ドル円見通し 7日連続陽線の後は2日連続上ヒゲ陰線で上昇一服(21/2/9)

米長期債利回りが低下に転じると株高によるリスク選好優先の動きで為替市場全般がドル安へ向かったためにドル円も下げた印象だ。

ドル円見通し 7日連続陽線の後は2日連続上ヒゲ陰線で上昇一服(21/2/9)

ドル円見通し 7日連続陽線の後は2日連続上ヒゲ陰線で上昇一服

〇ドル円、2/8午前105.28まで下げ夕刻高値105.66まで戻したが、深夜105.15まで安値を切り下げる
〇株高債券安により米10年債利回り2/8夕刻に1.20%へ上昇するも、その後は一時1.15%まで低下
〇米長期債利回り低下に転じると、為替市場全般がリスク選好優先のドル安へ向かいドル円も下げる展開
〇NYダウは6連騰、ナスダックは3日連続の史上最高値更新
〇バイデン政権の追加経済対策実現への前向きな見方、株式市場の先高感が強める
〇NY原油上昇、実体レベルでもインフレ進むとの見方、徐々に強まる
〇105.50以下での推移中は一段安余地あり、105.00割れなら104.75から104.25にかけてを試すとみる
〇105.50超えからは2/5夜高値105.76試しとみる

【概況】

ドル円は2月5日夜に105.76円まで上昇して1月6日安値102.59円以降の高値を更新したが、その後は新たな高値更新へ進めず、8日午前の取引再開直後に105.28円まで下げてから夕刻高値で105.66円まで戻すも深夜の下落で午前安値を割り込み105.15円まで安値を切り下げた。その後はほぼ横ばいの推移となっている。
日足は1月27日から2月4日まで7日連続の陽線で連騰してきたが、2月5日と8日は上ヒゲの陰線続きとなり106円を伺う勢いに欠けて105円台後半では上値が重くなった。
2月8日夕刻までは株高の一方で米長期債利回りが上昇したことでドル円も支えられていたが、米長期債利回りが低下に転じると株高によるリスク選好優先の動きで為替市場全般がドル安へ向かったためにドル円も下げた印象だ。

【株高・長期債利回り上昇だが、為替市場はリスク選好のドル安】

2月8日のNYダウは前日比237.52ドル高と上昇した。1月21日に史上最高値を更新してから1月29日にかけて大幅下落してきたが、1月29日安値を起点としてV字反騰に入り、2月1日から8日までは6連騰となり8日高値では3万1386.10ドルまで上昇して1月21日高値を超えて史上最高値を更新した。ナスダック総合指数は131.34ポイント高で3日連続の史上最高値更新となった。米議会上下両院が予算決議を可決したことによりバイデン政権が公約とした1.9兆ドル規模の追加経済対策については与党民主党単独でも実現可能となったとの見方が強まり株式市場の先高感が強まった。またイエレン米財務長官が大型追加経済対策が成立すれば2022年には完全雇用に戻ると7日に述べたことも楽観を強めた。

株高債券安により米10年債利回りは2月8日夕刻に1.20%へ上昇して1月12日に付けた1.19%を超えて昨年3月以降の高値をいったん更新したが、その後は一時は1.15%まで低下、週末比では横ばいの1.17%で終了した。米30年債利回りも昨年2月下旬以来となる2.0%にいったん到達したが、週末比では0.02%低下の1.95%で終了した。
米長期債利回りが上昇していた8日夕刻まではドル買い圧力もかかっていたが、夕刻以降に低下したところからは株高=リスク選好での投機通貨買い優勢の流れとなり、ユーロドルが2月4日夜以降の戻り高値を切り上げ、ポンドや豪ドル、新興国通貨も軒並み上昇した。

NY原油が8日には前日比1.12ドル高と上昇して58.14ドルまで高値を伸ばしてきたが、大規模な追加経済対策による景気浮揚から先行きは資産インフレだけではなく実体レベルでもインフレが進むのではないかとの見方も徐々に強まってきている。このため、インフレ進行を先取りした米長期債利回り上昇なら利回り上昇によるドル高圧力ではなく利回り上昇=インフレによるドル安との受け止め方に市場のスタンスも変わり、昨年3月から今年の年始まで続いてきたドル安基調も継続するのではないかという見方が強まる可能性がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月26日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして1月28日夜から2月1日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、1月29日夕高値から上げ渋った後に一段高へ進んだため、2月1日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして2月3日夕から5日夜にかけての間への上昇を想定した。
5日夜へ高値を更新した後は新たな高値更新へ進めずに8日深夜へ失速したため2月5日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は9日午前から11日午前にかけての間と想定されるので既に反騰注意期に入ってきているが、105.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、105.50円超えからは強気転換注意とするが、新たな強気サイクル入りは5日夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では8日深夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、遅行スパンが下げ渋りで一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は2月5日夜にかけての高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生してから下落に転じている。40ポイントを割り込む水準へ下げているので、50ポイントを下回るうちは一段安余地ありとみて30ポイント以下への低下を想定する。上昇再開は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.00円を下値支持線、105.50円を上値抵抗線とする。
(2)105.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、105.00円割れから続落に入る場合は104.75円から104.25円にかけてのゾーンを試すとみる。104.50円以下は反騰注意とするが105.25円以下での推移なら10日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.50円超えからは2月5日夜高値105.76円試しとみる。高値更新に失敗して105.25円を割り込むところからは下げ再開とみるが、2月5日夜高値超えからは新たな上昇期に入るとみて106円超えを目指す流れを想定する。また105.50円以上での推移が続く場合は10日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/9(火)
米上院、トランプ前大統領の弾劾裁判開始予定
09:30 (豪) 1月 NAB企業景況感指数 (12月 14)
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 172億ユーロ、予想 140億ユーロ)
16:00 (独) 12月 経常収支 (11月 213億ユーロ、予想 233億ユーロ)
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演

2/1(水)
08:30 (豪) 2月 ウエストパック消費者信頼感指数 (1月 107.0)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前月比 (12月 0.5%、予想 0.4%)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前年同月比 (12月 -2.0%、予想 -1.6%)
10:30 (中) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 -0.4%、予想 0.3%)
10:30 (中) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 0.2%、予想 -0.1%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
16:00 (独) 1月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
22:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
22:00 (欧) パネッタECB理事、講演

22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 1.4%、予想 1.5%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 1.6%、予想 1.5%)
24:00 (米) 12月 卸売在庫 前月比 (11月 0.0%、予想 0.1%)
24:00 (米) 12月 卸売売上高 前月比 (11月 0.2%)
28:00 (米) 1月 月次財政収支 (12月 -1436億ドル)
28:00 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演


注:ポイント要約は編集部

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