ドルは8連騰なるか、米雇用統計に要注意
〇ドル円、値幅は20ポイント程度だが、105.60台を一時示現、再びドルは戻り高値を更新
〇英中銀、将来的なマイナス金利導入に含みを持たせる、ポンドは対円で続伸、再び年初来高値を更新
〇ドル円、日足で昨日まで7連騰かつ週末であることから、調整的な動きを警戒する声も
〇本日発表の1月米雇用統計への関心高い、発表前後の市場が荒れ模様となる可能性も
〇本日は12月米貿易収支も発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ105.00-106.00
<< 東京市場の動き >>
5日の東京市場はレンジ取引。値幅は引き続き20ポイント程度と非常に限られたが、そのなかで105.60円台を一時示現し、再びドルは戻り高値を更新している。
ドル/円は105.50円前後で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。わずか20ポイント程度のレンジ取引、105.45-65円での推移となったが、それでも105.57円という前日記録した直近高値をなんとか更新した。上値も重いが底値も堅く、ドルは終日強保ち合いといった様相。16時現在でも105.50-55円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中情勢」と「英金融政策」について。
前者は、選挙期間中からトランプ前米大統領に「親中」と言われ続けたバイデン氏。新大統領就任後、確かに一部については「強硬路線」と思しき動きも観測されるが、逆に首を傾げるような発言などもある。たとえば、1月30日には米大統領報道官が「中国との第1段階の通商合意を含め、トランプ前政権の国家安全保障に関連するすべての決定事項を見直す」方針を明らかにしたほか、3日には国務省報道官から「台湾をめぐるひとつの中国政策を支持する立場に変わりはない」との発言も聞かれている。さらに、昨日はバイデン氏自身が「中国が米国の利益になるとき、われわれは中国と協力する」と指摘していた。先行きを不安視する向きも少なくない。
対して後者は、英中銀が金融政策委員会で現行の金融政策を予想通り維持したうえで、「マイナス金利導入に備えるため少なくとも6ヵ月は必要」などと指摘。強い言い回しではなかったが、将来的なマイナス金利の導入に含みを持たせたことが思惑を呼ぶ。ただ、為替市場は逆にポンド買いが優勢で、対円では144円台へと上昇。さらに本日東京時間にポンドは続伸しており、再び年初来高値を更新していた。
<< 欧米市場の見通し >>
相場格言に「もうはまだなり、まだはもうなり」というものがあるが、昨日の値動きがまさにそれ。調整的な動きを警戒する声が高まるなか、ドルは続伸するという展開をたどっている。ちなみに、本日についても、ドル/円は日足ベースで昨日まで7連騰かつ週末ということで、引き続き調整を警戒する声が多いようだ。しかし、そうした声が多いからこそ、ドルはさらなる高値を更新していくことになるのかもしれない。
このあとの欧米時間は、NYダウを中心とした米株の動きに注視しつつ、具体的な材料としては1月の米雇用統計に要注意。なかでも市場筋の関心が一番高い非農業部門雇用者数の予想値はプラス10万人程度が見込まれているうえ、3日に発表されたADP雇用統計という先行指標が予想よりも良好だったことで、本日についても期待感を抱く向きがある。いずれにしても、発表前後の市場はたとえ一時的にせよ荒れ模様となる可能性もある。
テクニカルに見た場合、昨年6月高値109.85円を起点とした下げ幅のフィボナッチでは38.2%戻しにあたる105.35-40円のテクニカルポイントをしっかり超え、移動平均の200日線も位置する105.60円台へとドルは達してきた。基本的なリスクは間違いなくドル高方向だが、200日線をクリアに超えていけるのか否かに注目だ。超えれば、次の抵抗は106円台。先のフィボナッチでは106.20-25円がテクニカルポイントになる。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン次期米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料として、12月の貿易収支や1月の雇用統計といった米経済指標が発表される予定となっている。なかでも、前述したように後者の指標が注視されているだけでなく、予想以上の好数字を期待する声も少なくない。したがって、好数字より悪数字の方の反応に要注意で、ヒョッとすると調整の動きを増長させる一因になる可能性もあるか。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.00-106.00円。移動平均の200日線も近くに位置する東京高値の105.65円レベルが最初のドルの抵抗。しっかり超えると106円台回復もみえてくる。
対するドル安・円高方向は、連日ドルの下値が切り上がっていることから、まずは昨日安値の104.98円をめぐる攻防に注目。ただ、仮に割り込んでも買い遅れ筋のビッドが厚く、下値はかなり堅そうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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