『ドル高基調は一服か。米追加経済対策の行方に注目』
〇ドル円週末にかけ105.77まで急伸するも米雇用統計結果への失望で105.38近辺に反落
〇ユーロドル欧州指標の不冴え、米長期金利上昇、医政局不透明で1.1952まで下落
〇その後雇用統計の不冴えによるドル売りで1.2050まで持ち直す荒い値動き
〇ドル円テクニカルには200日線上抜け、三役好転で地合いの強さ印象付ける
〇ファンダメンタルズはドル高の起点の米追加経済対策が揺らげば逆転の恐れも
〇来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー106.50、(EURUSD):1.1900−1.2150
今週のレビュー(2/1−2/5)
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初104.68で寄り付いた後、早々に週間安値104.61まで軟化しました。しかし、@日経平均株価の上昇を背景にリスク選好の円売りが強まると、Aバイデン新政権による追加経済対策への期待感(米上院での予算決議案可決)や、B上記Aを背景した米株及び米長期金利の急上昇(S&P500、ナスダック共に史上最高値更新。米10年債利回りは1.06%→1.18%へ急上昇)、C米経済指標(米1月ADP雇用統計、米1月総合PMI改定値、米1月ISM非製造業景況指数、米新規失業保険申請件数)の良好な結果、
D新型コロナウイルスの収束期待(米国にて新型コロナワクチン接種者が累計陽性者を上回る)、E市場参加者に注目されていた200日移動平均線の上方ブレイクが支援材料となり、週末にかけて、昨年10/12以来、約4ヵ月ぶり高値となる105.77まで急伸しました。もっとも、その後は注目された米1月雇用統計が市場予想ほど強くなかったことを手掛かりに失望売りが広がり、本稿執筆時点(日本時間2/6午前5時50分現在)では、105.38近辺まで値を崩す展開となっております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2140で寄り付いた後、早々に週間高値1.2146まで上昇しました。しかし、ボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれると、@欧州当局者によるユーロ高牽制の思惑や、A欧州各国のロックダウン長期化懸念、Bドイツ12月小売売上高(結果1.5%、予想4.7%、前年同月比)の冴えない結果、Cユーロ圏10ー12月期GDP速報値(結果▲0.7%、予想▲1.0%、前回12.4%、前期比)のマイナス転、D米長期金利の急上昇(米追加経済対策期待→米長期金利上昇→ドル高)、E良好な米経済指標を背景としたドル買い圧力、Fイタリアを巡る政局不透明感(第3次コンテ内閣組閣に失敗→ドラギ前ECB総裁に白羽の矢が立つも、「五つ星運動」「同盟」「自由と平等」が同氏を支持するか否かは不明)、
G心理的節目1.2000を割り込んだことに伴う短期筋のロスカットが重石となり、週末にかけて、昨年12/1以来となる安値1.1952まで急落しました。もっとも、その後は、市場参加者に注目されていた米雇用統計がノーサプライズに終結したことで米ドルの失望売りが広がり(ドル高の巻き戻し→ドル売り)、本稿執筆時点(日本時間2/6午前5時50分現在)では、1.2050近辺まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(2/8−2/12)
<ドル円相場>
ドル円は週末にかけて上値を伸ばし、一時約4ヵ月ぶり高値となる105.77まで急伸しました。この間、市場参加者に注目されていた200日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@FRBが金融緩和の長期化姿勢を強調していること(パウエルFRB議長やイエレン米財務長官もハト派的なスタンスに徹し、市場で燻るテーパリング観測を否定)や、A米追加経済対策の先行き不透明感(バイデン氏は共和党の支持がなくても過半数で予算案を可決できる財政調整法の活用を見込んでいるが、同制度活用に対する否定的な意見が民主党内部からも一部聞こえる)、Bバイデン新政権による対中強硬姿勢の継続(米中対立再燃リスク)など、足元のドル高・円安の逆流を促す材料も散見されます(今週の外国為替市場は、バイデン新政権による追加経済対策期待→米景気の早期回復期待→FRBによるテーパリング観測→米長期金利上昇の波及経路でドル高が進んできた為、出発時点の材料である米追加経済対策の実現性が揺らげば、ドル円相場に強い下押し圧力を加える恐れあり)。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的な強さを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが警戒されます。2/10に発表される米1月消費者物価指数やパウエルFRB議長によるエコノミック・クラブでの講演会、2/12の米2月ミシガン大消費者信頼感指数、米追加経済対策を巡る続報を睨みながらも、来週はドル高・円安基調が和らぐ展開(逆流)をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー106.50
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週末にかけて約2ヵ月ぶり安値1.1952まで急落するも、一目均衡表雲下限に続落を阻まれる形で下げ渋ると、引けにかけて1.2050近辺まで持ち直す動きとなりました。但し、上方には一目均衡表転換線をはじめ複数のレジスタンスポイントが控えている為、上値余地は限られると考えられます。来週は一巡後の反落リスクに警戒が必要でしょう。
ファンダメンタルズ的に見ても、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(含む英国との新型コロナワクチン戦争)や、Aそれに伴うロックダウンの長期化懸念、B欧州当局者による相次ぐユーロ高牽制発言、C対主要通貨で広がるドル高圧力(米追加経済対策期待→米長期金利上昇→ドル高)、DIMM通貨先物市場における投機筋の過大なユーロロングなど、ユーロドルの下落を想起させる材料が増えつつあります。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。2/12に発表されるユーロ圏12月鉱工業生産の結果や、欧州当局者の講演会(2/8フランス中銀ビルロワドガロー総裁、2/10パネッタECB専務理事、2/11フランス中銀ビルロワドガロー総裁、2/11オランダ中銀クノット総裁など)、イタリアを巡る政治動向(ドラギ前ECB総裁に関する続報)、米ドル相場の動き(ドル高基調が続くか否か)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1900−1.2150
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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