予想 -3.8%)
16:00 (英) 12月 貿易収支・物品 (11月 -160.12億ポンド、予想 150.00億ポンド)
16:00 (英) 12月 貿易収支・全体 (11月 -49.95億ポンド、予想 -57.50億ポンド)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値 (1月 79.0、予想 80.8)
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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